Long StoryShort StoryAnecdote

盲点


 もう大丈夫、何も怖がることはないよ。
 無理もない……あんな辛いことがあったんだもんね。君が大切なことを忘れてしまったのは、君の心の防衛反応だから、気にすることはない。脳に異常がないことは検査で確認済みだから安心していい。
 君が初めてここに来たのは、世間で騒がれた拉致監禁事件の後だ。警察に行ったことも覚えていないかな? ……そうか。いや、いいんだ。
 ここはメンタルケアをする病院でね。僕は君の担当医だ。
 どうしてこんなところにって? 君は……拉致監禁事件の被害者としてここに連れて来られたんだ。
 部活の後、部室に忘れ物を取りに行った君は後頭部を殴打されて、その場からワゴン車で隣の県まで運ばれて、男のアパートに1ヶ月もの間、監禁されていた……報道されているのは大体そんなところだ。
 何故そんなことを? その男はね、ずっと、君に目をつけていたんだ。男は仕事で君の通う学校に来ていた。ひと目見て、君を標的に選んだんだ。君のその艶のある黒髪と、笑うと片方だけ浮かぶえくぼ……顔色が悪いね。大丈夫かい?
 そいつは君を自分のアパートに連れ込み、ジャージや運動服を脱がせ──部活の後だったからだ──、ベッドに押し倒した。
 ああ、落ち着いて。息を吸って、吐いて……そうそう。
 1日目は、まだ君も力が残っていたからひどく喚いて、近隣に助けを求めようとした。男はガムテープで君の口を塞ぎ、腕もガムテープを使ってガチガチに固めた。
 それから、サッカーでかいた汗をたくさん吸ったシャツ、それをゆっくり捲り上げて……君の乳首に悪戯した。そう、こんな風に……、震えているね。この部屋、少し寒いかい?
 摘んで、舐めて、甘噛みして……いっぱい可愛がったせいで、こんなに腫れてしまったんだね。あれからもう半年も経つのに、今も真っ赤に色づいてる。僕がこうして少し触っただけで、硬くなってしまうなんて……。
 それから、短パンをずり下ろして君のペニスを弄んだ。自慰くらいはしてただろうけど、きっと他人に触られたのは初めてだったろう。怖かったよね。君は泣きながら拒絶したけど、男は手を緩めようとはしなかった。それどころか、少し立ち上がった君のペニスを口に含んで、舌でさんざんいたぶった。
 君はサッカーで鍛えた脚で男の頭を蹴り飛ばそうとしたけど、今度は足首をガムテープで拘束された。脚の形をアルファベットの「O(オー)」みたいにした君の股間に顔を埋めて、男は君の性器をむしゃぶり尽くした。人の口内に精液を出したのも初めてだったろう。どう、気持ち好かったかい?
 そう、君はこうやって竿の部分を弄られるのが大好きなんだ。それで先っぽを軽く吸い上げたら、呆気なくイッてしまうんだよ……ンぐッ、ふ……っ、……ほら、ね?
 でも、やっぱり自分だけ気持ち好くなってるってわけにはいかない。なんたって君は、選ばれて拉致されたんだもの。やっぱり、1番の目的は果たさないと……僕は、快感の余韻に震えている君を後ろ向きに引き倒すと、引き締まった尻の孔をベロリと舐めた。君はヒィヒィ泣いて……ああ、可愛い声だったな。今でも君はうぶな反応をしてくれるけど、やっぱり本当の最初は、1度きりのものだから。
 舌でたっぷり濡らして、それから君が出した精液を掬い取ってそこに塗りつけた。中指でゆっくりほぐして、人差し指も足して……すごく時間をかけて、優しくしたから血は出なかったよね。
 今じゃ前戯もいらないくらい、ほら……もうこんなにヒクついてるし、自分で腸液を分泌して、僕の太くて硬いものを受け入れようとしてる。
 ……え? 違う? こんなの、知らないって?
 そりゃあそうだろう。だって君には記憶がないんだから。また忘れてしまったようだから、最初の日の話を続けよう。
 上半身をベッドに押しつけて、尻だけ高く上げて……最初の時、君はそうやって僕を受け入れてくれたんだよ。最高に幸せな瞬間だった。
 君の中は熱くて、潤っていて……僕のペニスを優しく包んでくれた。それからゆっくり、じょじょにきつく締めつけてくれて、僕は挿入してすぐに中で果ててしまったから、少し恥ずかしかったな。
 今でも君のここは……ああ、熱くて、それにこんなにッ、何度も、何度もッ! 繋がっているのに、僕が挿れるとまるで離さないって言うみたいに……ッ、あ、ふぅ……。ふふ、こうやって、中で僕のことをぎゅっと締めつけてくれる。
 僕が君の腹の奥に射精したら、君はボロボロ大粒の涙を流して悦んでくれた。僕まで感動して一緒に泣いてしまったけど……それから唇のガムテープを剥がした。君の甘い声が聞きたかったんだ。
 僕が腰を動かすと、君は上擦った声でやめて、なんて言ったけど、恥ずかしかったんだよね。僕は嬉しくて、君が恥ずかしがるのもお構いなしにいっぱいいっぱい奥を突いて、そのまま続けて中に注いでしまったっけ。
 君の泣き顔、最高にそそるんだよ。きゅって寄せた眉とか、いや、やだ、動かないで……そんな風にいじらしく恥じらって拒む時、やっぱり片方だけえくぼが浮かぶところなんかが。

「や、だ……っ、いや、やあぁッ……!」
 話をしながらゆっくりと深く挿入すると、君はいつものように眉を寄せて泣きながらそう言う。唇を震わせるから、キスして欲しいのかと思って僕の唇でそっと塞いであげた。君は驚いたような顔をして、息を詰めた。
「ふぐ、んンッ……!」
 口内に溜めていた唾液を流し込んで、舌を絡める。君は苦しそうに呻きながらも、ゴクリとそれを飲み込んでくれた。
「ごほ、かは、ぁッ……知らな、い……嘘、や……あッ!」
 グン、と腰を動かすと、君の中に僕の肉棒が深く埋没する。
 初めてでこんなに感じるはずないだろ? 君のここはもうすっかり僕のペニスの形になって、好いところに当たるように自分から動いてる。君の身体は、僕を忘れない。何度も、何度も、僕をここで受け止めてくれたのに。
 ──悲しいな。本当に覚えていないんだ、僕のこと。

 僕のアパートで初めて繋がってから1ヶ月、僕は毎日君の身体を可愛がった。前から見つめ合って繋がり、その後は君が子犬みたいに四つん這いになるのを後ろから。君はキャンキャン愛らしく鳴いて、本当の交尾みたいでおかしかった。
 それからお互い逆さまになって、僕は君のペニスを、君は僕のペニスを舐めてどっちが先にイくか競争した。この勝負はいつだって僕が勝つから、その後の罰ゲームはいつも君だった。
 君は僕に跨って、僕のペニスを自分から受け入れて、僕をとても愉しませてくれた。恥ずかしそうに泣きながら僕の上で揺れる君の姿は最高だったよ。
 それからお風呂でも愛し合った。君の可愛いペニスにシャワーを当てながら立ちバックで虐めたら、あんまり気持ち好くて膝からカクンて落ちちゃったんだよ。湯船で愛し合いたかったけど、抱っこしたまま繋がって、ベッドまで君を連れて行った。覚えてるかい?
 その後、君に可愛い君自身の姿を見せてあげた。全身が映る鏡に向き合って、君を僕の上に座らせて……小さい子におしっこさせるように脚を広げてあげたら、僕達の繋がってるところがまる見えだったから、恥ずかしがりの君は両手で顔を覆ってしまったけど。僕はよく覚えてるよ。僕のを根本まで深く深く飲み込んでるところが見られて……すごく嬉しかったなぁ。
「ひっ……、抜いて、ッ……やだ、ぁ……、誰、か……助け、」
 助けて? 大丈夫だよ、ここには誰も来ないから。この部屋は今、君のセラピーのために閉ざされていて誰にも介入できない。そう、君に辛い思いをさせた警察でさえも。

 テレビでは毎日君のことが報道されていた。僕はいつものように学校に通いながら、虚像の君の無事を祈った。
 本当の君が幸福な生活をしているのは、もちろん僕だけが知っていた。けれど、世の中には虚像というのがあって、それはマスメディアによって毎日生産されているんだ。時にそれは、真実のように語られてしまう。
 僕は君の中学校へは2年前から通っている。そう、ちょうど君が入学してきた時と同じ年だ。
 最近の子供達は繊細だから、心の相談ができる医師を週に2日、学校に呼んでメンタルケアをする取り組みを始めたということだった。僕はこの病院に勤めながら、そういう形で君の学校へも顔を出すようになったんだ。
 君と初めて話をしたのは、君がサッカー部の練習中に膝を傷めた時だ。僕は保健医ではないけど、その日は保健の先生がお休みだった。それで、僕の立場をあまり理解していなかったサッカー部の生徒が、僕が白衣を着ていたという理由だけで保健室に呼んだ。今思うと、その生徒には感謝をしないといけないね。
 そこで君を見た瞬間、僕の心は痺れた。その艶っぽい黒い瞳、まだ成長途中のしなやかな身体。
 傷ついた膝に触れると、君は不安そうに僕の顔を覗き込んだ。大丈夫だよ、と僕が言ったら、君は嬉しそうに笑った。この滑らかな右の頬に、えくぼが浮かんで……僕は、君の虜になった。

 さっき話した通り、僕は君を自分のアパートに迎え入れ、1ヶ月間君と愛を育んだ。
 その間、僕は病院にも学校にも顔を出したけど、君にはアパートでお留守番をしてもらった。毎日僕と愛し合ってひどく疲れてしまっていたし、僕とのセックスですっかり色っぽくなった君が、変質者に狙われてしまうんじゃないかって心配だったんだ。
 もちろん僕がいない間も君が寂しくないように、中にたっぷり精子を注ぎ込んで、僕と同じサイズのバイブで可愛がってあげていたけどね。
 そんなある日、学校に2人の刑事がやって来た。顔を見せたのは僕の大学時代からの親友だった男と、その相棒だ。行方不明になった君を探しているという話だった。
 きっと誰かが、君がよく僕に相談しに来ていたところを目撃していたんだろう。学校に来なくなる前、何か変わったことはなかったかと僕に尋ねた。
 僕は彼らに、君が僕に対しては心を開いていたこと、そして僕にある悩みを吐露していたことを話した。彼らはそれを熱心にメモした。
 僕は、君が最近、誰かにつけ狙われているような気がする、と打ち明けたことを話した。僕は心配でたまらなかった。
 君に出会ってからというもの、君の登下校や、家に着いてからの様子を見守ってはいたけれど、そんな不審な人物は見かけなかったというのに。僕は一刻も早く君を守ってあげなきゃって思ったんだ。それで、僕のアパートに匿った。
 僕は親友に、君が残していったシャツを差し出した。それには、複数人の男の精液をたっぷり染み込ませておいた。
 誰のかって? 僕の病院の患者達さ。心の均衡が崩れた彼らの精液を採取するのは容易い。たっぷり5人分は用意した。そして、ロッカーからその曰くつきのシャツが出てきて、君がひどく怯えていたという話をでっち上げた。
 これは親友の刑事のためを思ってのことだ。事件に進展がないことで、ひどく塞いでいたからね。
 僕は、何故黙っていたのかと訊かれる前に、守秘義務から君の悩みを打ち明けられなかったことを詫びた。
 刑事はそれを持ち帰り、鑑定にかけた。精液の主はうちの患者だが、捜査の手はそこまで伸びなかった。伸びたとしても、患者達は睡眠薬の飲み過ぎでもう亡くなってしまったし。
 彼らはその後もストーカーについて聞いて回ったみたいだけど、とうとう犯人はわからなかったみたいだ。
 ……ここから先は、僕も辛かったよ。でも、君と一緒にい続けるために必要な工程だった。
 虚偽の報道は、君が変質者に拉致されたと騒いだ。まだ生きているかもしれない、一刻も早い犯人確保を……僕が君を守っているっていうのに。この段に来てもし君が僕の部屋で保護されていることがわかれば、誤解を受けかねなかった。そこで僕は考えた。
 僕は君の全身をくまなく清めると、君の可愛いアナルをクスコで開き、スポイトでもって複数人の患者の精液を注入した。君は泣き叫んで、仕方なく轡をして手足を縛った。僕も泣いていた。他人の精液が君を汚すのは耐え難かったけど、その苦渋を飲んで果たし、アナルパールで栓をした。
 それから君を我が病院で保護したことにし、警察に連絡をした。そう、つまり、僕の大学時代からの親友であり、刑事になった、君のお兄さんに。

「に、さ……兄さ、ん……?」
 そう、弟思いの、君のお兄さん。まさか彼に、こんなに年の離れた弟がいるとは知らなかった。不幸な通り魔事件で15歳──今の君と同じ年だね──にして両親を亡くし、まだ生まれて間もない君を大切に育てながら、警察官を目指した。本当に立派だよ。彼の期待通り、君も素直で聡明で活発な、素晴らしい子に育った。君のお兄さんは、僕の自慢の親友だ。
 ふぅ……。この話をこうして君に話して聞かせるのは何度目だろう。僕はいつもクライマックスに至ると興奮して、君の中で昂ぶってしまう。君もそれは同じかな? こんなに僕を締めつけてくれて……辛かったあの頃の僕を慰めてくれているみたいだ。
 君が行方不明になってからのお兄さんを見るのは悲痛だったよ。精液のついたシャツを突きつけた時には、神様は無慈悲だとがっくり肩を落としていた。
 とはいえ、廃屋で倒れていた君を保護した、と連絡した時には、ものすごい速さで病院に駆けつけてくれた。そうでないと困るね。君の体内に含ませた精液を早いうちに調べてもらわなくてはいけないんだから。
 お兄さんは君の姿を見るや涙で顔をくちゃくちゃにして、可哀想に、こんな酷い目に遭って、でも生きていてくれて本当によかった、と君を抱き締めた。
 でもそれが、スイッチだった。
 君は身体を強張らせると、お兄さんを思い切り突き飛ばした。呼吸を荒げ、自分の震える細い肩を抱き締め、その場に崩折れて──戸惑うお兄さんの目の前で絶叫した。
 君は誰であれ男の手を恐れ、怯え、恐慌状態に陥った。近くにあるものを手当たり次第に放り投げ、僕のことさえも突き放した。刑事達が君を押さえつけ、鎮静剤を打つまで、君は泣き叫び続けた。
 そして君はすぐに警察病院に運ばれ、あらゆる検査を受けた。外傷、そして体内に残された精液から、君は1ヶ月間、複数人の男達にレイプされ続けていたと断定された。そして君のとった行動や記憶の錯乱、フラッシュバックは、それら過酷な体験をしたことによるPTSDだと診断されたんだ。
 おかしな話だよね。本当は僕と愛し合っていただけなのに、いつの間にか虚像の方が真実になってしまった。
 君は毎晩、男達にレイプされる悪夢に魘された。夜中に自分の悲鳴で目覚め、身を震わせて泣いた。お兄さんはまるで自分が凌辱されたかのように深く傷ついていたよ。君を思って苦しんでいた。実際にはあの1ヶ月、僕と愛し合っていただけなのに……。まぁ、他の男達の精液を注いだのは事実だからね。僕達2人のためだったとはいえ、本当にすまなかったよ。
 警察での事情聴取は君には地獄のようだったろう。辛い虚偽記憶のことを聞かれて……君は実際にはなかったレイプを、本当にされたかのような状態になっていった。
 人の心というのは複雑にできているものだ。僕との幸せなセックスの記憶が警察によって歪められ、集団レイプの記憶にすり替えられた君は、絶望の底に突き落とされた。
 不思議なことに、君は僕との記憶だけを失くしていた。僕と出会ったこと、僕に打ち明けた悩み、そしてあの幸せな甘い日々……。
 警察は無理矢理にでも全て思い出させようとした。君を勾留し、まるで容疑者かのように問い詰めた。PTSDに苦しむ人に対して体験を告白させるなんて、最もやってはいけないのに。君は追い詰められ、偽りの悪夢に苛まれ、遂には自殺しようとまでした。
 そして君は、お兄さんのたっての願いで僕の病院に運ばれて来たというわけだ。事件前、君は唯一僕に悩みを打ち明けていた、ということでね。お兄さんの僕への信頼は絶大だ。

「あ、くま……悪魔……ッ!」
 ふふ、今日は悪魔、か。先週、この話をした時は君はただひたすら静かに泣いていたよ。
 改めて、患者としてここにやって来た君は、怯えながらも僕には従順だった。初めて君に出会い直したかのようで、胸が震えた。運命のように感じたよ……ッ、ふぅ、ン。
「あンッ……! ひぁ、あッ……、あ、あぁッ……や、だ……な、んで……あッ!」
 君がここに運ばれて来てから半年間、週に1度、僕は君のセラピーにあたっている。悪夢に魘され、不眠症とフラッシュバックに苦しむ君は、僕に夢の話をする。
 夢の中で君は見知らぬ男達に凌辱され、自尊心を打ち砕かれて、最後には兄を傷つけてしまうと。目覚めても恐怖心が拭えず、男の目が、手が、恐ろしいと。
 僕はその話を聞いていると、どうしてもこの一連の僕達の思い出を語らずにはいられなくなる。だって君は、見事に僕のことだけを忘れているんだ! 君の中で僕の存在だけが見えなくなるだなんて、こんなことになるとは盲点だった! いや、君にとっての「盲点」が僕なんだ。なんて皮肉だ!
 だからこうして話を聞かせ、君の身体の奥に呼びかけている。
「あぁッ! あッ、いやッ、そ、こは……だめ、だめッ、いやッ! やだあぁぁぁッ!!」
 う、くっ……ふふ、君の身体は、僕と過ごしたあの日々を忘れない。花弁のように日毎に開いて、僕の熱を受け入れて。甘い声を僕の耳に注ぎ、若い幹から蜜を迸らせて。
「んンッ! ふ、うあッ、ああァン、あンッ!! ンッ! ひぁ、アァァァッ!!」
 そう、そうやって自ら細い腰を淫らに振りたくり、僕のペニスに、自ら、性感帯を……ッ、擦りつけて……!
「いや、やッ、やだ、ぁ! こんな、の……ッおれ、の身体じゃ、な……あッひ……ッ!」
 君は、ここが好きだよね。入口のところをしつこくされるのが……ッ!
「ぁ、あ"っ、ア"ッ! は、アッ、ン!」
 すごい、腰がガクガクいってる……乳首を弄りながらすると、キュッと中が……締まって、ッ!
「きッ──! ッ──! ひ、ひぃッ! あ、かひゅ、ッ──!」
 僕の少し上に反ったこの硬いペニスで、君の薄い腹の内側ッ、の、ここ……ッ! ここを! 突くとッ!
「っ──!! き、ひっ──!! 〜〜ッ!!」
 くッ……、あぁ、僕ももう限界だ。入口から最奥まで一気に……ッ! 突いて!
「ッ! だ、らぁッ……! だめ、そこ、いや、やッ、は、あンッ、あンッ、ア"ッ──!」
 イく、イく、イく──きつい締めつけに、僕は身を震わせると君の熱い体内にすべてを吐き出した。ビュルル、ビュル……奔流はなかなか止まらず、痙攣する身体をきつく抱き締める。君は誘うような声で甘く喘ぎながら、ヒクヒクと蠢いて僕を悦ばせた。

 半年の間、こんな風に君のことを抱いている。何度愛の物語を語っても、こうして身体を重ねても、君はあの悪夢を見る度に僕のことを忘れてしまう。
 でも、君の眼裏に僕が映らなくても、僕は何度でも初めての君の中で果てよう。君はいつも怯えた瞳を震わせ、うぶな心で惑うけれど、ひと度触れれば君の身体は淫魔のように猥らに欲望を誘い、蕩けるような熱い肉襞で僕を翻弄する。
「は、ぁッ……、兄さ、ん……、助け、……ッ」
 君はまた何もかも忘れて、僕を頼ってここにやってくる。淫靡な悪夢から逃れるために。その悪夢の真実が、僕が与えた愛だったとも知らずに。

2016/09/16

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