悲しみに揺れる貴方が美しくて



憎しみは憎しみしか生まない。




だから、貴方の中は憎しみでいっぱい。









「…殺さないの?」

「っ!…」


問えば震えるその腕には鋭利に光るナイフが一本。



「お、お前が悪いんだっ!!お前があいつを殺したんだっ!!お前がっ!!お前がいなけりゃあいつはっ!!」



狂った様に叫んで。
狂った様に泣いて。
狂ったその目は僕を憎んでいて。

でも、



痛みはまだ来ない。







「そうだよ。あいつを殺したのは僕だよ。憎い?憎いなら、殺せばいい。その手に持つものは飾りなの?あぁ、君にはそんな度胸はないか」


「、うるせぇっ!!」



躊躇うように振り下ろされる刃の先は腕を掠めるだけ。
こんなもの全然痛くはない。
僕の抱え続けた痛みに比べれば、何も感じない。



「何を躊躇う必要があるんだ?自分の大切な人を殺されたんだよ?もっと憎め。もっともっと恨め」




そして、




その心を憎しみと共に僕だけで埋めて欲しい。








憎しみに揺れる
貴方が美しくて








振り下ろされるナイフが今度こそこの身を貫いてくれることを祈った





終幕
−avventurina様よりお借りしました。


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