5


『……お人好し』


俺は拳を振り落とした。
そいつは俺に胸倉を捕まれながら、
気の抜けたような情けない声を出す。


『次、コイツやったら殺すから…』


男は後の二人を抱え、走り去って行った。
俺はその光景を無心で見ていた。

空っぽになってしまった俺の内側。
あんな奴等に何を腹立たせていたのだろう…


***…
その鍵を握る女は、依然と蹲ったまま。
俺は静かに近くに歩み寄って行った。

足音が近付くと、***はほんの少し頭を上げる。


『本当に…嫌いだったら良かったのに…』

「か、はら…く…ん…?」


俺は抱きついていた…
そう、無意識に。

肌蹴た肌は冷たくてか弱い。
俺に投げかけたあの強気な言葉が嘘みたいだった。


其処でようやく分かったような気がした。
俺はどうすれば良いのか…

本能ニ身ヲ任セロ…


腕を背中まで回して、俺は出来るだけ優しく抱いた。
まるで壊れたモノを抱えるように…

***はようやく顔を上げる。









『ごめん…好きだ…』

- 93 -


[*前] | [次#]
ページ:



生意気な餓鬼。 index