雨の日は、嫌い。外に出ると絶対どこかしら濡れるし、髪の毛は畝るし、お店は暇なるし、暗いし、ジメジメするし、おまけに頭まで痛なるし。その上、朝は晴れていたのに突然降り出した雨ともなれば、傘なんか持ってへんし、最悪でしかない。
ようやく終えた残業後、外に出たらこれ。コンビニ行くにも、タクシー捕まえるにも、どっちにしろこの雨の中を通り抜けなければならない。
ピカピカの革靴。愛しい。仕方がない。お前だけは守ってやる。
「ちょ、ちょっと!何してるんですか!」
手塩にかけてお手入れしてきた革靴がビチョビチョになるのだけは御免だったので、とりあえず袋にしまおうと靴を脱いでいたら後ろから現れた人。見覚えがある。確か、隣のショップの人や。
「…お疲れ様です。」
「お疲れ様です。やなくて!なんで裸足なんですか!」
「いや、まだ靴下は…」
「そういう問題やなくて!」
ぐいぐい来るツッコミに多少引く。だって仲良くないし、言うてしまえば、知らん人やし。そう思いながら苦笑いを浮かべれば、はぁと深い溜め息が聞こえた。え?なんで?
「…傘、持ってないんですか。」
「まあ、持ってたらこんなとこで30分も葛藤しません。」
「さ、30分?!…僕がタクシー捕まえてきますんで。」
「え、でも、」
「折り畳み、ちゃんと持ってるんです。」
じゃあ、と歩き出した後ろ姿を見送る。なんなん?この展開。取り残され呆然とする私を追い越す人たちの視線は、わかりやすく足元で。
とりあえず靴履こ。
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