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或るお堅い記者のインタビュー

「貴殿の記憶は、少なくとも一度、そのなかみを放り出した」

「二度目のものごころがついて、その体に命絆たる武器を受けた時から貴殿は、ここ」


「――永久に続く倖せの邦、【てんじょう】で、暮らしている」


「これに相違ないか」


....ノイズ
....

或る忠実な“血族シンパ“の妄言


 だって、この世界はすべて、あの血族のためにあるべきなのです。
 汚らわしい我々が、ましてやあの蚤以下の脳みそしかない軍狗どもが触れていい道理など、どこにあるというのですか。

....ノイズ....

 或る気さくな虜囚の獄中歌


(たくさんあるモニターの一つのうち、彼にフォーカスが当てられる。そのモニターでの見た目には悲痛な声で何事かを叫んでいるようだが、スピーカーからは彼が陽気な声でマザーグースの一説を歌っているように聞こえる。監視している人間たちは皆にこやかに笑っている。やがて室内がガスで満たされると、彼はしばらく痙攣して動かなくなる)
...ノイズ
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....

 或る狩人の嘆き

 俺たちは、確かに戦っている。戦っているが、……どうして俺たちは、「それが何なのか」、わからないんだ?戦闘中の記憶がすっぽり全部抜けちまうなんて、そんな馬鹿な話があるかよ。クソ、血族の奴らは全て知ってるんだろ。いっそあいつら相手にドンパチやったほうが、俺だって……。

……あ、あ……お前、絶対にこのこと、上に言うなよ。
はは、一番怖いのが何かって、あの人たちに目ェつけられることだからな。はあ、うっかり悪酔いしちまった……おい、なんだその目。
おい、なあ、嘘だろ。おい手に持ってんの、なんだ、それ!
くそ、くそ、お前――――!
......笑い声。

さあ、酸いも甘いも辛くも苦くも、総てを倖せのうちに蝕しましょう。

受け継がれる高貴を我が身に宿し、怠惰と傲慢と強欲に甘んじるものよ。同胎を通り娩まれたものらよ。

我々は血族。

いつか坐します神のため、享楽はそのためにあるのですから。

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