*入科オーディション・ダンス審査会場*
審査がどこまで進んだかわからず、とりあえずあたし達はダンス審査会場に来た
しかし、もう終わっているようで、会場には誰もいない
「あれー?誰もいないね」
樹「もうダンス審査は終わったようだね。次は面接か。」
審査員用に配られたタイムスケジュールを見ながら確認する
「そうだね。じゃあ樹、面接会場にっ…」
ガラッ!!!
「…だ、ダンス審査は…ここか?」
あたし達が次の面接会場に移動しようとすると、突然息を切らした紫色の髪をした長身の男の子が勢いよく入ってきた
「…もしかして、入科オーディションのダンス審査?」
空閑「…は、はい。来る途中にバイクが故障しちまって」
つまりはあたしと同じ、遅刻組かー
「ダンス審査、もう終わっちゃってるみたいなの。次の審査は上の階で面接だよ」
空閑「…そ、そうですか」
とても急いできたのか、男の子はその場にぺたりと座り込んでしまった
「だ、大丈夫!?」
樹「なるほどね、じゃあ俺らと同じってわけか」
空閑「…お、同じ?」
樹「俺達も遅刻組さ。キミ、名前は?」
空閑「…1年A組。空閑愁」
樹「空閑ね。じゃあ、見てあげるから、スタンバイして」
空閑「…ああ?」
樹「俺は華桜会のメンバーの一人だ。ここで俺を納得させるダンスを披露すれば、キミもスター枠に入れるかもしれないよ?」
「ちょっ…樹!」
樹「ああ、彼女は俺の愛しい大事なお姫様。ちなみに彼女も君を選考する側の人間さ。」
空閑「……」
空閑くん、思いっきり警戒してる;;;
樹「やるの?やらないの?」
「空閑くん!あたし、空閑くんのダンス、見てみたいな!やってみせて?」
空閑「…わかりました」
すると空閑くんはカバンを置いて、教室の中央に立つ
樹「ステップは何でもいいよ。キミのダンスを見せて、ボーイ!」
空閑「………すぅっ…」
すると、空閑くんのステップが教室全体に広がった
なんだろう
音楽もないのに、一気に空気が変わった。この感じ。
中心で華麗にステップを踏む、自由に舞う空閑くん。
樹「……いいね」
「…いつき??」
樹は、優しい表情で、空閑くんを見続けた。