ロスト・レポート

「僕は正しい診断をしています!」

患者に向けていいとは思えない態度に、これ以上何を言っても無駄だと悟る。
胸の中でつかえて自分で話すことが出来ない不安や、ずっと治まらない症状を告げる前に始まった付き添いの家族との言い争い。人の話を聞かず遮ってばかりの医者がケースワーカーを叫ぶように呼び、私達は別室へと案内されたが、そこで暗に診断書を出せないと告げるような言い方。時間の無駄だと虚しさに拍車がかかる。

「あっちのほうが病んでるな」
「あんな言い方されるとは思ってもなかったよ」

自宅に帰り病院の対応に不満と愚痴を言い合うが、怒りは収まらず、部屋の空気が悪くなるので話すのをやめた。

「ちょっと横になる」
「分かった」

自分の部屋に敷いたままの布団に倒れ込む。静かに流れる涙を枕元のティッシュで何度も拭う。溜息を吐いて、現実から目をそらすために耳にイヤホンをつける。

「つかれた…」

(なんか、とても眠い…な……)

そこで#name2#の目の前は真っ暗になる。
意識を失う直前。聞き覚えのある電子音が鼓膜を揺らした気がした。


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