ザバン市に到着した。
人間に化けている凶狸狐に付いていくと、
「向こうの建物だな」
と指を差された。

大きな建物だ。

「ここに世界各地から」
「ハンター志望の猛者が集まるわけだな」
「緊張すんね」


「おい、そっちじゃないよ。こっちだよ」

見るとそこは定食屋だった。
確かにここだとハンター試験の会場だとは思えない。


凶狸狐が「ステーキ定食弱火でじっくり」を注文すると奥の部屋へ通された。



「1万人に一人。ここにたどりつくまでの倍率さ。お前達新人にしちゃ上出来だ。それじゃがんばりなルーキーさん達、お前らなら来年も案内してやるぜ」

この部屋はエレベーターであるようだ。
下がり始めた。



「失礼な奴だぜ。まるでオレ達が今年は受からねーみたいじゃねーか」
「3年に一人」

「ん?」

「ルーキーが合格する確率だそうだ」

「ええ…私、1文無しだからこれで受からないといけないのに」

持ってきたお金は交通費と食費でドーレ港までに全て使い切ってしまった。



「何でみんなはそんな大変な目にあってまでハンターになりたいのかなぁ」

………。

「お前本当に何も知らねーでテスト受けに来たのか!?」


「「「ハンターはこの世で最ももうかる/気高い/かっこいー仕事なんだぜ/なのだよ/なんだよ!!」」」

う、うわあ……。
嫌なハモり方をしてしまった。

レオリオとクラピカは
「ええかっこしィめ」
「金の亡者が」
と睨み合っている。

私はただ冷や汗をかいていた。
もうしゃべらずにいよう。


「正式なハンターだけが云々」
「人と自然の秩序を云々」

「どうだゴン!!」
「ゴンはどっちのハンターを目指すんだ!?」

どっちって私はぶかれているじゃないか。

「どっちって言われてもなァ〜」

───チン

エレベーターのモニターがB100を示した。


「着いたらしいな……」
「話の続きは後だ!!」
「ええ、まだこの話の続きすんの!?」


エレベーターを1歩出るとそこは異様な空気が漂っていた。
私達を見た人達はフイとすぐに目を逸らしたが、少し居心地が悪い。

しかしこの雰囲気は嫌いではない。
実力者の集まる張り詰めた空気。緊張するし居心地悪いけれど、胸が高鳴る。


「一体何人くらいいるんだろうね」

「君達で406人目だよ」

声のするほうを向くと、管の上におじさんが座っている。


「よっ!オレはトンパ。よろしく」

背の低い人から番号札を受け取ったあとにトンパさんと握手をした。


「新顔だね君達」
「わかるの?」
「まーね!なにしろオレ10歳からもう35回もテスト受けてるから」
「35回!?」
「まぁ試験のベテランってわけだよ。わからないことは何でも教えてあげるよ!!」
「ありがとう」


「いばれることじゃねーよな」
「確かに」
「むしろ恥じた方がいーんじゃない?」

私とレオリオとクラピカは囁きあった。


「じゃあここにいる人達みんな知ってるの?」
「当然よ!よーしいろいろ紹介してやるよ!」

あまり信用して良いとは思わないが、この情報が有益になるかもしれないので耳を傾けておこう。





「──とまあここらへんが常連だな。実力はあるが今一歩で合格を逃してきた連中だ」

「ぎゃあぁ〜〜〜っ」

トンパさんの説明を遮って大きな悲鳴が聞こえた。


「アーラ不思議{emj_ip_0834}腕が消えちゃった{emj_ip_0833}タネもしかけもござません{emj_ip_0833}」

「お オ オ オオレのォォ〜〜」

「気をつけようね{emj_ip_0836}人にぶつかったらあやまらなくちゃ{emj_ip_0835}」

目を奪われた。

「ちっ……アブない奴が今年も来やがった。44番奇術師ヒソカ。去年合格確実と言われながら気に入らない試験官を半殺しにして失格した奴だ」

ヒソカさん………。
なんて…なんて……





「おい、おい!ココロさっきから固まってんぞ!!大丈夫か!?」

「かっこいい……!!」


「「「はァ!?」」」


私はヒソカさんに一目惚れをしてしまったようだ。
私はお化粧をした派手なひとたちが演奏するロックが大好きだった。
そしてピエロメイクは私のいちばん好きなメイク。しかもあの怪しげな姿。ダークな雰囲気…。
とてつもなく好みなのだ。ドストライクだ。


「う、ウソだろ……」

みんなが引いているのは分かっているけど、私の視線はヒソカさんの消えた方向から動かなかった。



「ま、まあ………おっと、そうだ 。お近づきのしるしだ、飲みなよ。お互いの健闘を祈ってカンパイだ」

トンパさんにジュースを渡された。
信用ならないので口は付けないでおこうと思っているとゴンが口に含んだジュースを吐き出した。

ゴンはジュースの味が古くなっていると言うのだ。
クラピカとレオリオが地面にジュースを流すので私もそれに倣った。






──ジリリリリリリリリリリリリリリリ
突然大きな音が鳴り響いた。

試験官らしき人がベルを止めた。

「ただ今をもって受付け時間を終了いたします。ではこれよりハンター試験を開始いたします」

試験官らしき人は管から降りて「こちらへどうぞ」とトンネルの奥を示した。


「さて一応確認いたしますが、ハンター試験は大変厳しいものもあり運が悪かったり実力が乏しかったりするとケガしたり死んだりします。先程のように受験生同士の争いで再起不能になる場合も多々ございます。それでも構わない──という方のみついて来て下さい」

勿論付いていく。

「承知しました。第一次試験405名全員参加ですね」



「おいおい何だ?やけにみんな急いでねーか?」

「やはり進むペースが段々早くなっている!」

「前の方が走り出したんだよ!!」



「申し遅れましたが私一次試験担当官のサトツと申します。これより皆様を二次試験会場へ案内いたします」

「二次……?ってことは一次は?」

受験生のうちの1人が聞いた。

「もう始まっているのでございます。二次試験会場まで私について来ること。これが一次試験でございます。場所や到着時刻はお答えできません。ただ私について来ていただきます」



「なるほどな………」
「変なテストだね」
「さしずめ持久力試験っとこか。望むところだぜ。どこまででもついて行ってやる」
「ハンター試験は過酷っていわれてるし、1日走り続けてもおかしくないくらいの気持ちで臨まないとだね」


その時私達の横を1人の少年がスケボーに乗って通った。


「おいガキ汚ねーぞ、そりゃ反則じゃねーかオイ!!」

レオリオが怒る。

「何で?」

「何でっておま…こりゃ持久力のテストなんだぞ」

「違うよ試験官はついて来いって言っただけだもんね」

「ゴン!!てめどっちの味方だ!?」

ゴンにまで怒り出す始末だ。

「どなるな体力を消耗するぞ。何よりまずうるさい。テストは原則として持ち込み自由なのだよ!」


スケボーの少年はゴンに年齢を聞き、スケボーを降りて走り出した。

「オレキルア」
「オレはゴン!」
「オッサンの名前は?」
「オッサ…これでもお前らと同じ10代なんだぞオレはよ!!」

ウソォ!?とゴンとキルアが叫び、それに反応するレオリオの声まで大きい。

他人のフリをして離れていくクラピカの方について行った。






しばらくしたところでいきなり後ろからレオリオが走ってきてクラピカも私も驚いた。