あーあ、真っ赤だ




今日もやってくる。
この時間。
この車両。
この立ち位置。


彼はきっとやってくる。





「あ、おはよー」


ほら、やってきた。


「お、おはよう。柏木くん」

「んー、今日も寒いねー」

「うん。マフラーとかもう必需品だよね」




彼とこうして話ができるようになってまだ、一ヵ月。
恋に落ちてもう、八か月。


名前を知って
声を知って
笑顔を知って

また、好きが増えた。




「おーい、櫻井さん?もしかして、具合悪い?」


気付けば、至近距離に彼の顔。


「!なな、なんでもないよ!?ちょ、ちょっとまだ寝呆けてるみたい…」

「そっか。ならよかった」


そう、優しく笑う彼にちょうど窓から差し掛かる光が当たって、眩しかった。


(あーあ、真っ赤だ……)


火照る顔を見られないように首に巻いていたマフラーで一生懸命隠した。



もうすぐ、またお別れ。
決まって言う、彼の言葉は


「また明日ねー」






さぁ、明日も早起きだ。
もちろん貴方に会う為に。





あーぁ、真っ赤だ
(君のおかげで、この通学時間が楽しくなりました)

20080419修正
20081012修正
−avventurina様よりお借りしました。


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