変換無、キャスニキ

首に添えられた手は冷たい。
私を見下ろした眼も同じような温度をしていた。
今この手に力が入れば私の命は簡単に潰えるのだ。そう考えるとゾクリと歓喜が背を走った。
「ころす?いいよ、キャスターなら」
ぐっと咽頭の上にある指に力が入る。痛みとも苦しさともつかない不快感が押し寄せて小さく声が漏れた。
「随分な顔だな、あんた」
温度を伴わない声が耳を撫でていく。
少しだけ近付いた瞳が私の深淵を覗く。何もかも見透かされた気分だった。私の奥底にある無意識の欲を引き摺り出された様な感覚。
「そ、んな酷い顔、してる?」
返事は無かった。ただ指から力が抜けて喉元の違和感が消えていく。見惚れる様な顔がゆっくりと近付いてくる。思わず目を閉じていた。多分怯えだったのかもしれない。そのまま私の顔の真横に顔を埋めた感覚がした。そっと目を開けると打って変わって鮮やか過ぎる程の青。耳元でキャスターの呼吸が聞こえる。
「酷いかどうかはさておき」
話す度耳元にかかる吐息がくすぐったい。密着故かその呼気故か耳から全身に熱が移ってしまいそうだと思った。
今度はゆっくりと顔をあげ、私を見下ろすその顔は
「随分とまぁ、俺好みな顔だ」
きっと笑っていたと思う。


衝動で書き始めて着地点も分からないのでSS投げ。
主もちょっとブレちゃったな、もうちょっと死にたがり感出したかったんだけども。