第六話 筑波嶺の
夢を、見ている。私は夢の中で横たわっていて、目蓋を閉じてうとうとと微睡んでいる。
その横で、誰かが髪を梳いていた。撫でるように触れる掌は、とても温かい。目蓋を透かして、淡い影が寄り添っているのが見えた。――笑っている気がした。目を細めて屈託なく微笑むと、その顔は儚げにさえ見える。瞳には翳りもない。
髪を梳られながら、何度も名前が呼ばれていた。夢だとはわかっていたけれども、あまりに愛おしげに、壊れ物を包むように紡がれるものだから、胸の奥底が苦しくなった。
私はずっと眠っている。セキナ、と。呼ばれ続ける名前に応えは無い。
静かに涙が伝う感覚で、目を覚ました。
目覚めてからしばらくは、夢を見ているのだと思っていた。障子を透かしてはらはらと零れている日差しは眩しく、春が近付いているのだと気が付いた。薄膜をまとっているように冷気が纏わりついていたが、さして寒いとは感じない。感覚はまだ淡くぼやけている。
そういえば、もう雪は止んだのだろうか。いまだ朧げな頭でつらつらと考える。頭の芯が痺れていて、夢の淵が何処からどこまでなのか曖昧だった。生きている夢を見ているのか、死んだ夢を見ていたのか。
障子の隙間から射し込む数筋の陽光を眺め続けている。天上の透徹した青に染まっていて、目に沁みるようだ。かすかに身動ぎをすると、強張った身体にじわりと痛みが広がった。
嗚呼、――生きて、いる。
「おはよう、セキナ」
そっと額にかかる髪を払われたと共に、優しい声が降ってきた。細い指が産毛を攫う。少し、くすぐったい。またたきを繰り返し、ゆるゆると視線をそちらに向けた。
「イズナ、さん」
「さっきから呼んでたんだよ、気付かなかった?」
「……ごめんなさい、あの」
「っと、大丈夫? 無理しないでいいよ。二日も寝込んでいたんだ、まだ横になっている方が楽だろう」
上手く力の入らない腕で体を起こそうともがいていると、イズナはそう制した。深く溜め息を吐き、もう一度枕に沈む。
身体が重い。先程までは気付かなかったが、褥からは焚き染められた香の匂いがした。白檀だろうか。甘くて優しい香りだ。とても、落ち着く。未だ半身を夢に浸しているような、そんな心地がした。
イズナはまだ先のままに腰を下ろしていた。向き合うように仰ぎ見る。黙っていたイズナは、おもむろに私の額に手を伸ばすと、巻かれていた包帯を緩めた。しゅるり、と衣擦れの音が零れる。
「よかった、痕もほとんど残ってないな。そこらじゅう傷だらけだったから、心配したよ」
「すみません、ご迷惑をお掛けして……」
「気にしないで。ただ、」
イズナは一度言葉を切る。目元にひっそりと影が落ちた。
「随分と無茶したんだね」
悲しげな声だ、何故かそう思った。彷徨う目で捉えたイズナの顔は、惨酷なほどに彼の兄と重なって見えた。平生はやわらかな表情を湛えていることが多いから気付かなかったが、イズナの顔立ちは意外なほどに冷ややかなものだ。静かな表情をしているとよく分かる。マダラと、本当に良く似ていた。
私は混乱した。一瞬、誰と話しているのか分からなくなってしまったからだ。
「ねえ、セキナ」
「……なんでしょう」
「マダラ兄さんの事が、憎い?」
射抜くような目をしたイズナが続ける。思わず息を呑む。イズナはもう笑ってはいなかった。深い色をみっしりと閉じ込めた双眼は、ただ無表情にこちらを見下ろしていた。冷ややかな眼差しが突き刺さる。
ぞっとした。こんな目をするイズナなんて知らない。――嫌だ、こわい。
「あ、の」
「ごめんね、脅かすつもりは無いんだけど」
事の顛末は聞いたよ、と彼はそう付け加えた。避けられぬ事とは分かっていたが、意識して追い出していた記憶達がまざまざと浮かぶ。居た堪れなかった。――許婚である彼の事が憎いのか、と。即座に否定すべき事と分かっていながら、思わず口篭ってしまう。
「それ、は」
「――兄さんが助けたんだ」
「え?」
「谷底に落ちて行くところを、ぎりぎりで間に合ったんだって。気を失ってたから覚えてないかな」
――あの人、あれで不器用だから、と。独り言のような呟きだった。およそ無感情で、それでもどこか自嘲的に響くのは何故なのだろう。
戸惑っていると、イズナは少し目を細めた。厳かでいて繊細な表情に、ほのかに胸が騒ぐ。
「セキナに死んでほしくなかったんだよ」
声に力が篭っている。――嗚呼。彼は、怒っているのだ。優しいイズナは、私が命を捨てようとした事に憤っているのだ。押し殺した無表情の底にある透明な怒りが透けてくるようで、思わず私は目を逸らす。とっさに、謝罪の言葉が零れそうになった。
けれども、そんな形ばかりの言葉など彼は望んでいないだろう。開きかけた口を噤む。その目は憤りを浮かべてはいたが、同時に途方に暮れたような悲しみも忍ばせていた。どうして、と音も無く唇だけが言葉を象る。
ゆっくりと体を起こし、息を整えた。先程は制したイズナも今度ばかりは黙っていた。そっと唇を湿らせる。
彼は、聞いてくれるのだろうか。死に様を選ぼうとした事を、それでも後悔してはいないのだと。手折られた両の足でもがいた哀れな女の話を。
「――死に方を、選びたかったんです」
「セキナ、」
「死ぬ事だけは、自由だと思ったから」
思う儘に生きられないこの世で、ただそれだけが狂おしく自由なのだと思った。誰かに縛られ続けた生も、終わりだけは己で選びたかったのだ。
「イズナさん」
「……なに?」
「私は、生きているんですよね」
消ゆる絶叫、落ちゆく身体。仰ぎ見た名残の雪。全て、浅き夢を見ているのではなかったか。
「死に方も、選べなかった」
声が震えた。嗚呼、駄目だ――。
「すみませんっ、こんな話をしてしまって……。どうか忘れてください」
「そうじゃない、君はッ」
「――ごめんなさい、分かっているんです」
彼等が生きてほしいと思ってくれた事は、素直に嬉しかった。それでも、矢張り、何故生かされたのかと嘆いてしまう。なんて浅ましいのだろう、なんて愚かだったのだろう。生きていることすら恥ずかしい、何故あの場で死ねなかったのか。これでは生き恥を晒すようなもの。矜恃などはとうに捨ててきたが、それでも己が立ち行かぬ。
自らの両の足は、これ程までに弱く脆いものだったのか、と。考えても詮無き事ばかりが思い浮かぶ。それすらも浅ましいと、心の内で囁いた。見苦しいのは、私の方ではないか。
渦巻く嫌悪感に眩暈がし、支える腕に力を込めた。深く頭を下げ、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す。
「申し訳ありません、イズナ様。本当に今までご迷惑ばかりをお掛けいたしました。感謝致しましてもし尽くせぬ程でございます。ただ、こうなってしまった以上はここにはおられません。改めて、頭領様にお目通りをお願い致したく」
「その必要は、無いよ」
「どういう事でございますか?」
「いや……、すぐに分かる」
言葉を留め、イズナは溜め息を吐いた。その目には、今でも確かに怒りが宿っている。セキナ、と低い声で呼ばれた。思いがけず、ひとつ、心臓が跳ねた。
「俺には立ち入れない問題だろうから、これ以上は何も言うつもりは無い。言える立場でもないから。ただね、一つだけ聞いておいてほしいんだ」
「はい」
「セキナに、生きてほしい。幸せになってほしい」
悲しげに呟くと、イズナは立ち上がった。深く息を吸う音が聞こえた。
「――いつまで、俺を狂言回しにするつもりなんだ」
顔を歪ませ、イズナはそう吐き捨てた。強い眼差しだ。――いい加減、腹を決めろ、と。らしからぬ怒鳴り声を上げ、踵を返す。聳える背、眩む瞳孔、潜む声。
背を向けたままの彼の向こうで、静かに襖が開いた。
落ち着かない、と思った。取り敢えずは、と湯浴みを済ませ、失礼の無きようにと身なりを整えて夕餉を済ませている内に、気がつけばすでに宵の口を過ぎていた。気は急いていたが、随分と悠長に過ごしてしまっていたようだ。二人はもう食事を終えたのだろうか。
奥の部屋へと向かう足取りは重い。肝心な事は、まだ何も言えていないのだ。
あの時、イズナと入れ替わるように部屋へ入ってきたマダラは、見舞いの水菓子を置いただけで何も言わずに立ち去った。
何か、言いたげにも見えた。悪罵を浴びせられるかと覚悟していたのだが、そんな様子はついぞ見えない。ある一点を睨むように見据えている目は、酷く遠いところを見つめていた。
何とはなしに、その目が此方を見据える様を思い浮かべた。――それは強い眼差しだ。何もかもを見透かしているかの如く。きっと、落ち着かぬのだろう。今よりもずっと。
「失礼致します、少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか」
「嗚呼、入れ」
聞こえた声に、ゆっくりと襖を開く。そこへ座れ、と背を向けたまま投げかけられ、ようやく腰を落ち着ける。ひやり、と凝った夜気が背筋を撫でた。
文机に向かい何か書き物をしていたマダラが振り返る。行灯の光を受け、黒々とした双眸は揺らぐように瞬いている。
急に息苦しさを感じて、嗚咽ような嘆息が零れた。とっさに口を噤む。何故だか、顔は上げられなかった。くう、と頬の肌膚が緊張していた。見られて、いる。皮膚が感じているのは細やかな視線だ。その目が、ひそかに細められた気がした。
「何か食べたか」
「はい、頂いた水菓子とお夕飯を少し。ありがとうございました」
そうか、とマダラは静かに付け加えた。余りに何気無い口調であったから、少しだけ虚を突かれた。落ち着かない、かえって居心地が悪い。イズナのように明確に感情を表してくれた方が、余程楽だった。
――いや、そんなことは関係のない事である。兎に角は、弁解して取り繕って、それから――。黙っていても仕方が無い、と言の葉達に急き立てられた。喉元につかえている凝りを飲み下す。
「助けてくださったと、伺いました」
「イズナに聞いたのか?」
「はい、先刻……」
御手を煩わせてしまい、申し訳ございません。この上ない御慈悲を掛けて頂き、言葉では言い尽くせぬ程でございます。ですが、これ以上は皆様の御厄介になる訳にはなりません。助けて頂いた御恩は決して忘れません。御礼は何なりと致しますゆえ、どうぞ、どうぞ捨て置いてください――。
するすると言葉は零れ出た。何ということもない。篭った塊を吐き出すように口上を述べ、深く頭を下げる。
刹那、首筋がつうと強張った。
「――軽んじるな」
マダラの眼差しが、深く突き刺さる。肌が感じるのは強い眼差しだ。ちりちりと炙るような感覚が皮膚を這っていた。
酷く、落ち着かない。私を見たことなど無かったはずの彼に、見据えられているのだ。
「そんなにも軽いのか?」
「は、」
「お前の命は、そんなに軽いのかと聞いている」
静かな声に肩が震えた。どうして、そんな事を。話の脈絡が見えなかった。頭が眩々と揺らぐ。
そんなこと。――聞かずとも、元より明らかではないか。
「命の重き軽きなど、私には分かりかねます。軽いかと問われれば、確かに軽いのでしょう。家の為に生み落とされ、諾々と生かされてきただけですから。愚かと思われるでしょうが、そうやって生きる他なかったのです。――でも、それも亡くして、もう生きる意味すらなくなってしまったから」
「まだ、母親に縛られるのか」
「そうかもしれません……。ただ、」
だからこそ、終わりだけは自分で選んでみたかった――。
はっ、と口を噤む。これでは助けてくれたマダラを詰っているようではないか。そんなつもりは毛頭無かったが、躍り出た言葉達にますます俯いた。マダラを怨む気持ちがなかったかと言われれば、本当は嘘になる。でも、こんな事、言うつもりはなかったのに。言ったところで、詮無い事だから。
自分自身、己の饒舌に驚いていた。さぞ当惑に顔を歪めているのだろう、そう思うと少し滑稽だった。マダラの顔色は知れない。嘲笑って、いるのだろうか。
「セキナ」
不意に。顔を上げろ、と静かな、それでいて先程までとは打って変わった低い声で言い告げられた。言われるままにゆるゆると顔を上げれば、その鋭い眼が射抜くようにこちらを見つめている。イズナと、同じ目だ。嗚呼本当によく似ている。瓜二つだ。先のイズナの目と今のマダラの目が重なり合い、少しだけ不安になった。
そんな、それではこの人も。この人も、――同じなのか。
「死のうが生きようが、確かにお前の勝手だろう。助けたといっても、所詮は俺の我欲だ。だがな、最後にもう一度聞く」
首がひやりとした。触れるしなやかな指先。マダラの指だ。
「――本当に死にたいのか?」
ほんの少しの力を加えるだけで、後は縊り殺すも思いのまま。生殺与奪の体勢で、彼は静かにそう問いかける。自分の命をマダラが握っているのだと思うと、酷く頭が眩んだ。揺れる紅い瞳。吸い込まれそうな程、綺麗な色。
誘われるように私は小さく頷いた。冷ややかな指が首にしっとりと食い込む。喉の奥を擽られているようだ。狂おしい息苦しさに思わず眉根を寄せる。
「あっ、……」
声が掠れる。頭に靄がかかる。半身が夢に浸かっているような、そんな心地がした。これは、夢なのだろうか。夢ならばいい。現し世こそが夢なのだ。恍惚とした頭でそう嘯く。
またたきの間。うっとりと蕩けていた筈の胸が騒いだ。違う、見間違いにすぎない。ただの歪んだ空目だ。――嗚呼どうして、何故
「どうして、あなたが泣くの」
強い眩暈がした。音も無くただ流れるように伝う涙に言葉を失う。深紅の双眼から零れた雫が一筋、きらきらと煌めいていた。限りなく透き通った輝きだ。
ふっ、と。首筋にかかる力が緩んだ。弛緩した身体が傾く。私を抱き留めたその広い胸板に、思わず目の奥がうずいた。眼窩が騒ぐ。
「失いたくないからに、決まってるだろう」
「っ、……」
「死ぬぐらいなら、俺の為に生きろ。生きる意味が無いのなら、いくらでも与えてやる。だから、――死んでくれるな」
「いや、嫌ッ」
堰を切ったように、ぼろぼろと涙が溢れた。子供のように首を振り、抱きすくめる肩を押し返す。止めてくれ、私はそんな事を言われていい女じゃない。所詮、家に縛られ続けた無価値な傀儡。どうせ飽きて捨て置かれる行く末だ、ならば初めから咲かぬがいい。咲いて色付こうとも、実を結ばぬ花なのだから。
物狂おしい色を滲ませた瞳に耐えられない。名前を呼ばれているにも関わらず、頑なに俯いた。耳を塞いだ。嫌だ、見ないで。嫌嫌嫌いや――。
「お願いです、もう放っておいて。私なんて、あなたに相応しくないから」
「嫌われたもんだな。だが、今更お前がどれ程喚こうが、もう手放すつもりはねぇよ。――諦めろ、セキナ」
「い、や、離してッ……! どう、して……?どうして、わたしなんかをっ」
声が掠れる。まるで慈しむように、その手で頬を包み込む彼が恨めしい。今更何なのだ。何の為に、想いを捨てたと思っている。弄ぶのも大概にせよ。
「顔を上げろ。逃げるな」
「嫌、いやいやぁ……」
「セキナ、」
夢ならば、醒めてくれ。何もかも壊れてしまう前に。こんな惨酷な程美しい夢は、私には不相応なのだから――。
「愛している」
予定調和のように紡がれた言葉に慟哭した。焦がれることしかできない夢が、鮮やかな現で描かれている。虚勢が軋む音がした。
慈しむように触れる指先が、祈るように見つめる眼差しが、愛しげに紡がれる言の葉が胸をかき乱す。叔父の言葉も、イズナの怒りも、それが指し示すものなど辟易する程に分かり切っていた。分かっていながら、ついぞ知らぬと嘯いた。捨ててきた想いなど、今更拾うことすら見苦しい。気付かぬ方が、道化を演じる方が余程楽だったからだ。結局はただの独り相撲だとしても。
恋慕などは抱いてはいなかったし、どちらかと言えば嫌いだった。
――けれど、あなたは知らなかったでしょう。本当はずっと憧れていたことなんて。
己の足で、己の意志で何物にも侵されず揺ぎ無く生きる姿が。私と正反対のあなたが、どれだけ眩しかったことか。
幼き日から、その背を振り仰ぎ続けていたなんて。いつの日か認められたいと思っていたなんて。そんな事、考えたことも無かったでしょう。
呼吸すら上手くできない。涙は留め処なく流れ落ちる。それを拭うマダラが、いささか呆れたように溜め息を零した。声は優しい。頑是無い幼子を宥めているかのようだ。
「泣くな、お前に泣かれるとどうしていいのか分からなくなる」
「わたしは、ッ……」
「嗚呼」
「嫌いです。あなたなんて、だいきらい」
「嗚呼……、分かってるよ」
分かってない、何も分かっちゃいない。そう啜り泣きながら吐き捨てても、彼は屈託無く目を細めて撫でるように私の髪を梳いている。
――笑っていた。限りない愛情を込めているように、酷く儚げな笑みだった。濃紺の着物を握る手が震えている。悲しみか憤りか、それとも歓喜か。打ち震えている訳は、自分でも分からなかった。ただ、その手に重ねられた掌が。哀しい程に優しい。
「マダラ様――」
堪えきれずに抱き縋り、訳も無く名前を呼んだ。何度も呼んだ。余りに淡く甘やかな笑みを浮かべるものだから、一抹の不安が過ぎったのだろうか。夢なのではないか、とそんな愚かな予感が拭えなかったのだ。
そして、その名を呼んでしまってから、酷く後悔した。震える声で呟いたその名前が、どうしようもなく美しい響をしていたからだ。決して届かぬ響きだった。こんなにも、綺麗な名前だったのか――。
その姿が、二重写しのように揺らいだ。重なるのは、幻の母だ。歪ませて掻き消した、幼き日のぬくもりだ。母様母様ごめんなさい。ずっと嘘を付いていました。母様を怨み、縛られている方が楽だったのです。叶わぬ思慕を抱えるくらいならば、望まぬ結婚を強いられたのだと摩り替える方が、楽だったのです。どうか許して、許してください。ごめんなさい、ごめんなさい――。
緩やかに、縛り付けていた荊棘が解けてゆく。ふう、と体が軽くなった気がした。澱が溶けている。やっと、向き合える。もう自ら縛せずともいい、私はようやく気が付けたのだから。
何故だか酷く、あなたが愛おしい。
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