Long StoryShort StoryAnecdote

運命の人は


「ここではどんなキミを見せてくれてもいい。恥ずかしがることはないんだ」
 鍵谷(かぎたに)は優しい声でそう言うと、聖(ひじり)のシャツを開き指先で乳首に触れる。指の腹でコリコリと捏ねるうちに、そこはピンと硬くなった。
 一瞬手が離れると、今度はジェルのようなものがその手に塗られて戻ってくることを聖は知っている。ヌルヌルとした指先で何度も、それを繰り返される。
「んっ……あ、は、」
 くにゅくにゅ、にちゅ、と刺激されて聖はぎゅっと膝を閉じる。下半身が反応してしまう。
「あっ……せんせ、……もう……ッ」
 鍵谷は聖の顎を取ると後ろから唇を奪った。はっとした聖は目を大きく開く。
「んんっ……!」
 舌を絡め取られながら、何故、と聖はパニックになる。こんなの、診療じゃない。
 口内を激しく嬲られながら乳首に薬を塗り込まれ、頭が朦朧とする。鍵谷は聖の口に自身の唾液を流し込むと唇を離し、敏感になった少年の身体をベッドに横たえた。
「は、はぁ……っなんで……せんせ……?」
 今までキスなんてしなかった。これまでの触診は治療だと思っていたのに。
「キミの身体は珍しいからね。いろんなことを試さないと」
「なっ……あ、だめっ今は……ああっ!」
「もう濡れてる」
 聖は羞恥にカッと赤くなる。
 鍵谷の長い指がぬる、とそこを撫でると肉の中に埋没した。押し開かれ、ヌチャヌチャと薬を塗り込まれる。
「キミのために調合した新しい薬だよ」
「ひっ……!? な、に……あっ!?」
 聖はぎゅっと膝を閉じようとしたが、鍵谷が両手で強引に抉じ開けた。
「やだっ、見ないで……!」
「ちゃんと見せなさい」
 鍵谷は聖の膝を足で押さえつけ、手首を掴んで抵抗を押さえ込んだ。晒された聖の股間はひくひくと痙攣している。
「あ……ぁう、」
「すごいよ聖。キミのここ、汁が膨れ上がって……」
 トロリ、決壊したそれが溢れ出すのを感じた聖はじわ、と涙を零す。見られている。自分が感じている様を、まざまざと。
「乳首は弄ってあげよう」
 鍵谷の指が再び胸に伸びて、いやらしく捏ねる。目線はしっかりと聖の秘部に注視したまま。
「ふふ、感じてるね。さっきからずっとヒクヒク動いて……ほら、どう?」
「んんっ、あ、あ、ああっ!」
 乳首を強く摘まれて、聖はビクンと腰を跳ねさせると達した。
 鍵谷は聖の敏感なところからはしたなく漏れる汁を指で掬うと、聖の口元に持っていく。
「舐めて」
「はっ……ん、……ふ」
 ほとんど無意識にその指に吸いつき、聖は自身の体液の味を知った。
「こんな……の、おかしいです先生……っ」
「おかしい? おかしいのはキミの身体だよ聖」
「え……?」
「どうしてこんなものがついている?」
 鍵谷は聖の濡れそぼったそこ――肉ひだの割れ目に指を突き挿れた。
「ひぃッ――!?」

 聖は生まれつき2つの性器を有していた。顔立ちや体型は一見すればごく普通の少年だったが、陰嚢の影に奥まった女性器がある。
 両親は聖の身体のことを知っているが、兄には伝えなかった。
 兄もまた生まれながら病弱な人だ。あまり家を出ず、友達もいない。けれど聖にはよく構ってくれる、優しい人だ。大好きな兄に、自分の身体のことを知られたくなかった。
 聖は元々は兄の薬を受け取りに鍵谷の医院に通っていた。兄の病が何であるかは知らない。少なくとも自分と同じ身体ではなかったが、彼はどうやら自分の病を苦にして家にこもりがちになってしまったようなのだ。
 聖も自分の身体的特徴を恥じているから、兄の気持ちもわかる。1人、部屋にこもって自慰をするにも、ペニスを扱きながらクリトリスを弄るのは快楽と同じだけ罪悪感も伴った。達した後はいつもひどい自己嫌悪に苛まれもした。淫らな妄想の中ではいつも、兄の手を借りていたから。
 鍵谷は聖の苦悩を知ると親身に相談に乗ってくれた。患者としてここに通院するようになって5年になるが、16になると助手として医院でアルバイトまでさせてくれるようになった。聖にとって鍵谷は恩人だ。
 それなのに――今までのことをすべて打ち消すかのように、鍵谷ははっきりと言った。
「キミの身体は普通じゃない。こんなにいやらしく全身で感じて」
 ヒクヒクと反応するペニスはまだ達していなかったが、陰唇は乳首の愛撫に負け、触れられてもいないのに極めてしまった。
「あ……あ、なん、で……っ」
「なんで? キミこそ、どういうつもりでここに来ていた?」
「それは……」
 自分の治療と、それから――大好きな兄のために。
 男の指を食んだ部分がきゅう、と切なくなる。ぶわ、と全身に鳥肌が立つ。
「何を考えてる? 淫乱め」
「あ、はぁ、はぁ……!」
 膣に挿れられた指がゆっくり、ねっとりと内壁を捏ねるように動き出す。聖は潤んだ目で宙を見つめながら、与えられる快感に溺れていく。時に自ら男の指を奥へと誘うように腰を突き出し、舌を震わせて喘ぐ。
「いやらしい顔」
 聖は真っ赤になった。鍵谷がこんなことを言うなんて。
「先生……やだ、もうやめて」
「どうして嫌がる? 今までだってしてきたことだろう」
「でも……っ、」
「キミは生まれついてこんなふしだらな身体なんだ。今更貞淑を気取ることはない」
 鍵谷の声がいつもと違い、何か陰湿な響きを帯びていることに聖はようやく気付く。
「本当にバカな子だ。キミの身体は勝手に欲情するんだろう? いやらしく男を誘って……ここに患者として駆け込んで来たのだって、公園で変質者に襲われたからだったな」
 聖の顔がさっと強張る。

 学校の帰りが遅くなったある日、発作のような欲情に見舞われた聖は咄嗟に近くの公園に逃げ込んだ。まだ自慰の仕方も知らなかった聖は熱を逃がせず、山の形をしたすべり台の中、トンネル状になった闇の中で蹲った。
 ズボンを緩め、じんじんと疼くそこに手を伸ばそうとした時――いつの間にか背後に迫っていた中年の男に抱きつかれた。
 後ろから羽交い締めにされ、すでに少し濡れていたそこを指で乱暴に擦られると、聖はビクビクと達して力を失った。抵抗しなくなった子供の身体を、男は胡座の上に座らせると、己の欲望で貫いたのだった。
 トンネル内で反響しかけた悲鳴を男は大きな手で塞ぐと、1度、2度、3度と強く突き上げた。無理矢理繋がったところからは血と精液が零れた。
 暗闇の中、男は聖が女ではないことに最後まで気付かなかったらしい。平らな胸を強引に揉み、狭い穴に全部は収まりきらないペニスを激しく出し挿れさせた。
 まだ小さかった聖のペニスは反応を示さず、律動に合わせて揺れていた。男は聖が意識を失って人形のようになってもそれを続け、聖の中に射精すると姿を消した。
 目を覚ました聖は傷ついた身体を引きずって鍵谷の医院を訪ねた。泣きながら助けを訴えドアを叩いていると、鍵谷が迎えてくれた。そこで初めて、聖は自分の身体の秘密を打ち明けたのだ。

 これまでの施術も薬も、嘘だったというのか。日中の発作を鎮めるという薬を飲んだ直後は身体が火照ったが、副作用だと聞かされていた。それを鎮めるために鍵谷は聖の性器に手を触れ、施術だと言って……あれもすべて偽りだったのか。
 聖は嫌悪と恐怖に震える瞳で鍵谷を見つめる。あのすべり台の暗闇の中で見た、男の獰猛な目――今、鍵谷はそれと同じ目をしている。
「いやだっ!」
「これまでの施術で薬をたっぷり仕込んで、快楽の虜にして。キミのここも、ずっとわたしを待っていたはずだよ」
「ひっ……!?」
 硬く熱いものがそこに触れて、聖は目を見開いた。鍵谷の大きな男根がそそり立ち、聖の股間に擦りつけられていた。
「やだっ、離せ!」
「暴れるな。キミだってすぐに好くなる……いや、もうなってるか」
「あ、ああ……っ!」
 割れ目に肉棒を添わされ擦られただけで、聖はビクンと震えた。チュク、といやらしい糸を引いたそこはヒクヒクと男を誘っている。
「いや……やだ……っ」
 あの日の痛みは今も覚えている。男の汗臭い体臭を嗅ぎながら、野太い性器を強引に押し込まれて。嫌なのに聖の身体はそれを受け入れ、塞がれた口から絶えず甘い呻きを漏らした。
 あんなの、もう2度と――その思いに反して、聖の下半身は鍵谷の性器を飲み込もうとするかのように勝手に下がっていく。
「い、や挿れないで、挿れな……ぃやだやだ、やぁッ――!!」
 ズブッ、と音がしたかと思うほど深く、一気に鍵谷の性器が聖の膣へと侵入した。
「ひっ――ひぐ、」
「こりゃあ、思った以上だな……! はは、内側の襞が絡みついてくる」
「ひっ……! ひ、ひぃっ……!」
 歯の奥がガチガチと鳴る。
 今まで飲んでいたあの薬。あれを飲むと身体が火照ってあそこが濡れて、疼いて……。
「ああッや……ぁ! だめっ……だめこんな……ことやだぁ……っ」
 ぐぷん、とすべてを飲み込んだ圧迫感に聖は息を詰める。狭かった奥の方はじんじんと鈍い痛みも感じる。……痛み? 違う、これは。
「あ――ッ! あっ、あひっ! あああッ!!」
 ビクッ、ビクッ、ビクンッ!
 鍵谷が腰を動かす間もなく、聖は再び激しく極めていた。
「くっ……おい、早過ぎるぞ聖。本当に淫乱だな」
「ひぐっ……あ、ぁ……ッ」
 信じていた人のあるまじき言葉に、聖の心は傷ついていく。
「や、いやだぁ抜いて……抜けよぉッ!」
 ぐ、と鍵谷の胸を押し返そうとするが力が入らない。鍵谷が腰を引けば繋がったところが引き攣れて、腰ごと持っていかれそうになる。
「ひっ、ぎぃっ」
「締め過ぎだ。まるで聖のここはピラニアだな」
 鍵谷は聖の腿を掴むとベッドに押し付けるように力を込め、ぐぐ、と腰を引いて性器を引き抜く。内壁を擦られた聖は堪らずガクガクと身体を痙攣させた。
「あがっ……は、あッ」
「なんて顔してるんだ」
 聖の顔はほの朱く上気し、汗と涙でじんわりと濡れていた。怯えと困惑に眉を歪めながらも、瞳は快楽に蕩けている。睫毛は涙で貼りついて濃い束になっていた。薄く開かれた唇の奥で舌がヒクヒクと蠢いている様は卑猥で、鍵谷はむしゃぶりつくように唇を合わせると乱暴に腰を進めた。
「ん"ぅッ――!!」
 そのまま律動を始める。ぬごっ、ぬぼっ、ぬぢゅっ、と愛液を掻き出すような淫らな音が溢れ、聖は目を見開いたままガクガクと震える。口内を舌で貪られて息もできない。
 誰か、誰か助けて、兄さん――!
「ん"ぶッ! うっ……ン"、ン"ぅ、いやあ"あァッ!!」
「くっ、すごい声だね聖……こんなに好さそうなのに嫌だって?」
 ぬぶ、ぬぶ、バチュ、バチュンッ! 中を突き上げられる度に頭が真っ白になる。違う。こんなの嫌なのに。
「はっ、いや、やだっ、いや、いや、いやッ」
「ここは? これはどうかな」
 鍵谷は突く度に腰を回して角度を変え、探るように聖の中を掻き乱す。ある一点に聖の反応を認めると、ゴリゴリと立て続けに責めた。
「ここか、聖ッ!」
「あ"あぁっ! だめ、らめ、そこやらあァッ!」
「ふふ、5年間たっぷり薬漬けにした身体……熱くてキツくて堪らないな」
「んあっ! ああ、あッ、やだ、もうやめっ、」
 ぐち、ぐち、ゴリゴリ、と同じ場所ばかりを執拗に突き上げられて聖はまた果てる。いや、もうずっと達しているのかもしれない。頭がおかしくなる。
「子供ができたらここで産めばいいから、心配しなくていいよ」
「こ、ども……?」
 はぁはぁと荒い息を吐きながら、朦朧とした頭で鍵谷を見上げる。鍵谷は笑い、聖の胸に伏せると乳首を舐めた。
「あっ」
「だってキミのここは女の子なんだよ。妊娠できるかもしれないだろ?」
 ピチャピチャと尖った乳首を舐めしゃぶり甘噛みしながら鍵谷がモゴモゴと喋る。
「にんし……」
「赤ちゃんができたら聖がおっぱいもあげなきゃ」
 ぢゅっ、と吸いつかれて、聖の背中にぞわっと悪寒が走った。
 ――妊娠? 誰が……おれ、が? 誰の……この人の子供、を?
「い、や……いやだッ、いやァ――ッ!!」
 弱まっていた抵抗がぶり返した。最後の力を振り絞らんとばかり、聖は必死に鍵谷の顎を捉えて押し返す。
「ぐっ……何だ急に、」
「やだ、もうこんなのやだ、やだァッ!」
 鍵谷は聖の手首を掴むとベッドに押さえつける。両足を広げ鍵谷のペニスで押し止められ、まるで昆虫標本のようにされた聖はガクガクと震えている。
「いや……いやだ妊娠なんて……おれ、は……おれは、男だ……っ」
「お前はメスだよ、聖」
 鍵谷はまたゆっくりと腰を引く。強く繋がったそこは容易くは抜けず、聖の腰が浮く。
「ひっ――あひぃっ!」
「ほら、見ろ。自分からわたしのペニスに食らいついて離さないじゃないか。精子を欲しがってる証拠だ」
 ぬぢゅ、ぬぢゅ、ぐぢ、ぶぢゅっ。鍵谷の出したカウパーで中も外もドロドロになっていく。
「ほら、ほら! ここが好きなんだろ!」
「ひが……ひがうおれっ! こんなのひが……あ"ぁっ……!」
 鍵谷はぐぐ、と深く腰を押しつけると聖の耳元で囁く。
「わたしのが大きく固くなって、キミの中をいっぱいに押し広げてる。わたしの形がわかるか? ここはキミの赤ちゃんの部屋だよ」
 言いながら鍵谷は律動を激しくしていく。
 ズチュ、ズチュ、ゴヂュンッ!
 聖は為す術もなく泣きながら頭を振るしかない。
「ひっ、ひぃっ、あ、あ、あ、ん"あああッ!」
「もうすぐイきそうだ。わたしの子種をちゃんと味わえよ……ッ!」
 もはや抵抗の力を失った聖の手を離すと、鍵谷は聖のペニスと肉の芽を同時に刺激する。コリコリとした感触のそれを摘んで捏ねると、聖は弓なりに背を反らして絶頂した。
「ッ――!! ……ッは……! あひッ、い"あ"ぁぁぁァッ!!」
「そうか、やっぱりここが好きなんだね。クリを弄るとキミの中、ぎゅうって搾り取るみたいにキツくなる」
「ひぃっ、ひっ! あう、やぁッ、あ、あ"ッ……!」
「く、おッ……! 出る、聖……キミの中にわたしの精子……ッ!!」
「ひぃッ――ああッ、あ、あ、あ"ッ!? う、そッ……い、やだ出てるッなかにれて……!?」
 腹の奥に熱い潮を感じると同時に、聖のペニスからも白い液体が迸った。ビュルビュルッ、ビュクッ、と勢いよく噴き上げたそれは鍵谷の下腹を汚したが、それは今、聖の腹の中にされていることの再現でもあった。
「ふ、はぁ、あひ……っ!」
「聖も濃いのがたっぷり出たね」
 鍵谷は自身の腹にぶちまけられた精液を掬い取ると、聖の腹や胸ににゅるりと塗りたくった。ビクビクと震える身体はまだ快楽の余韻に揺蕩い、鍵谷の指の刺激にも感じている。
「キミのここ、わたしの精子を飲んで悦んでる……」
 呼吸を乱ししゃくりあげる聖の下腹を撫でながら、鍵谷は薄笑いを浮かべた。



 その日から、助手としての聖の役目は変わった。
「あうッ、あ、あ、あひッ」
「くぅっ、鍵谷先生ッ! すごいですよほら、俺のチンポ……こんなに硬く、デカくなって!」
 ギシッギシッ、とベッドが激しく軋む。
 見知らぬ男に突き上げられながら、聖はただぎゅっとシーツを握りしめて耐えるしかない。
「ふぅ、ううっ、先生の薬のおかげでッ! ああ、最高だ!」
 ズボズボ、ヌヂュ、と激しく犯された聖の陰唇は赤く腫れ、何度も出された精液でドロドロに濡れている。
「この子、こんなにして大丈夫なんです?」
 気遣うようなことを言いながらも男は腰の動きを止めない。鍵谷はその様子を鼻で笑いながら、
「ええ、わたしの助手ですから。好きなだけ使って薬の効果をお試しください」
「おおっ、本当に……! ああ、俺のチンポも凄いけど、この穴がまた……ッ」
「助手にも薬を使っていますからね。口ではイヤイヤと言うが、いくら犯しても欲しがる淫乱な穴です。どうぞ気が済むまで中に出してください」
「い、いいんですか……」
 男は思わず腰の動きを止め、形のいい尻をじっと見つめる。
 腰から上はカーテンで隠されており、顔を見ることはできない。鍵谷には、手を触れていいのは腰と尻だけ、前は弄るなと言いつけられていた。
 前を弄らずに濡れるのかと男は訝ったが、男が尻に手を這わせただけで陰唇はヒクつき、内股を汁が伝った。割れ目は子供のように小さく、すらりと伸びる足は少年のようにも思えたが、男は薬の効果を試すべく急いてそこに押し入った。
「あぅ、あ、あ、あ、あひっいや、いやっいやぁっ!」
「へへ、ハスキーな声がまた、そそりますね……う、う、出る、出るぅ!」
 男はぐっと腰を押し付つけると勢いよく射精した。聖の膣の中にドクドクと大量の汚液が流れ込む。
 この患者は勃起不全や早漏で満足なセックスができなかった。鍵谷はその治療薬を処方していたが、その効果を測る試験の手伝いを助手に命じた。男が勃起して硬度を保ったまま射精し、精液の量を見る。それを聖の身体で賄ったのだ。
「あ……ぁ……ッ」
 男の精液で腹がずっしりと重みを増すのを感じながら、聖は途中で失神した。今日はもう4人の相手をさせられ何度も中に出され、聖自身も絶頂を繰り返している。
 最後の患者は室内に入るや、淀んだ空気に少し顔を顰めた。
「鍵谷先生……お久しぶりです」
「やぁ。随分大きくなったねぇ」
 青年は少し恥ずかしそうに俯くと、小さく頭を下げた。
「先生からいただいた薬、ずっと飲んでいます。最近身体の調子もいいし、その……試験というのを受けてみようかと思って」
「待っていたよ。さぁ、こっちへ」
 鍵谷はカーテンで上半身を隠された聖の前へと導く。剥き出しになった陰部と、すでにそれを使い込まれた形跡に青年は一瞬絶句し、赤くなるとぱっと顔を逸らした。
「こ、これは……?」
「これが試験だよ」
 言いながら鍵谷はゴム手袋を嵌めた指を陰唇に突き挿れた。狭い秘部からは信じられないほど大量の精液がゴプリと溢れ、細い腿を伝い落ちた。ぐちぐちと中を掻き出すと華奢な身体は微かに反応する。カーテン越しに喘ぐような声も聞こえた。
 シーツを換え、仕上げに何か薬品を秘部に塗り込めると、鍵谷は手袋をパチン、と外す。
「薬がちゃんと効いていればキミの性器もちゃんと反応して……おや?」
 鍵谷は手を伸ばすと青年の股間をぎゅっと握る。
「あっ……!」
「ふふ、いい傾向だよ。さぁ、」
 促されて青年はベッドの上に乗る。
「あの、ゴムは……」
「ああ、そのまま出して構わない。そうじゃないと試験の意味がないし」
「……? 試験って、俺が……その、ちゃんと勃って射精できるかを見るのでは?」
「それもあるけど。まぁ、いいから始めなさい」
 訝しげにしながらも青年はそっとズボンと下着をずらすと、ベッドにしなだれていた腰を引き上げ自分の性器の高さに据えた。ゴクリと息を飲み、すでに硬くなったそれを陰唇に押し当てて擦る。
「は、ぁ……ッ」
 割れ目からはすぐさまトロリと汁が溢れてきて、青年のペニスに絡みつく。少し腫れているのだろうか、ぷっくりとした割れ目は赤くヒクついて挿入を待ち侘びていた。
「い、挿れますよ……」
 鍵谷の視線を感じる。口から心臓が飛び出そうなほどバクバクと胸を鳴らしながら、青年はずぶ、ずぶ、とゆっくり亀頭を秘部に埋没させた。
「あ、ぅっ……うわ、ぁ……ッ!」
 柔肉はぐっぽりと性器を熱く包み込み、細かい襞がぷちぷちと彼を迎え入れる。味わったことのない快感に目の奥が白くなった。
 まだだ、まだ、イッちゃいけない。
「は、ぅっ……」
 その時、カーテンの向こうからも声が聞こえてきた。
「あ、あはぁッ……ン、」
 悩ましく甘い、高い声。ぐぷぷ、と奥まで挿れると細い腰がビクビクと震えた。
「い、今の何……」
「キミのペニスでイッたんですよ。キミが、イかせたんです」
「俺が……イかせた……?」
 触れた皮膚から伝わる体温。それ以上に熱い膣に締めつけられ、青年は息を飲んだ。初めての雄としての幸福、快感に打ち震え、目頭さえ熱くなる。
「お、れ……俺は、もう大丈夫なんだ。男、なんだッ」
 ぐ、と腰を掴む手に強く力を入れると、パン、と肌を打つほど強く突き上げた。カーテンの向こうでぎゃう、と悲鳴が上がるが、野生を取り戻したかのような彼はそれに気付かない。
「う、う、くぅっ! きもちぃ、きもちぃッ……!」
「ひは、はう、う、うっ! あっ、あんッ!」
「おや……」
 遠くから座って見ていた鍵谷が席を立つ。夢中になって腰を振りたくる青年を通り過ぎ、シャッ、とカーテンの奥に入った。
「どうした? いつもより感じてるみたいじゃないか」
「あう、あ、あんッ! あ、ひぁン!」
「今日はもう5時間ぶっ続けだっていうのに……毎日何時間も子種を注がれて何故今まで孕まなかったのか不思議だったけど、これが答えか」
 鍵谷はボソボソと聖の耳元で続ける。
「きっと相性があるんだ。キミと相性が1番いい人が彼とはね」
 カーテンの向こうで青年の声が聞こえる。
「うぅ、うっ、ああ、イく、出る、出るッ……!」
「あッ……なか、は……っなからめ、ぇ、あ"はぁぁぁんッ!!」
 ビュルビュルッ、ビューッ、と大量の精液が中に注がれ、聖は目を見開いて達する。キツくなった締めつけに青年は呻き腰を震わせた。最後の一滴までトプトプと中に注ぐ。
「は、はぁ、は……なんて、気持ち好いんだろう……。まだこんなに硬く……どうしよう、止まらない」
 嵌めたまま再び始まる動きに、聖は涙を零しふるふると首を振った。
「ひっ、もうむり……っ、終わりにしてぇ……んあッ!」
 剛直が狭い膣を擦り上げ、ゴリュ、と奥を突き上げる。子種を植えつけるような動きに聖の細い腰はぞくりと震えた。
「聖、いいことを教えてあげよう。今キミを犯しているのは要(かなめ)だよ」
「え……?」
「キミの、お兄さんだ」
「に、ぃ……? ……ひ、ひぃッ、いやあ"ぁぁぁッ――!!」
 つんざくような絶叫が部屋を満たす。さすがに青年――要も一瞬たじろいだが、未知の快楽に取り憑かれた律動は止まない。
「いや、いやいやだめ、だめっ、こんなの、こんな、こんなぁッ」
 兄の手にペニスを、クリトリスを、乳首を愛撫される夢を抱きながら自分を慰めてきた。けれど、現実にこんなことを望んでいたわけじゃない。こんなこと、絶対あってはいけないのに――なのに、聖の身体は兄に与えられる快感に打ち震え、今までに感じたことのないような連続絶頂に追い込まれる。
「ひぎぃっ!! あ"ぁーッ! やんッ、あ"ぐ、あ"ァ〜〜ッ!!」
「くぅ、何だこの締めつけ……波、みたいにクる……!」
「あ"、あ"ぁッ! や、に、に"いさッ! ん"んッ! ふぁ、あッ、あンッあ"ぁンッ!」
「イく、イく、イく、出るッ――!!」
「だめ、だめ中はらめ、なからめぇッにいさ、いあああッ――!!」
 中に熱いものを注がれ、聖はぞくぞくと身体を震わせた。体内に広がる兄の精液――それを受け止めながら聖も射精する。
 息を荒くして快楽の余韻に呆然としていた要だったが、それに気付くとうわ、と声を上げて腰を引いた。ニュポ、と性器が抜けると膝を立てていた聖の身体が崩れる。途端に穴から溢れる夥しい量の白濁。
「あ、何――これは、一体……ペニ、ス……?」
「おや、気付かなかったのかい?」
 カーテンの隅から顔を出した鍵谷が、シャッ、と布を引く。
「な――……なん、……えっ――?」
 要はベッドを降りるとヨタヨタと後ずさり、ガクンと膝をついてへたりこんだ。
 ベッドの上で胸を上下させぐったりと倒れ込んだ少年の姿に、声も出ない。
 鍵谷は要の受けた衝撃などお構いなしに聖の陰唇に指を差し入れると、ぐぱ、と開いた。奥からは次から次へと精液が溢れ、尻を汚していく。それは疑いようもなく、たった今要が吐き出したものだった。
「ふむ、これだけ出ればキミの道具も問題ないな。さっきの聖のヨがり方……もしかしたら聖を孕ませられる運命の人はキミかもしれないよ、要」
「ひっ……ひっく……、にいひゃ……らめ……あかひゃ、れきひゃ……っ」
 聖は兄の精液を蓄えた下腹を押さえながら、うわ言のように繰り返した。

2018/03/17

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