思っていたもの




「嫌がらなくなったよね」
『言い方悪いかもなんだけどさ、慣れた』

『やっぱまずい?』
「だったら俺から求めないでしょ」
『それもそっかあ。私も⋯⋯』

「ん?なんて?」
『ハマったのは私のほうかもしれないなあって』
「意味ありげに深いこと言うのやめない?」
『なんも深くないわ』
「俺がグッときた」
『そっちか』
「なのでもう一回」
『する元気もないくせによく言うよ。寝るよ』
「え?今のは煽り?だとしたら俺は男として応えたいまでなんだけど?」
『あれ〜?余計なスイッチ点火しちゃったかなあ?』
「惚けても可愛いだけだから無駄だよ」
『うぜー』
「悪態ついても無意味」
『じゃあどうしろって言うの』
「俺に抱かれればいいんじゃないかな」
『北斗くん元気でいつも参っちゃうんだよ、私が持たないから今日はもう寝よ?』
「その解説今更遅いでーす」
『⋯⋯伝わってるくせに』

「ちょっとだけ付き合ってよ」
『やだ』
「ちょっとだけ」
『その言い方先っぽだけって懇願してる人みたいで嫌』
「先っぽだけじゃ物足りないもんねえ」
『⋯⋯なんか北斗うざい』
「本当のことでしょ?」
『知らん!もう寝る!絶対寝るんだから!』

なまえは俺に背を向けて布団を被り直した。
その布団をめくって中に入る。

「ねえだめ?」

「なまえちゃーん」
『おやすみ』
「わかった。おやすみ」

キミが寝てる間に好き勝手するの俺得意だから寝ててもらって構わないよ。



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