※岸波視点

「やはり君は私を置いて行く。私の手を離して、1人陽の下へ行く。結局君は今の今まで私を理解したつもりだっただけ。…早く帰って。そしてもう二度とこの迷宮に、私の心に踏み込むな」

穏やかな声と語り口とは裏腹に、悲痛な心の叫びの様だった。硝子の様な障壁越しに睨む彼女の視線が突き刺さる。負傷した相棒の代わりに手を貸してくれた金髪のサーヴァントはその視線を正面から受け止めていた。衛士となった彼女を救いたいと願う彼を、彼女は明確な敵意を持って拒絶した。側に控えさせた見知らぬサーヴァントと共に自分達の行く手を阻み相対している。それでも彼のサングラスの隙間から覗く目には強い意志が宿っていた。あぁ彼女の言う通り、このサーヴァントは正義の人だ、確かに陽の下の人だ。


─ 衛士になったマスターと金時