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 ーーこんなにも熱気がすごい講堂は、下手したらDDD以来かもしれない。いや、もしかしたら他に何かあったかも……それでも、一瞬にしてDDDを思い出してしまうということは、やはりあれほどの熱気と言って間違いないのだろう。
 クラスマッチ本番当日。開会式のため、夢ノ咲の全校生徒(ただし全員いるとは言ってない)は講堂に集められた。各々のクラスのユニットがこの日のために準備していたということもあり、どこもかしこも待ちきれないという雰囲気でいっぱいだ。

「おっす千夜ちん。すっごい熱気だな〜」
「おはよーなずな。なんでここにいるの?」
「なんでって……ひ、ひどい言い方だにゃ!」
「いやいや、放送委員の仕事はないのかなーって」
「ああしょういうことか……。開会式は進行全部生徒会が行うことになってるから、俺の出番はないんだ。って、千夜ちんなら知ってるだろ?」
「いやあ〜……」

不思議そうに見てくるなずなを誤魔化すようにへらりと笑う。言えない……! 開会式の部分の資料だけ昨日ジュースに浸しちゃっただなんて言えない……! まあ一回は読んだから問題はないと思うけど!

『あーあーマイクテス、マイクテス……。静かにしなよ愚民ども〜? 今から一言でも発したヤツは、クラスマッチの出場権を剥奪するぞ!』
『おい姫宮! 勝手に変なこと喋んなって! ええと、皆さんお静かにお願いします。今から『クラスマッチ』の開会式を始めます』

マイクを通して、いつも通りの桃李くんの声と、それを宥める真緒くんの声が響く。いよいよ開会式が始まるらしい。なずなもマイクの声を聞いて、じゃあまた後でな、と自分の列の位置に戻っていった。

『仕方ないなあ……このボクがお前らのために説明してあげるんだから、有難く思ってよね! この開会式が終わった一時間後の午前十時から、クラスマッチを始めるよ。場所はこの講堂を含んだ夢ノ咲全体。DDDのときと同じように、屋外ステージも多数用意しているから、同時間帯に数ユニットが対戦を行うよ!』
『対戦順や場所、相手は事前に知らせている通りです。一戦目のユニットは、開会式が終わったらすぐに準備を始めてください』

一戦目のユニットには確か……Color!が含まれていたはず。そしてその対戦相手は……8bitか。初っ端からなかなか面白そうで白熱しそうなユニットの対決だ。以前の友也くんの様子が頭に浮かぶ。北斗くんに憧れる友也くん……。それでも彼は立派なアイドルだ。きっと全力を尽くして戦ってくれることだろう。

『それじゃあ最後に! 我らが英智さまのご挨拶だよ! お前ら、その耳によぉ〜く刻み込んでおくようにっ!』

そんな桃李くんから、今まで無言を貫いていた英智にマイクが渡される。英智はにっこりとマイクを受け取ると、やがてゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。

『えー……そうだね。ご挨拶なんていっても、僕から言うことは単純だよ。みんなそれぞれ、この日のために練習してきたと思う。Trick starの祝賀……といっても、……ふふ、そうだね。『主役』を仰け反らせるくらいの気持ちで頑張って欲しいと思う。もちろん、僕も全力を尽くさせてもらうよ。それではここに、『クラスマッチ』の開催を宣言する!』

瞬間、講堂が歓声に包まれる。かくして、クラスマッチは始まったのだったーー。