溺愛性破壊衝動
「全治三ヶ月だそうだ」
脚や利き腕じゃなくてよかったぜ、と大したことなさそうに笑う水木とは対照的に、ゲゲ郎の心はどん底まで落ちていた。
事の発端は昨夜のこと。
ゲゲ郎と水木は親友で、相棒で、共に息子を育てる同居人で……身体を重ねる間柄でもあった。
愛しい我が子が夢の世界へと旅立ち、しばらくは戻ってこないであろう丑三つ時。勤め人である水木が次の日は休みということもあって、普段よりも激しく求めていた自覚はある。ゲゲ郎の手により五回ほど高みに昇り詰めた水木が「もう勘弁してくれ、と。これ以上続けたら腹が破けて死んでしまうと情けなく乞いながらゲゲ郎から逃れようと這いつくばりもがいている姿が、なんとも憐れで愛らしくて、箍が外れてしまった。
布団から這い出そうとする水木の足首を掴み、ちょいと力を込めればあっという間に逆戻り。芋虫のようにうぞうぞと暴れる水木をひっくり返し、ゲゲ郎を押し退けようとする悪い両の手に自身の長い指を巻つけて布団に縫い止めてやる。
なけなしの抵抗すら封じられ、普段の堂々たる声とは似ても似つかぬ、嬌声とも悲鳴ともつかないか細い声で啼く唇が美味そうで、我慢できずに喰らいつく。
人間の倍はある長い長い舌で口内どころか咽頭まで舐り犯し尽くしてやりながら、抜け落ちた魔羅をすっかりと孕み穴と化した後孔に突き立てる。ぐずぐずに蕩けたそこは侵入者を拒むことなく、むしろ慈悲を求めるかのように肉の壁がぢゅうぢゅうと絡みついてくる。日本男児の矜恃もクソもありゃしない。
昼間はすれ違う婦女子の視線を奪う溌剌とした凛々しい男が、ゲゲ郎と褥を共にする時にだけ見せる身も世もなく悶える姿は、倅と並びこの世の何よりも大切で愛おしく慈しむべき存在である妻相手には到底抱くことのない嗜虐心という獣欲を、人嫌いではあるものの温厚だったはずのゲゲ郎に植え付けるには十分過ぎた。
水木は唇をゲゲ郎に喰われたまま赤子のよいに嫌嫌と首を振る。快楽と酸欠で紺桔梗の瞳が涙で滲み、そのまま溢れ落ちてしまいそうだ。
そうしたら自分と揃いになる。平時であれば絶対に考えもしない仄暗い悦びがケケケ、と妖らしい笑みとして唇の端から漏れる。
二人の間にできた僅かな隙間さえ許さないと言わんばかりに、ゲゲ郎はその長駆で水木を押さえ込み、体重をかけて奥へ奥へと蹂躙を続ける。どれほど奥まで暴こうと、男の胎に精をぶちまけたとて孕むことなどできない。無為なる行為であることは解っていても、ゲゲ郎は己の下で身を震わせている男に理解らせてやらねばならない。
温厚な幽霊族らしい無益な争いや他人を傷つける行為を嫌っていたゲゲ郎に、思い遣りの欠片もない、ただ本能に従って食い荒らすような目交いを教えるなんて。元を辿れば幽霊族の中でも高貴な血筋にあたるゲゲ郎に、ただ快楽のみを求めたこんな品のない下劣な情交に夢中にさせるなんて、許していいはずがない。
「はっ…水木よ。子種をくれてやるからな、その貪欲なる胎でしっかり受け止めるんじゃよ」
「ん、あ゛っ♡やえろッ、も…無理だ……ひぁ、あ゛ぁ……♡」
「勘違いするでない。おぬしに拒否権などありはせん」
「お゛ぉっ!?♡ひ、やぇ、んお゛ぉぉ〜〜ッ♡」
絶頂が近いのか、嫌だ止めろと泣き喘ぐ水木の身体をゲゲ郎は容赦なく揺さぶり続ける。魔羅が抜けてしまいそうなほど引き抜いかと思えば最奥まで突き立て、また入り口まで戻ってから一気に押し込む。
どすん、どすんと鈍い音を響かせながら絶え間なく襲い来る衝撃に、水木はその度に軽く絶頂していた。ゲゲ郎の腹筋で揉みくちゃにされている水木の魔羅はくたりと力をなくし、時折ピシャピシャと倅の小便以下の情けない潮を吹くだけの
器官と化していた。
「フーッ、フーッ……出すぞ、水木ッ……!気をやるでないぞ、時間はたっぷりとあるんじゃ、まだまだ可愛がってやるからな……ッ」
ピン、と爪先を伸ばしていた水木の靱やかな脚を抱えて胸につくほど折り曲げ、ゲゲ郎は上から杭を打ちつけるようにして絶頂へのラストスパートをかける。
ごちゅん!と怒張した魔羅が隙間なく根元までずっぽりと挿入されると、奥まった窄まりを超えた衝撃でぼこり、と水木の腹が軽く波打った。
「お゛っ、あ、あ゛〜〜〜ッ♡♡♡げげろ、いぐ、イクイクイク〜〜……っ♡♡はへ♡♡イッたのにぃ、止まんねぇ……ひぎッ!♡♡しぬ、しんじまぅうぅぅう……っ♡♡♡」
「ぐ、う゛ぅ……!水木ッ……」
グパァッと開いた結腸口に亀頭が嵌まり込み、水木が一際大きく身を震わせて絶叫する。
六度目の絶頂を迎えた水木の後孔は、子種を求めるようにきゅうう、ときつくゲゲ郎の魔羅を締め上げる。腹の奥からゾワゾワと這い上がる射精感に目の前がチカチカと明滅し、ゲゲ郎は獣のような唸り声をあげ欲望を放とうと、無意識に掴んでいた水木の腕を思い切り握り込んだ。
「ぎっ……!?い゛……っ♡♡♡」
バキ、と嫌な音が部屋に鳴り響いたのとゲゲ郎が達したのは同時のことだった。
「ぐ、ッ〜〜〜……♡……ッ、はー……♡」
どぷどぷと吐き出される特濃の子種を一滴残らず腸壁に塗り込めるように、ゲゲ郎はゆるやかに腰を揺すり最後の一滴まで注ぎ終えると、ぐったりと身体を脱力させて水木の上へ覆い被さる。
「あー……、最高じゃ……」
先程の雄の本能丸出しの姿とはうってかわり、ゲゲ郎は絶頂の余韻にうっとりと目を細め、汗でしっとりと濡れた水木の短髪をわしわしと撫でながら水木の額や左の目蓋、鼻筋、唇と順繰りにくちづけを落としていく。
これをすると水木もぶっきらぼうな手つきでゲゲ郎の髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜて応えてくれるのだが、はて。今日は一向にその兆しがない。
気をやってしまったのだろうかと上体を起こして顔を覗き込む。すると、本来ならば赤く火照っているはずの水木の顔が青ざめ、冷や汗をかいているうえに何かに耐えるような険しい表情で浅い呼吸を繰り返していた。
「み、水木……?どうした、具合が悪くなってしもうたか?」
「ゲ、ゲ郎……腕……」
「腕……?」
呻くように呟いた言葉につられ、掴んでいた水木の手を離す。すると、ゲゲ郎が握っていた部分が青黒く腫れ上がっており、腕もだらんと垂れ下がって動かせない様子だった。
要するにゲゲ郎は情事に夢中になるあまりに力加減を忘れ、幽霊族の怪力で水木の腕をへし折ってしまったのだ。
「すまない、本当にすまない……!」
あの後、ゲゲ郎は担いでやるから病院へ行こうと申し出たが、
「ケツからお前のザーメン垂れ流したまま医者にかかりたくねぇし、鬼太郎はどうすんだ」
「そんな場合じゃなかろうて!鬼太郎もわしが見る!」
「起こしたら可哀想だろ。こんくらい戦地じゃ軽傷扱いだったし、冷やして固定しとけば明日までは持つさ」
水木は取り付く島もなく雨漏りの修理に使った木材で患部を固定し三角巾で左腕を吊ると、後処理のためさっさと風呂場へと行ってしまった。
そうして今日、近所に住む姥に鬼太郎を預け朝一番で水木を病院へと連れて帰ってきたところだ。時刻は丁度昼過ぎで、ついでにと定食屋に立ち寄って腹を満たす。
相変わらずの勢いでカレーライスを頬張る水木に、ゲゲ郎はテーブルに手をついて何度かも忘れた謝罪を口にする。
「そんな気にしなくてもいいって。ガキの頃から骨なんざ何回も折ったことあるしな」
「そういう問題ではないわ!よいか、治るまで絶対に安静にしておくんじゃぞ、家事も鬼太郎の世話も全部わしがやるからな!」
「ん、そっちは任せるけど、仕事には行くからな?」
「なっ……!?ダメじゃ!休めそんなもの!」
「馬ァ鹿、サラリーマンがたかが骨折で休めるかよ。それに俺が働かなかったら家族三人路頭に迷うことになるだろ」
「ぐっ……しかしな水木よ……」
「ったく、いいかゲゲ郎。心配してくれるのは有難いが俺はか弱い娘さんじゃないんだ。病気でもあるまい、家でボーッとしてる方がおかしくなっちまうよ」
そう言うと、この話は終わりだと言わんばかりに水木は食事に没頭する。
こうなったら水木の意思を曲げるのは難しいだろう。仕方がないのでゲゲ郎も頼んでいた生姜焼き定食を口に運ぶが、ちっとも味がしなかった。
***
水木と目交う際、彼を壊してしまいたい衝動に駆られたことは何度もあった。水木と身体を重ねるようになるより以前、ゲゲ郎は永い人生────幽霊生と言うべきだろうか────で妻としか経験がなかった。互いに思い遣り肉体的な快楽よりも精神の満足感を得るような、穏やかな交わりを好んでいた。
しかし、水木を前にするとどうにも駄目なのだ。決して彼を疎ましく思っているわけではない。そんな訳、あるはずがない。今でも人間は嫌いだが、水木だけは別だ。人間の中では一番好ましい存在だし、ゲゲ郎の大切なものである妻と息子の次に入るくらいには大事に思っている。
それなのに、褥での水木を見るとどうにも加虐的な欲が沸々と湧いてきてしまうのだ。水木の啼く声が聞きたい。快楽に泣き咽ぶ姿が見たい。誰も見たことがない彼の媚態を暴き、壊れるまで抱き潰してしまいたい。
愛しいものを傷つけたい。それは人間がよくする愚かな行動だと呆れたことさえあったのに、己の中にもこのような暴力的な欲があったことに薄ら寒さを覚える。
────本当に傷つけるつもりはなかったのに。
そういった願望があったことは否定しないが、だからといって実際に水木を傷つけたかったわけではない。幽霊族と人間は姿は似ていても純粋な力や身体の頑丈さ、治癒力などは大きく異なる。人間なら致命傷でも幽霊族にとってはただの掠り傷程度のことはよくある。
(理解しておったつもりじゃったが、人間……あまりに脆い)
今回は骨折程度で済んだが、一歩間違えたら命も奪いかねない。
ゲゲ郎は鬼太郎を寝かしつけてそのまま眠ってしまった水木を抱き上げて布団まで運んでやる。折れた腕を動かさないよう注意を払いながら横たえ掛け布団をかけてやると、その隣に自分を寝転がり水木のあどけない寝顔をジッと紅い瞳に映す。
(わしが抑えがきくようになるまで、交合うのはやめた方がよいな)
ただでさえ、幽霊族のゲゲ郎から見れば人間の生など儚いほどに短い。目先の欲とこれから水木と過ごせる有限の時など、天秤にかけるまでもない。
「おやすみ、水木よ」
眠る水木に優しく声をかけ、ゲゲ郎は目を閉じる。
水木がいくら望もうと無闇に抱いたりなどするものか。己の欲は抑えて、彼が少しでも長く、健やかに生きていられるよう手を尽くしてやろう。
***
「ゲゲ郎、何で抱かねぇんだよ」
不満を隠しもしない水木がずい、とゲゲ郎に詰め寄る。
ゲゲ郎が水木の怪我を悪化させてから二週間が経った。水木は生来の器用さで片腕が使い物にならないとは思えないほどに仕事や日常生活をそつなくこなし、反対に家事と育児を一手に引き受けることとなったゲゲ郎の方四苦八苦しているくらいだ。
表向きは普段と変わらない日常だが、以前と一つ違うのは、この二週間一度も水木を抱いていないことだ。
ゲゲ郎は水木を慮って抱くことを泣く泣く控えているというのに、当の本人はそんな心を知ってか知らずか、なんなら骨を折って三日と経たないうちに「シようぜ」と誘ってくる始末。
奥手だった水木を相手がゲゲ郎に限定して性に積極的にさせたのは他ならぬ自分自身だが、まさかこんな状況で裏目に出るとは思わなんだ。
(わしはこんなにも心を砕いておるというのに、この鈍感めが!)
水木が自分から誘うようになるまで、それはそれは苦労した。愛し方も愛され方も知らなかった臆病な男を愛と自己肯定感なら有り余っているゲゲ郎がドロドロに甘やかして陥落させたのだ。誘われて嬉しくないわけがないし、応えてやるのが男の甲斐性というもの。だが、今は状況が違う。
「おぬし、自分の状態が分かっておるのか?わしは怪我人に無体を働くような趣味は持っておらん。完治してから出直すんじゃな」
尤も、たとえ怪我が治ったとしても以前のような頻度では抱かないつもりだが、と心の中で付け加える。
「なっ……三ヶ月も我慢しろって言うのか?!お前はそれでいいのかよ!」
いい訳あるか、と漏らしそうになる本音を呑み込み、尚も食い下がってくる水木に「この話しは終いじゃ」と突き放してゴロリと寝返りを打ち背を向ける。
「……っ!」
水木は何か言いたげにしていたが、追撃することなくドスドスと荒い足音を鳴らしながら鬼太郎の寝ている部屋へと引っ込んでしまった。
「すまんな、水木……これも全ておぬしの為なのじゃ」
呟いた言葉は水木に届くことなく闇の中に溶け、虚しく響くだけだった。
***
哭倉村で幽霊族の血を浴びたせいか、はたまたゲゲ郎たち人ならざるものと暮らしているせいか。水木の折れた腕はたったの一ヶ月ほどで殆どくっついて治りつつあると医者に大層驚かれた、と水木が話してくれた。純然たる幽霊族であるゲゲ郎からしてみればそれでも治癒が遅いと感じてしまうが、脆い人間からしてみれば仰天ものなのだろう。
とはいえ、念の為当初の予定通りあと二ヶ月は安静にしておくようにと言われたらしく、水木は医者の指示に対してぶつくさと文句を言っていた。
ゲゲ郎としては、怪我が治ってしまえば水木の誘いを断る口実を失ってしまうため内心ホッとしていた。水木は怪我をしているからという建前があるからこそ彼を抱くのを辛うじて我慢できていたが、それがなくなってしまえばまた無理をさせてしまうだろう。
何としてでも、あと二ヶ月以内に水木からの誘惑に負けない術を身に付けねば。
永く生きてる故、知識や経験の多さにはそれなりに自信があるゲゲ郎だが、こと色恋沙汰に関しては最愛の妻しか経験がなく────そも、妻以外の者を。それも人間を愛する日が来るなんて、考えもしなかった為、こんな時にどうしたらよいのか程々見当もつかない。
(明日、昔馴染みの皆に知恵を借りに行こうかのう)
物思いに耽りながら晩酌の安酒を煽るゲゲ郎を、何やら思い詰めた顔の水木がジッと見ていることにゲゲ郎が気付くことはなかった。
***
衣擦れの音がした。次いで、粘着質な水音と、熱っぽい息遣い。妙に重たくぬくい下半身、汗ばんだ肌はまるで、まるで────水木を抱いている時のような……。
まさかこの自分が淫夢など見ようとはと一瞬流しかけたが、いつの間にか臨戦態勢まで高められた魔羅を締め付ける肉襞の感触が、これは夢ではないことを如実にゲゲ郎へと告げていた。
「なッ……!?」
微睡みは彼方へと吹き飛び、急覚醒したゲゲ郎が目を開けると、そこにはやはりというかゲゲ郎に馬乗りになった水木の姿があった。いつも寝巻きとして着ている浴衣をだらしなく肌蹴させ、左肩の痛々しい傷跡や性感帯になり果てた胸の頂きがツンと勃ちあがっている様がよぉく見え、この時ばかりは夜目が利くことを恨んだ。
「水木!お、おぬし……ッ!」
「ん、あぁ……?やっと起きたかよ、ゲゲ郎……♡」
ゲゲ郎が目を覚ましたことに気付いた水木は、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべると見せつけるようにゆっくりと腰を上下に振り始めた。
「こ、こらっ、よさんか!」
「何が止めろだよ……ッ♡お前だって溜まってたくせに」
こっちは正直だな、と水木は下腹部にチカラを込め、後孔にずっぽりと咥え込んだ魔羅をキュウ、と締め付けてやる。すると、ゲゲ郎の魔羅は応えるようにドクンと脈打ち一回り大きく膨張した。
「ぐっ……ぅ、水木、やめるんじゃ。怪我に障る……」
「ッ!だから、大丈夫だって言ってんだろ!いいから抱けよ!」
この期に及んで誘いに乗ってこないことに業を煮やした水木がゲゲ郎に手を伸ばしてくる。ついその手を取ってしまいそうになったが、脳裏に水木の腕の骨を折った時の苦悶の表情が過ぎり、咄嗟に強く振り払ってしまった。
「やめよ!!」
パン、と冷たい拒絶の音が部屋に響き、先程まで漂っていた性の熱気が嘘のように凍りつく。水木は呆然と目を見開いて固まっている。上気していた肌が、可哀想なほどに青ざめていた。
「す、すまん!つい力が入ってしまって……」
「……そう……えよ」
「水木?」
「もう、俺なんか抱くのに飽きたんなららそう言えよ!!怪我に響くからとか、中途半端に優しいこと言って期待させて……っ、俺ばっかり欲しがって……馬鹿みてぇじゃねぇか……」
はら、と水木の瞳から涙の粒が、ひとつ溢れる。すると堰を切ったように後から後からボロボロとこぼれ落ちて、ゲゲ郎の胸元に落ちては浴衣に染みをつくった。
哭倉村での出来事や睦事の最中は別として、気丈な水木はゲゲ郎の前で自身の弱みを見せようとはしなかった。弱音も吐かず、涙も見せず。幽霊族はおろか妖怪にすら敵わぬ只人が強くあろうと振る舞う姿が健気で愛おしく、自分が守ってやろうと心に決めたというのに。
身体を重ねることも目的の一つではあっただろう。だが、水木は突然よそよそしい態度を見せるゲゲ郎に不安を覚え、それでも向き合おうとしていたのだ。その気持ちを無下にして、悲しませて泣かせてしまった。
水木を守りたいという思いは変わらない。ゲゲ郎にとって瞬きのような彼の人生を、出来うる限り痛みや苦しみから遠ざけ、豊かに幸せに生きてほしい。しかし、その為に彼の心を傷つけていては何の意味もないだろうに。
自分一人で決め、勝手に突き放してしまったことを深く反省し、ゲゲ郎は身体を起こすと水木の両脇に手を差し入れて持ち上げ、結合を解き布団の上に降ろす。俯いて黙りこくっている水木の頬に両手を添え、優しく顔を上げさせる。目元は赤く腫れ、鼻をグズグズと鳴らす水木の姿は痛々しくも愛おしかった。
決して華奢ではない、兵隊上がりらしいしっかりとした……それでもゲゲ郎と比れば小さな身体を胸に抱き寄せ、水木の後頭部を優しく撫でる。腕の中で強ばる身体を蕩かすように、頭だけでなく肩や背中や腕、いたる所を何度も何度も優しく撫でつける。
「水木よ。このひと月、おぬしの気持ちを踏みにじってしまいすまなかった……ただ、わしがおぬしに飽きたから抱かなかったわけではないことを理解してくれぬか」
「じゃあ、なんで……」
「……情けない話なんじゃが、臆病風に吹かれた」
「はぁ?」
「人間が脆いことなぞ分かっておったくせに我を忘れておぬしを抱き、その挙句怪我を負わせた。水木、わしはおぬしが大切じゃ。岩子と鬼太郎と同じくらい、かけがえのない存在じゃと思うておる。だのに……時折、おぬしを壊してしまいたくなる。可愛くて愛おしくて、大事にしたいはずなのに、壊してわしだけのものにしたくなる……そんな醜い欲望を抱いてしまうのじゃ。いつか取り返しのつかないことになる前に、おぬしを遠ざけてしまおうとした」
「…………」
「結果としておぬしの心まで傷つけてしまったな……本当にすまなんだ。わしに愛想が尽きたなら、遠慮なく言うてくれ。しかし、そうでないのなら……今、おぬしの気持ちに応えてもよいだろうか?」
頬を伝う涙や鼻から垂れた汁を優しく拭ってやりながら水木の答えを待つ。ゲゲ郎の手を拒むことなくされるがままにされている水木は、甘く垂れた瞳でこちらの真意を見定めるように真剣な眼差しを向けている。やがて、水木はぽつり、と言葉を零した。
「……いやだね」
ニヤリと意地の悪い────そんな表情も可愛く見えるのは惚れた欲目か────笑みを浮かべて、水木は出会ったばかりの自分たちのやり取りを彷彿とさせる台詞を吐く。
「み、水木ぃ……」
自分は散々水木の誘いを断っておいてあれだが、好いた相手に拒まれるというのは想像以上に苦しく精神的にクるものがあった。よくよく思い返してみると妻の岩子も水木も、ゲゲ郎を拒んだことがなかったから、余計に。
脆い涙腺が決壊し、今度はゲゲ郎がボタボタと涙を流し始めると、水木が慌てたように右腕でゲゲ郎の頭を抱き寄せた。
「ばか、泣くなよ」
「…………騙したのか」
「ささやかで可愛い仕返しだ。それにこれでお相子、だろ?」
「わしを許してくれるのか?」
「……ちゃんと抱いたら、許す」
「水木……!」
ゲゲ郎は堪らず水木の唇にしゃぶりついた。初めから舌を入れて、貪るような接吻をする。上顎や歯列をなぞり、奥で縮こまる舌を引きずり出して絡ませて甘く噛む。口腔内を好き勝手に蹂躙すると、水木も応えるように舌を差し出してくるのがなんともいじらしい。
「任せておくがいい。おぬしにひと月も我慢させた分、わしが我慢した分……存分に晴らしてみせようぞ……♡」
「ん、げげろ……♡」
久しぶりに味わう水木の唾液の甘さに酔い痴れる。幽霊族の血は不死の妙薬だなんだと求められてきたが、ゲゲ郎には水木の体液の方がよっぽど美味で依存性のある妙薬に思えた。
「さて、と」
たっぷりと口づけを交わし水木の瞳がトロン、と蕩けてきたところで唇を離す。二人を繋いでいたテラテラと光る銀糸がプツンと切れる様を名残惜しそうに追う水木の姿ににんまりと笑みをこぼしつつ、ゲゲ郎は水木から身体を離しそのままポスン、と布団に倒れ込んでみせた。
「水木よ、さっきはどのようにわしの寝込みを襲ったのか見せてくれんかのぉ」
「なっ……!こ、この悪趣味助平じじい……!」
「失敬な、好奇心が旺盛と言わんか」
「それを助平って呼ぶんだよ!……あぁもう、やりゃいいんだろ?!」
悔しさと羞恥で顔を真っ赤にさせた水木は半ばヤケクソ気味に叫ぶと、寝転がったゲゲ郎の股座まで後退し、浴衣の裾から萎えた魔羅を引きずり出す。勃起していなくとも長さも太さも規格外のゲゲ郎の魔羅を片手で支えると水木はパカリと口を開け舌を突き出し、たらりと唾液を大きく張り出した亀頭に垂らす。
「んっ、ふ……む」
そのまま滴り落ちる唾液を亀頭に纏わせるように全体へと塗り込んでいき、滑りが良くなったところでパンパンに子種を蓄えている玉袋をやわやわと食み、根元から雁首まで余すところなく舌を這わせる。的確な愛撫により順調に力を取り戻した魔羅に浮き出た血管の一本一本を丁寧になぞり、裏筋を舐め上げていく。普段は煙草を銜えたり倅のために子守唄を口ずさむ唇がゲゲ郎の魔羅に奉仕しているという目の前の光景だけで、今にも達してしまいそうなほど気持ちがよかった。
「はふっ……ん、ぷ……っ♡♡」
水木の右手が根元を扱きながら、今度は亀頭を咥え込んでじゅぽじゅぽと音を立てて頭を上下させる。
喉奥限界まで魔羅を含んでも半分も呑み込めていないが、水木はそれでも必死に喉を締めて奉仕を続けた。
「んん、ふっ……♡ぐ、っん♡む〜っ♡♡」
水木はゲゲ郎の魔羅を咥えながらモノ欲しげに腰をヘコヘコと情けなく揺らしていた。おそらく後ろが寂しいのだろうが、右手しか使えない水木は自分で慰めることもできずにさぞもどかしい思いをしていることだろう。
「ん、尺はもうよいぞ水木」
ゲゲ郎は懸命に魔羅を舐めしゃぶる水木の頭を撫でてやると、トントンと己の腹の辺りを叩いて乗れ、と言外に伝える。水木は咥えていた魔羅を口から出し、ふうふうと荒い息を吐きながら浴衣の裾を捲り上げ、割れた腹筋と触れてもいないのにしとどに濡れた魔羅をゲゲ郎の眼前に晒す。
緩慢な動きでゲゲ郎に跨り、亀頭を後孔の入り口に宛てがうと、ちゅうちゅうと縁が吸い付いて魔羅に媚びてくる。
「やわこいのう……わしらに隠れて自分でここを解したのか?」
「んぁっ……は、そ、だよ……っ♡」
「なるほど。わしと交合うのを想像して、こんなにドロドロになるまで後ろを弄ったか」
「あぁ……っ♡だっ、て……も、我慢できなかったんだよ……っ♡」
「うむ、うむ。ならば水木よ、存分に味わうがよい」
ゲゲ郎はその大きな手で水木の腰を掴むと、グイッと勢いよく引き寄せた。
「んおっ♡♡♡あ゛ぁっ……♡♡♡」
ごちゅん、と大きな音を立て水木の尻たぶがゲゲ郎の太腿にぶつかる。背を仰け反らせて大きく喘ぐ水木を逃さぬよう腰をがっちり掴みながら、容赦なく下から突き上げる。最奥の扉をぶち破りそうな勢いで何度も叩きつけていると、次第に亀頭が肉の弁をぐぽっ♡ぐぽッ♡♡と音を立てて抉じ開け始める。
ひと月ぶりの激しい快楽に、水木は精液ではなくショロショロと潮を吹き散らして絶頂へと押し上げられる。元々不能気味であったが、ゲゲ郎に抱かれるようになってから雄として機能を忘れてしまったようだ。
「ひぎぃっ♡♡♡まっ、げげろぉ♡♡♡はげし……っ♡あ゛、あ゛ぁあっ!♡♡♡」
人外の魔羅を受け入れ続けた肉の輪はすっかりと快楽に弱い性器と成り果て、ゲゲ郎が少しつついてやれば、水木の意思とは裏腹にどうぞ犯してくださいとばかりに弛みゲゲ郎を歓迎した。ここさえ突破してしまえばあとは容易いもので、グポンッ♡と重い音を立てて亀頭が弁の奥へと完全に入り込む。
「お゛、あ゛っ……!?♡♡♡」
絶頂から降りてくる間もなく、極太の魔羅で結腸を押し潰され、水木は濁った嬌声を上げる。電流でも流されたかのように全身を不随意にビクビクと痙攣させ、強すぎる快楽に思考回路が焼き切れてしまったのか赤子のように意味を成さない声でただただ喘いでいた。
「お゛ぉっ……♡んぉお……♡♡♡」
「ふぅ……相変わらず具合のよい肉壺じゃな。これをひと月も我慢していたとは流石わし……のう、水木?」
「ん゛ぅぅ、ぇ……♡ぁ……?♡」
「よいよい、トんでしまっても構わん。何度でもわしが起こしてやるからの、ほれ」
先程の激しい攻め方とはうってかわり、トントンと優しく、丁寧に結腸を穿つ。わざとらしくゆうっくりと限界まで魔羅を引き抜き、あと一歩で抜け落ちてしまうところまできたところで行かないでくれと追い縋る肉襞を掻き分け、ずっぽりとハメ込んでやる。
すると、綺麗に割れた水木の腹がぼこり、とゲゲ郎の魔羅の形を浮き上がらせた。人間同士の情交では有り得ぬ光景を、人外たるゲゲ郎は恍惚とした表情で不自然に膨らんだ水木の腹を撫でた。
「ぁ……あはっ……♡げぇろ、の……ここまできてるな……♡♡」
ゲゲ郎の大きな手に重ねるようにして、水木も自身の腹を撫でる。その心底嬉しそうな顔が、この場に似つかわしくないほどに無邪気なもので、ゲゲ郎はグッと胸の奥から熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
「水木……っ」
ゲゲ郎は堪らず上体を起こして水木を搔き抱く。本気でやると水木の身体なとひとたまりもない。折れた腕にも障らぬよう細心の注意を払いつつ強く強く水木を掻き抱く。
「んぁっ♡な、んだよ急に……っ」
声色こそ不満気だが、水木はゲゲ郎の逞しい腕に包まれ満更でもないらしい。ゲゲ郎の胸板に擦り寄り、ふにゃりと表情を弛ませる。
そういう仕草が、狂わせる。
「水木、水木……噛んでもよいか」
左肩から胸にかけて出来た傷に舌を這わせる。爆撃に巻き込まれ、沈着し薄くなった皮膚は敏感に反応し水木の腰を戦慄かせる。
「いい……♡ゲゲ郎、噛んでいいぞ……っ」
許しを得たゲゲ郎は水木の肩にかぶりつく。ハリのある肌は、ゲゲ郎が鋭い犬歯をちょいと立てればプツリと裂け、口の中に鉄臭さが広がる。喫煙者らしく苦味のある、人間の血肉の味にうるさい妖怪からしたらやはり喰らうなら女子供のものがよい、と言われてしまいそうな味だが、水木の命の源と思えばこのうえなく美味なるものに思え、歯型から滲み出るそれを余すことなく舐り尽くす。
人間を食すのは好まないはずのゲゲ郎だったが、水木の血の味に興奮を覚え、我慢がきかなくなる。このまま頭からかぶりつき、血の一滴から髪の毛一本まで残すことなく喰い尽くせたら、と。
勿論そんなことは絶対にしないが、快楽と血で茹だった頭の隅でぼんやりとそんなことを思い浮かべてしまうのだ。
「水木、水木や」
「は、ぁ……♡んぅ……次は、なんだよぉ……♡」
「…………壊してもよいか」
この男を失って壊れるのは己の方だと理解していて、絶対に実現なぞしないと分かっていて、それでも敢えて、許しを乞うように訊ねる。
所謂、試し行為なのだ。許されたい、甘やかされたい、愛されているという実感がほしい。それに、ただ一言水木の口から是、と言ってくれればこの破壊衝動も満たされるのではないかという淡い期待も抱いていた。
熱く解れた肉襞の熱さを堪能しながら、水木の欠けた左耳に唇を寄せる。いいじゃろう、なあ。と、好物の桜桃より甘ったるい声で囁いてやれば、水木はひゅっ、と喉を鳴らした。
「ぅ……ぁ……♡」
水木は声もなく全身を小刻みに震わせる。ぐねぐねと腰を揺らし肉壁をうねらせ、早く壊してほしいとばかりに魔羅を揉みほぐす。その媚びた動きにゲゲ郎の魔羅がビグビグと脈打ち、更に一回り膨らむ。このまま奥の奥へ子種を蒔いてしまいたくなるのを、奥歯を噛み締めて堪える。
「水木や、答えてはくれんのか?」
「ひ、ぅ……っ♡」
ジッ……と蒼い瞳を覗き込んで返事を促す。ゲゲ郎の方がはるかに上背があるが、水木がこうして上目遣いで見つめられるのに弱いことはとうに知っていた。
腹側の泣き所を小刻みに突いてやりながら、名を呼ぶ。陥落は時間の問題のだろう。
「おお、よしよし……寂しくさせてすまんのう、すぐに埋めてやるからちいと我慢するんじゃぞ」
「ん…ぇ……♡♡ゲゲ郎……?」
ゲゲ郎は水木の膝裏をその大きな手でしっかりと掴むと、幽霊族の怪力を有効活用して彼の腰や臀が浮くほどに両脚を高く抱えあげる。くたりと芯のない役立たずの魔羅や、水木の腸液とゲゲ郎の我慢汁が混ざった粘液がとろりとろりと溢れる後孔をゲゲ郎の眼前に曝け出すような格好にされたことへの羞恥と、これから自分が何をされるのかを察した水木が顔を逸らして瞼を伏せた。睫毛に溜まっていた涙の粒がぽろ、と肌に落ちる様はまるで破瓜に怯える処女のように可憐で、ゲゲ郎の手で雌犬のように変えられた肉体との差異にゾクゾクと興奮が腹の奥を擽った。
折りたたんだ水木の身体に伸し掛り、ひくつく後孔に狙いを定めて亀頭を宛てがう。
「あ……ぁ…っ♡♡♡」
「覚悟せい、水木」
真上から垂直に魔羅を突き下ろし、バチュンッ♡♡♡と肉同士がぶつかる音を鳴らせば、水木はぐるんと目玉をひっくり返して呆気なく絶頂した。
「ひぎぃぃいいぃっ♡♡♡いく、イクイクイク……〜〜ッ♡♡♡」
ガクガクと痙攣しながら背を仰け反らせて舌を突き出す姿は滑稽で、見る者の嗜虐心を煽る。実際ゲゲ郎は大層愉快であった。白目を剥き顔中からあらゆる汁を垂らした色男も形無しの無様な顔、可哀想なほどにピンと伸びたまま硬直している爪先……殆ど暴力と同等の快楽を与えられ人の子はさぞ苦しみ悶えているだろう。
可哀想に、と他人事のように冷静に考える自分がいる一方、水木のあられもない姿を拝めるのは己だけかと思うと、人外に相応しいおどろおどろしい笑みを隠せずにいた。
「お゛、ぁっ♡あ、ひぃっ♡♡♡」
水木の手前余裕ぶっていたが、いよいよゲゲ郎も我慢できなくなり、荒い息を吐きながら本能のままに腰を振り、柔らかな肉筒を抉り回す。硬く張り出した立派な雁首でゴリッ♡ごりゅっ♡と前立腺を抉り、何度も何度も結腸弁を突き破らんばかりの勢いで叩きつけた。
「が、ぁ゛っ♡♡げぇろぉっ♡♡♡らめ、ちんぽ擦れてりゅ……♡♡ひ…ああぁぁっ!♡♡♡ま、まらイグぅ……♡♡♡」
押し潰すように重くて深い律動に、水木の身体は激しく揺さぶると水木の魔羅が振動に合わせて腹を打ち、互いの腹筋に挟まれ擦られるのが堪らないらしい。水木は口では嫌だだの駄目だの言いつつ、腰をゲゲ郎に押しつけて外と中の快楽を貪り甘い声をあげ善がり狂っている。
「ゲゲ郎ぉっ♡♡♡これぇっ♡ちんぽとまんこいっぺんにされて♡♡んぉっ♡おかしくなりゅぅ♡♡♡」
「なんじゃ、おぬしはまだ自分が正常なつもりであったか……わしのお手つきになった時点で水木はもう普通には戻れんぞ♡人間は勿論、並の妖怪でも満足できまい♡一生わしのモノじゃ♡水木が壊れるまで愛でるし、壊れてからも愛でてやるからの♡」
「あはぁ……っ♡うれしぃい♡♡♡んぉおっ♡♡こわしてっ♡♡♡こわしてくれ♡♡♡お前にこわされたいぃ……♡♡♡」
「……承知♡」
欲しかった言葉を遂に手に入れ、ゲゲ郎はにんまりと口角を歪めた。
「ふー……っ♡最後はおぬしの大好きな口吸いをしながら極楽に連れていってやるぞ……それ、口を開けい」
「ぁ……♡んぶっ、う゛ぅぅぅ〜〜♡♡♡」
言われるがまま雛鳥のように大きく開けた水木の咥内に、幽霊族特有のカメレオンの如く長い長い舌をにゅるりと侵入させる。口蓋垂を舌先で擽ると、嘔吐反射で水木の身体が跳ね、短い舌で押し返そうと貧弱な抵抗をしてみせる。勿論そんなものはゲゲ郎にとって屁でもないので、小回りの利く舌でまとめて捕らえ、くちゅくちゅと扱きあげる。
「お゛っ♡♡♡お゛ぉ〜……♡♡♡」
咽頭を越え、食道の入口をチロチロと弄ばれる感覚に脳味噌がバチバチと破裂しそうだった。常人相手ならまず触れられることのない奥まった粘膜を擦り合わせる快感は筆舌に尽くし難く、水木はまるで脳髄を舐め啜られているような錯覚すら覚え、生理的な嫌悪感や拒否感はすべて快感へと強制的に変換されていく。
「うぶっ?!♡♡♡ぐ、ぎゅ……ッ♡♡♡ぅぅ〜〜〜〜♡♡♡」
ろくに呼吸もできず、水木の顔は徐々に酸欠で赤らみ、穴という穴から汁を垂れ流している。ゲゲ郎の首にまわしていた右手や張り詰めていた下肢がだらりと力を失っていくのとは裏腹に、魔羅を咥え込んだ後孔だけが狂ったようにきゅうきゅうと激しく戦慄いていた。
本気で死にかけるからという水木の猛抗議があってからは精々喉奥までで我慢していたが、本音を言えば舌で奥深く犯した時のこの雄膣の締めつけが一等気持ちよく、上も下もゲゲ郎で埋め尽くされた水木が身も世もなく悶える様はゲゲ郎の薄暗い欲を存分に満たしてくれた。
「げぼっ、ぇう……♡♡♡ぐ、ぷぁっ♡♡お゛っ♡♡♡」
「ふッ、そろそろ出すぞ水木……!わしの子種、余すことなくしかと受け止めるのじゃぞ……ッ!」
ゲゲ郎は水木と己の身体に寸分の隙間も許さないとばかりに覆い被さり、舌と魔羅の両方を彼の最奥にピタリと押し当て、そして果てた。
「〜〜〜ッ…………♡♡♡」
幽霊族は人間ほど欲がないため、娯楽代わりに性行為をする習慣もない。故に、一度の情事で確実に伴侶を孕ませるべく撃ち込む子種の両方も濃さも尋常ではない。そのうえ一ヶ月も溜め込んだ子種は凄まじく、ドポドポッ♡と音を立てながら吐き出さ続けるそれは程よく筋肉のついた男らしい水木の腹を見るも無惨、妊婦の如く膨れ上がらせ可憐の雄の尊厳を完膚なきまでに破壊した。
「……っ♡♡♡……、……♡♡♡」
もはや声も出せず、水木はびくんッ♡びくんっ♡と全身を跳ねさせながら降りられない絶頂に身を灼かれていた。ぎゅうぎゅうに締め付けてくる肉壺の心地よさに負けぬよう、ゲゲ郎は最後の一滴まで吐き出すようにぐっぐっと腰を押し付ける。その振動にも感じているらしく、水木は小さく喘ぎながら痙攣を繰り返し媚肉を蠢かせていた。
「ふぅ……ひと月ぶりのおぬしの胎は具合がよかったぞ。ほれ、この通りじゃ」
「お゛……ッ♡……♡♡♡ぉ……♡♡♡」
永遠とも思える長い射精をようやく終え、ゲゲ郎は水木の中からズルリと魔羅を引き抜いた。途端、栓を失った孔からごぷりと白濁が溢れ出る。栓を失いぽっかりと開いたままの後孔の縁は真っ赤に盛り上がり、皺が伸び切ってぽっかりと大きく口を開けていた。
「おお、すっかりわしの形に広がってしまって……実に愛いぞ、水木はよい子じゃ♡」
「ひ、ぅぅ……?♡♡ぇ、へへ……♡♡♡」
強烈な快楽で理性が灼き切れた水木にゲゲ郎の言葉が正しく届いているわけもないが、頭を撫でてやるとふにゃふにゃと赤子のように笑うのがまた庇護欲と劣情とをいっぺんに誘った。
「水木、惚けておる場合ではないぞ。まだまだ夜は長い、もっとおぬしを可愛がらせろ……」
「んぇ……ぁ、あ……?♡♡♡ど、どーぞぉ……♡♡♡」
覚束無い手で自ら尻肉を広げてゲゲ郎を招き入れようとする健気な仕草に、ゲゲ郎の魔羅はあっという間にグンと力を取り戻し、先ほどよりも更に質量を増して天を向き再び水木に牙を剥く。
――――飢えた二人の夜は、始まったばかりだった。