03
「愛し子や、クラスマッチとやらを提案したのはお主じゃろう」
あれから教師陣に伝えたところ、とんとんはなしは進み、本当に次の日には全クラス内でユニット決めが行われたようだ。なお、決める方法は公平に(面白くなるようにの意も含まれているが)くじ引きとしておいた。もちろん私のクラスも例外ではない。ただ、ユニット名などもあるし、全てが順調に決まったとは決して言い難いので、他のクラスもきっと似たようなものなのだろう。まあ先生たちには三日以内に決めてくれればと伝えているので、なんとかしてくれるはずだ。
そうしてその日の放課後、つまり今現在。軽音部の部室に顔を出した私は、珍しく起きていた零さんに開口一番に言われた。零さんは今日教室には来ていなかったはず……そこにいる葵兄弟か晃牙くんに聞いたか……いや、彼のことだからむしろ話を広げる前から知っていたのだろう。
「そうだよ。零さん自分のユニットのメンバーは知ってる?」
「もちろんじゃよ。しかしまあ、なかなか面白いメンバーとなったのう」
「そもそもうちのクラスでユニット組んで、面白いメンバーにならないわけがないでしょ。いろんな意味で」
同じクラスの面々を思い浮かべて、改めて個性の強さに思わず苦笑いが出る。そもそも三奇人が集結している時点で収集がつかないのは確かである。
「おい、吸血鬼ヤロ〜は誰と組むことになったんだ?」
「おっ? なにこ〜ちゃん気になるの?」
「その呼び方やめろ! つーか気になって悪いかよ! 戦うことになるかもしれねェんだから敵情視察として当たり前だろうが!」
「おー大神先輩必死だね! ちなみにオレはRa*bitsの友也くんと組むことになったよ! ゆうたくんは光くんと宙くんとだってー」
「いやアニキ何勝手にオレのことまで言ってるの」
「いーじゃん別に? 隠すことじゃないしー」
「いや聞いてねーよ! テメーらが誰と組んだって別にどーでもいいんだよ!」
「あっひどい! でもそれって逆に、朔間先輩はどうでもよくないってことですか?」
「あ!? どーでもいいに決まってんだろこんな吸血鬼ヤロ〜!」
……話が噛み合っていない。今にも暴れそうな晃牙くんを、ひなたくんとゆうたくんが窘めつつ茶々を入れる。けどまあこんなの軽音部では日常茶飯事だから、平常運転とも言えるだろう。しかし葵兄弟もなかなか面白いユニットになったようだ。というか聞く限り天使しかいないユニットじゃん! 一年生全力で応援したい。しかしなんだかんだで聞きたいオーラ出まくってる晃牙くんかわいい。から、反応を楽しんでわざと彼に教えようとしない零さんの代わりに、少しだけヒントを与えることにした。
「晃牙くん晃牙くん、零さんは空手部主将と演劇部部長とテニス部部長と一緒だよ」
「千夜や、それもうほぼ答え言ってると思うんじゃが」
「やだ零さん誰も鬼龍紅郎と日々樹渉と仁兎なずなだなんて言ってないよ!」
「言っとる! もう完全に全員フルネームで言っとるから!」
「で、晃牙くんは誰と組むことになったの?」
的確なツッコミを入れてくれる零さんをさらりとかわして、けたけたと笑いながら尋ねる。すると彼は先程までの威勢はどこへいったのか、突然眉間にシワを寄せて、それからあからさまにイラついた表情で口を開いた。
「……名物幼馴染コンビ」
瞬間、2Bに所属する零さんの弟、そして苦労人のTrickstarの彼らが思い浮かんで、そこに晃牙くんが入ることを考えて……あまりに異様な組み合わせだ。仕方ない、仕方ない。
「ぷっ……あはははははは!!!!」
「このっ、クソうるせぇ笑うな!!」
爆笑してしまうのも、仕方ない。