ある昼下がりの談話室。
稽古が入っていないため、何人かの劇団員がゆったりとした時間を過ごしている。

「丞さん、コーヒーどうぞ」
「ありがとう、監督」
「いえいえ、そういえばこの前見に行った演劇なんですけど…」

コーヒーを飲みながら演劇論を語る奴らもいればー

「ダンスを教えてもらってね。
なんでも踊りながら詩を読むとより一層作者の気持ちが伝わるというのだよ」
「ダンスなら、ワタシの得意分野ダヨ!
一緒に踊るネ!」

ダンスを踊りながら詩を朗読するやつもいる。

「全く、飽きない劇団だな」
「相変わらずですよね。
でも、千景さんも嫌いじゃないでしょ?」
「まあね。面白いし」
「それな」

俺はゲームに興じる茅ヶ崎の隣でカオスな集団を眺めつつ雑談をする。
昔はこんなことをしてる自分なんて全く想像出来なかった。

自分の変わった部分に想いを馳せていると談話室に稽古着を着たガイさんが入ってきて監督に近づいた。

「監督、少しいいだろうか」
「ガイさんどうしましたか?」
「次のストリートアクトのテーマなんだが…」

そんな風にガイさんが相談に来た時だった。

「むっ!閃いた!熱気立つハワイコナ…あっ」
「うぉっ!熱っ!」

ダンスで足をもつれさせた誉さんがコーヒーを飲んでいる丞の背中に激突し、彼のバーソロミューはコーヒーでびしょ濡れになった。
誰の目から見ても丞の機嫌が急降下しているのがわかる。そしてこれがガイさんに起こる悲劇(笑)の発端となった。

「た、丞君、少し落ち着きたまえ…」
「有栖川…」
「ギャー!!」
「!?」
「わあっ」
「監督!!」

誉さんと丞のいざこざに巻き込まれる形でガイさんが監督を押し倒してしまった。
とっさのことにもガイさんは監督を左腕で抱き寄せ、右手で受け身をとってどちらの体も守る。
流石、ザフラ王国の王位継承権一位の王子の護衛を務めていただけある。
そんなことを思いつつ俺とシトロンは笑いながらガイさんと監督を茶化す。
談話室に近づいてくるとある足音。
これは楽しいことになりそうだ。
俺はニヤリと笑った。
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