Long StoryShort StoryAnecdote

欲望バス


「お前、東京から来たってヤツだろ?」
 バス停で偶然出会った少年に不意に声をかけられた渡海修太(とかい しゅうた)は、面食らって言葉が出てこなかった。
 少年の指摘通り、つい先日東京からこの田舎町に越してきた修太は、初めてのバス通学に緊張していた。
 東京では生徒の多くは学校まで徒歩15分圏内に住んでいたし、少し離れていても自転車通学ができた。こんな山深いところにぽつんと佇むバス停など、そもそも目にしたことがない。
 おまけに東京は人が密集している分、積極的に干渉することはなかったが、ここに来てみれば登校初日だというのに、朝から見知らぬ人に気さくに声をかけられる。人見知りのきらいがある修太は応対に四苦八苦させられた。
 自己紹介もそこそこにまだ馴染まない教室でもくたびれ、やっと下校時間となってもこんな風に構われて……修太は子供ながらにも辟易の色を滲ませてしまうのだった。
 そんな修太に構わず少年は手を差し出すと、自分は隣のクラスの純七(じゅんしち)だと名乗った。
「今日から登校なんだろ? お前が引っ越して来たマンションから通ってるヤツ、俺何人か知ってるよ」
 修太が越して来たのは父親の会社の社宅だ。大きな会社だから、同じ学校に通う中にもそういう子はいるかもしれない。
「帰りのバスの乗り方を教えてやるよ」
「朝乗ったからわかるよ」
 馬鹿にされたように感じた修太は口を尖らせて言い返したが、純七はその対応まで想定していたかのように笑いながら首を振る。
「帰りはまた違うんだ。ちゃんと見てないと降りられないぞ。それにほら、例の噂は知ってるか?」
「噂?」
 純七は思わせぶりに声をひそめた。
「この山の途中で、3人の子供が行方不明になってる」
「え……」
 ここに来たばかりの修太は当然知らない。慣れない土地、鬱蒼とした自然の薄暗さも伴って、ゾクリと背中に恐れが走る。
 その時、1時間に1本のバスがやって来た。純七はにやっと笑うと「ほら、一緒に乗ろうぜ」と言って修太の手を引いた。

 バスの中には3人の先客がいた。最後部中央にどっかりとかけているのは50がらみのサラリーマン風の男。ドア側の座席には40代くらいの男がいて、通路を挟んだところには大学生らしき青年が座っていた。
 修太は純七に促されて中央から後方の段差を上がったところの席に横並びに座る。
 ランドセルを下ろして膝の上に抱いた時、外からランドセルをガタガタと鳴らす音が近づいてきたと思うや、乗車口に子供達が駆け込んで来た。
「間に合ったー!」
「セーフ!」
 修太よりも年下だろうか、少年が3人乗り込むとドアが閉まり、バスが走り出す。少年達はごく自然に、それぞれが先客の大人達の隣に座った。
「よろしくね、おにいさん」
「僕、ゴルフ場前まで」
「おじさんの降りるところでいいよ」
 少年達は口々に言うと、隣席の男の膝に乗ったり、自ら首を傾いだりと奇妙なしなを作った。修太が「あっ」と声を飲み込む間に、男達は少年の誘いを諾としてその幼い身体に無骨な手を伸ばす。
 ある組は恋人同士のように口づけを交わし合い、またある組は大人の方が少年の身体を性的な意図を持ってまさぐり始めた。
「よーく見ていてごらん」
 純七は驚き目を見張る修太の表情を楽しむように悪戯っぽく笑むと、にわかに興奮した様子で唇を湿らせた。
「あっ、はぁ、はっ……ん、おじさん、触って……?」
 男の膝に座った少年は大胆に股を開くと自分からズボンのファスナーを下ろした。下着の隙間から小さなペニスを取り出し、辿々しく扱き始める。男はその手を邪険にどけると、大きな手でその役を奪って乱暴にこすった。
「あ、ああっ♡待ってまだ、激し……っ」
「お前が触れと言ったんだろう?」
 少年は首を打ち振るうと、少しして小さく悲鳴をあげて細い肩を震わせた。
「は、はぁ、はっ……」
「坊やだけイッても降りられないぞ」
 達してしまったらしい少年の耳元に男が囁く。少年を抱え直すと男は自分のズボンの前を寛げた。
 修太はそれを食い入るように見ていたが、その後ろから不意に大きな声が上がった。
「お願い早く、もう挿れていいからぁっ!」
 青年が座っていた隣の席に後ろ向きに膝立ちで座った少年。背凭れにしがみついた体勢で、その尻はぷりんと剥き出しになっている。バスの進行方向とは逆向きに立った青年は勃起した性器を取り出すと、それを少年の肛門にぐっぽりと突き挿した。
「くぅ、うっ……、相変わらず狭いな……!」
「あっあっ、あァ〜〜っ!!」
 少年は眉を寄せると口元を緩めた。少年の細い腰が淫らに揺れる。次いで、パチュパチュと肌を打つ音が車内に響いた。
「あんっ、すご、いよぉ……っおにいさん、おにいさんのっ……ああっ♡おにいさんのチンポきもちぃ……っ」
 はしたない言葉を吐きながら、少年は恍惚とした表情で笑う。
「淫乱のクソガキ、イけ、イけ、イッちまえよ」
「は、ぅ……っ♡」
 顔を赤く染めた少年は、ビクビクと身体を震わせ達した。
「おう、うっ……!」
 青年は少年を押し潰すように身体を重ね、ぐっと腰を押しつけると尻の筋肉を震わせる。少年の中で射精したのだ。青年は手の平を降車ボタンに叩きつけた。
「ふぅ……、おい、まだ帰るには早いだろ?」
「う、ん……もっと、おにいさんの欲しい……」
 少年はうっとりと青年を見上げるとキスをせがみ、望みを叶えてもらうと向き直っていわゆる駅弁の体位になった。そこでバスが停車する。
 青年は少年の背負っていたランドセルを掴むと、少年と結合したままバスを降り、バス停のベンチに座ってそのまま行為を再開した。
「あっ、あんっ! だめ、待って今……は、はぁ、あっ……♡」
 少し遠くなった少年の喘ぎ。バスは彼らを置いて再び動き出し、交わる2人はやがて点景となって遠ざかっていった。
 目の前で起きた出来事が信じられず、修太はあんぐりと口を開けていた。それは初めて目にする本物のセックスだった。それも、大人対子供、男同士の。
「な、にこれ……? こんなの……」
 おかしいよ、と言う前に純七が修太の疑問を汲んでにこりと笑う。
「このバスはこうしないと降りられないんだ。乗ってる大人達をイかせたら、大人がボタンを押してバスは停まる。簡単だよ、見てごらん」
 段差になったところに、ポールにしがみつきながら立ちバックで犯されている少年がいた。先に降車した少年に比べて幼い彼はまだ不慣れなのか、表情を強張らせながらも懸命に腰を捩っている。
「あ……んっ、あ、ふかいぃ……っ♡」
「前より慣れてきたじゃないか。偉いぞ」
 小さな尻には、それが抜き挿しできるのが不思議なほどの禍々しい剛直が突き挿れられていた。
 最後部の座席はソファのように横に寝かされた少年が、片足を男の肩に上げて横抱きにされて犯されていた。
「だめっ♡でる、イく、イッちゃう〜〜ッ!!」
「うおっ、ぐ、すっげぇ痙攣して……!」
「ひぁ、あっ──ああっ……!」
「うっ……、クソ、もうイきやがったか。ゴルフ場前までまだあるぞ」
 性器を挿れていた男は少年の膝頭をぐっと掴むとピストンを早め、追いつかんとばかりに自身を昂らせると少年の胎内に精液を吐き出した。
「ふぅ……チッ、コイツいつも早ぇんだよなぁ」
 ボヤきながら性器を抜き取ると、少年の秘部からタラー、と白濁が溢れ出た。男は少年を引き起こすと脇に抱えるようにしてバスを降りる。バス停の脇の茂みの中に姿を消して行く様子に、修太はぞっと身震いをした。
「無理……ぼく、無理だよこんな、」
 逃げ場のない車内で後ずさった時、ドカドカと足音がした。たった今降車した2人と入れ違いに、何人かの男が乗り込んできたのだ。
 そのうちの30代くらいの男が、修太の前まで直進して来ると手首をぐっと捕らえる。さらに、相手のいない男達の手が次々と。
「なんだ坊主、もしかして初めてか?」
「なら、みんなで手取り足取り教えてやらにゃな!」
「や、やめ……離してください、」
 修太は大人達にがっちりと押さえ込まれると、なすがままにズルリとズボンを引き下ろされた。剥き出しになった尻に男達の手が伸びる。
「いやだ! 離して!」
「都会から来た子か? 色が白いな。それになんていうか……いい匂いがする」
「ま、これから俺達がザーメン臭くしてやるけどよ」
「やだ、離して……やだぁっ!」
「おーおー、小さくてプリッとした可愛いケツだ。おじさん達のでっかいチンポに耐えられるかなー?」
「抵抗するガキは久しぶりだな。いいぜ、俺は力ずくでブチ込む方が興奮するんだ」
 男達は修太の手をひとまとめに掴むと通路に押し倒す。1人が修太の膝を押し開き、自分の胴を挟み込んだ。修太は手首を押さえられながらも必死に首を左右に打ち振るう。
「やだ、やだあっ!」
「天国見せてやるよ」
 抵抗の甲斐も虚しく足を開かれてしまう。恥ずかしさよりも恐怖が勝り、修太はひび割れたような悲痛な叫びをあげた。
「やだぁっ! 離して、離してぇっ!」
「くそ、なかなか強情だな……おい、手伝ってくれないか」
 言うと、手の空いた男達が狭い車内で器用に立ち回った。
「可愛い子じゃないか。どれ、わたしも味見させてもらおうかね」
 修太は上体だけ起こされると後ろから両手首を掴まれ、正座した男の太腿に背中を預けるような形で身動き取れなくなってしまう。、正面に陣取った男は手に唾をつけると、太い中指を修太の無防備な肛門にずぶりと挿入した。
「い、やっ……! いたい、いた、」
「慣れるまでは我慢しな」
「いやっ! 痛いぃっ!」
 ぐち、ぐち、ぬち。指が浅いところで出し挿れされる。堪らない違和感と痛みに、修太は泣き喚く。首を振っても固定された身体は逃れられない。その間にもまわりの男達は好き勝手に修太の肌を撫でた。
 やがて修太の肛門を虐める男の指にある一点をこすられると、びくん、と身を強張らせた。
「あっ!?」
「──ここか」
「いやっなに──や、いやっ! ん!」
 くちくちと同じところを指で刺激され、頭の中に星が爆ぜる。嫌なのに、身体が反応してしまう。
「お、いっちょまえに勃ってきたじゃないか。小さくて可愛いチンポが……」
「さわ、ないで……ああっ!」
 中を弄られながら性器を扱かれて、修太は味わったことのない快感を覚える。指で広げられた穴は痛むのに、じょじょにその刺激が好くなってしまう。男の指がもう1本増えても、修太の肛門はそれをすんなりと受け入れた。
「はぁっ! あっ! だめ、だめっ……!」
 何か、来る──押し寄せる波に飲み込まれるような感覚。修太はぎゅっと目を閉じ歯を食い縛るとそれを解放した。目の前が白くなる──。
「あっ……! は……、」
「へへ、イッたか。……ん? おや、こいつは……」
 お漏らしをした、と思ったが違った。修太は何も出してはいない。けれど、自分の腸壁が男の指をビク、ビク、と断続的に締めつけているのを感じた。
「このガキ、まだ精通前だぜ」
「そりゃあいい! たっぷりイき狂わせてやれる」
「ひ……はっ……ぁ、あん、ああ、あ!」
 達した快感のまま、中をぐちぐち責められて声が止まらない。
「どうだ、気持ち好いだろうボウズ? これからもっと好くなるからな」
 言うと、男は指をズルッと引き抜いた。空虚になった穴に、熱くて硬いものが押し当てられる。
「小せぇ穴だな。入るか?」
「何とかイケるだろ。入ればヘソまで届きそうだ」
 朦朧とした修太はそれが何であるかを理解するよりも前に、ぐぷぐぷと飲みこんでいく。
「んひっ、ひうっ……!?」
「う、く……、ああ、やっぱり初モノは狭いな……っ」
 先に指で解されたそこを、さらに太いものに抉じ開けられていく。
 不思議なことに、痛みはあまりなかった。ふわふわとした陶酔感のままそれを受け入れ、指でされたよりも深いところまで飲み込むとビクンッ、と大袈裟に身体が芯から震えた。
「ひンッ……!?」
「おっほ、何? ここが好いのか?」
「あっ……な、に……っひ!?」
 圧迫されている箇所がじん、と痺れる。
「俺のチンポがお前の腹の中に入ってるんだよ。さっきの余韻でまだビクビクしてやがる……本当に初めてか? それにしちゃあ、」
 男の手が修太の太腿をがっちりと押さえ、広げる。そして──。
「はうッ──!!」
 ばちゅんっ、と腰を打ちつけられ、より深いところを突き上げられた。衝撃に、口の端から涎が垂れる。
「おっほほ、すっげぇ締めつけ……!」
「ひっ……! ひ、やあぁぁぁっ……!」
 全身を硬くし、その痛みともつかない強い快感をぎゅうっと抱き締めるように修太は目を瞑る。その縁からほろり、涙が落ちた。同時にきつく締めつけられた男のペニスは、修太の中で快感に震える。
「好いぞ、好いぞっ……キツキツの処女穴……! 久しぶりだぜ、このウブで可愛らしい反応!
ほら、俺のチンポがお前のケツマンコにぐっぽりハマってんだぞ!」
 お腹が苦しい。味わったことのない感覚が怖い。次から次へと涙が溢れてくる。
「い、や……っ、おねが、やめ……ひ、いやぁっ! 離して、誰か──あッ!!」
 再び、男の性器がズン、と奥を突いた。瞬間、修太は高い悲鳴をあげる。
「いやぁっ──!! やだやだ、やめてぇっ!!」
「やっぱりここが好きかぁっ!」
「い"や"あ"ぁぁぁっ!」
 ぬぼ、ぬぼ、ぬぢゅっ。激しいピストンに追い立てられるように、修太の身体が揺れる。背中にはエンジンの振動、カーブを曲がる車体に重力も加わって天も地もわからなくなりそうだ。
「おうっ、うっ♡うはっ♡やべぇ、やべぇっ♡」
 男は修太の腰を掴むと引き寄せるようにして連続で突き上げる。ズン、ズン、とリズミカルに男根が前立腺を抉り、修太の内股が快感に粟立った。
「ひぃっ! ひんっ! ひっ! ひぐっ!」
「くっ、腰が止まらねぇ……っ! イく、イく、出るッ……!!」
 瞬間、修太の中で熱が爆ぜた。男は快感のあまり口角から涎を垂らす。
「あーッ!! あっ、ああっ……ひあ──〜〜ッ!!」
 びゅるびゅると奥に注ぎ込まれる精液──男は射精しながらも腰を振り、快感に悶える修太の中を突いた。欲望の汚濁を浴びた修太の薄い腹がビクン、ビクン、と跳ねる。
「つ、次は俺だ! 俺も中出ししてやる!」
 修太の乳首を弄り回していた小太りの男が躍り出ると、挿入していた男を退け場所を代わった。
「うっ……ひ、やっ……!」
 漲る男根の筋や浮き出た血管が修太の肛門を押し開く。柔らかな内壁は男のカリ首に捲りあげられ、ゴリゴリと乱暴に狭い奥まで掘り進めていった。男の重たい腹の肉が、修太の下腹に乗った。
「うほぉ、すっげぇ! チンポの先が好いとこハマって……極上品だぜこのガキ!」
 ズパンッ、と肌がぶつかり、再び強い衝撃が修太を襲う。
「ぎぃっ──!! いやっ、やだ抜いて、抜い……っひ、ぎっ……! あ"あぁッ〜〜!!」
 グリグリと奥を責められた修太は叫んだが、その悲鳴の末尾には快楽の震えが混ざっていた。
「ひひっ、ああっ好いぜぇボウズ……っ! お前のオマンコ……トロトロに熱くて女より具合が好いぜ!」
 修太は痛みから逃れるために無意識に腰を揺らしてしまう。その所作はまるで娼婦のようで、ますます男を興奮させた。
「やあっ! あ"っ、あ"んッ! やら、たすけ、たすけて……! は、あ"ッ──!!」
 口ではいやいやと言いながらも、中を抉られる快感が奥の奥まで刷り込まれていく。まわりにいる男達も脂ぎった顔に欲望を隠そうともせず、舌舐めずりをしながら修太の滑らかな肌をいやらしく弄った。
「あーあ、処女穴ぱっくり拡げられちまって、可哀想に」
 まるで憐憫を感じていない愉し気な声で横にいる男が嘲った。
 小さく閉じていた秘部は男の野太い性器に抉じ開けられた挙句、2人目にも激しい挿入とピストンを繰り返され縁が赤くなっていた。出し挿れの度に精液やカウパーが愛液のように溢れて、排泄器官だったそこが雄を悦ばせる性器に作り変えられていく。
「やめて……もうやめ、うあっ、あっ、ああっ!!」
「ひひっ、堪んねぇっ♡初めてのセックスの思い出、しっかり腹の奥に残してやっからな!」
「んぶっ!? んんっ! ん"──ッ!!」
 男は修太に口づけながらさらに腰を振りたくった。奥深くまで長い性器を嵌められ、口の中は舌で嬲られて。まるで自分の身体ではなくなってしまったみたいだったが、間違いなくその身体が受ける苦痛も快楽も、修太自身が感じているものに違いなかった。修太は自分を見舞う状況をまだ正しく理解できないままに、翻弄されるよりほかない。
「んぶっ! んふっ! ふぅっ!」
「うっはは、お前のエロエロの可愛いマンコ、おじさん達のぶっといチンポでたっぷり掻き回してやるからな♡それ、それっ!」
「んはっ! やめ、やめでっ、うごかな、で、もうや、」
「お前のオマンコはそう言ってないぜ? 俺のチンポの先っちょに、」
 男は急に律動をやめる。突然責めから解放された修太の肉襞は、続きをねだるように男の性器の先にビクビクと吸いついた。
「……チュウッ……♡」
 そのあまりにおぞましい感覚に、修太は顔を歪めて呼吸を乱した。
「ひぃっ……!? や、いやだぁあぁっ……!!」
 男は修太の反応を愉しむように、怯える顔を覗きこみながらゆっくりと腰を進め、亀頭部を奥の襞に押しつける。閉じている扉が、抉じ開けられていく。
「ぎっ……ひぃ……っ!!」
「うっ……ほぉ♡」
 男が涎を垂らす。修太の奥に再び熱いものが放たれた。修太は堪らず嗚咽を漏らした。びく、びく、と内腿が震える。
「ぎっ……!! い、アッ……!!」
「ほら、おじさんのチンポに吸いついて離さないのはお前の方だぞ? 抜きたけりゃ自分で抜いてみな」
「……そん、な、」
「ほら」
 男は両手を上げて修太から身を引く。修太は震えながら男の出っ張った腹に手を当てると、腰を引こうと足に力を込めた。
「んっ……」
 ヌル……と擦られ、引きつれる。ぞくぞくと背中に痺れが走って、膝が震える。
「ふぁあッ……!」
 男の性器は長く、逞しく反り返って修太の腸壁をびっちりと圧したままだ。そこから逃れるにはもっと腰を上げないといけないのに、踏ん張らなければならない足や腹に力が入らない。自分の身体が媚びるように男の性器を愛撫して離さないという事実を嫌でも実感する。
「抜けな……抜けないよぉっ……」
 力尽き、手の力が緩むと男の性器がヌルヌルと押し入ってくる。
「ひい、いっ!!」
 不意を突いた強い突き上げ。
「おい、お前はもうイッたんだろ? 代われよ」
「ったく、しょうがねぇな」
「あ……ぁ……っ」
 痙攣する修太の足を広げると、ぬぼぉ……と性器を引き抜く。汚液は床はもちろん、修太の白い足と男の浅黒い肌との間で糸を引いた。
「さぁ、今度はおじさんの相手を頼むよ」
 ドロドロと穴から溢れ出る精液に鳥肌が立ったがそれも束の間、すぐに3人目の男の剛直を充てがわれにゅぷにゅぷと嵌められてしまう。ぐぢゅん、と音がして、奥まで突き挿れられた。
「は、ひっ……ぃ!!」
「うっひょ〜、すげぇ……! あーでも確かに、こんなキツいの久々だな。他のガキはもうすっかり慣れちまって……なぁ、背中痛いんじゃねぇ? 立ちバックとかどうよ」
 修太は男に引き起こされると、ポールの前で犯されている少年と向かい合わせに立たされた。
「あ……、おにいさんも……? 一緒に、愉しもう、ね」
 少年は背後から突き上げられながらも、紅潮した顔でうっとりと笑んだ。修太はその少年の幼さを逸した異様な艶のある表情に恐怖した。
 修太の動揺に構わず、男は修太をポールにしがみつかせると後ろから挿入した。
「は、うっ……!」
 貫かれる衝撃はもちろんだが、溢れてくる精液が内股を伝う感覚に感じてしまう。少しでも逃れたくて修太は爪先立ちになったが、元より身長差のある男に対して意味はない。バスの揺れでフラつきながら、ズコズコと中を突かれて息を乱す。
「おねが、しま、……も、ぬいてくだ、さ……ぬっ……そんなっ、だめぇっ、」
「もっともっと、気持ち好くしてやるからなっ!」
「は、あっ! いや、そこやだっ! あああっあんッ!!」
 もう十分過ぎるほどひどくされたのに。これまでの行為がただ慣らすためだったのではと錯覚するほど、最後の男の性器は太く、長かった。これまで届かなかったさらに奥を突き上げられて、脳天にまで衝撃が突き抜ける。立っていられず腰が抜けたが、男に身体を押しつけられて無理矢理貫かれた。
「ひあッ〜〜!! ひんっ!! ひぬっ、ひんじゃ!! あっ!! ひあぁぁんっ!!」
「エロい声出して……東京のビッチが! マンコビクつかせて、奥までグチョグチョだろーが!!」
 男は乱暴に修太の顔を掴むと振り向かせ、唇を唇で塞いだ。ねちょねちょと舌を絡ませながら両手で乳首を弄り倒し、その間も腰の動きは休ませない。
「ん"むぅッ〜〜!!」
「はは、すげぇなこりゃ……」
 さっきまで修太の身体を愉しんだ男達も、行為の激しさにゴクリと息を飲んだ。
 修太は嗚咽しながら極め続けている。「膣」をこすられるだけでも達し、「子宮口」を突かれても達した。奥まで嵌めてピタリと動きを止められ、そうして乳首を捏ねられればそれでもやはりガクガクと震え、男の性器を締めつけてしまうのだ。
 修太はポールダンスのように膝を開いた状態でガクンとしゃがみ込んだが、男はポールにしがみつく修太ごと、丸太を抱くようにぎゅっと腕の中に閉じ込め、その状態のまま腰を振りたくった。
「おら、おら、どうだ! ゴリゴリこの辺突く度にイッってんだろ!!」
「……ッ! はひっ! ……ッ!! ──〜〜ッ……!!」
 腕の中で身動ぎもできない修太は、男の胸の隙間から少しだけ覗いた頭をガクガクと揺らし、声も出せずに絶頂した。
「さっすが都会の坊やは違うなぁ! しっかり開発してやろうな……ウゥッ!!」
 ビュグビュグッビュルルル──〜〜ッ!!
 修太の「子宮」に、男の精子が吐き出される。熱く、濃く、大量で勢いのあるそれは修太の腹の奥にまで届いて薄い腹を膨らませた。
「あーあ、初めてでやり過ぎだろ。どうすんだ? この子、どこで降ろすんだって?」
「おじさん達、」
 少年の声が呼び止める。男達が振り返ると、バスの降車口の前に身支度を整えた純七が立っていた。
「そいつの分で俺が降りるから、ボタン押してよ」
 男達は顔を見合わせたが、気絶した修太を見下ろすと下卑た笑いを浮かべて素直にそれに従う。ピンポン、という電子音と共に、車内の降車ボタンがすべて点灯した。
「ありがとう。じゃあまたね」
 純七はこの狂気のバスに同乗していたとは思えない爽やかさでにこりと笑うと、停車したバスから軽やかに降りる。
「このガキ、どうすんだ?」
 残された男達は無防備な痴態を晒したままぐったりしている修太を取り囲み思案する。
「さぁな。ま、運転手さんもハメるだろうし、車庫行きじゃねぇの?」
 男達は笑うと、修太を後部座席へと引きずって行った。
「まだまだ、終点まで付き合ってもらいますよ? お客さん」
 バスの灯りは、山道の奥深くへと消えて行った。

 純七はその赤い光の軌跡を見送ると、車の進行方向とは逆に踵を返して歩き出す。カタ、カタ、と鳴っていたランドセルの音はやがて速くなり、純七はスキップしていた。
「これで、7人目」
 歌うように言う少年のシャツには桜色の名札がついている。そこには「多井中純」と書かれていた。彼は修太に偽名を名乗ったのだ。
 これまでに転校してこの辺りに東京から引っ越して来た少年は修太を含めて7人。うち3人は先のバスに同乗していた少年達だが、残りの3人はこのバスの「歓迎」を受けて1人は不登校に、残りの2人はすぐにまた引っ越してしまった。
 軟弱者、と純は吐き捨てるように呟く。
「東京が何だ。生っ白い身体して、俺達の学校でデカい顔しようったってそうはいかない。せいぜいここの大人達を愉しませてやるんだな」
 卑屈に嗤うと、少年は緑の深い方へと駆け出した。

2019/09/08

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