最初で最後の
今日も和也は女優さんと仲良くしてた
わかってるんだ、一緒にお仕事させてもらってるから当たり前だって
でも和也がそうでも、相手は違うかもしれないし
もう嫌だ
「…っ」
こんなことで泣いてる自分も嫌だ
「芽依?泣いてるの?」
「泣いてない、」
「どうしたの?」
「何でもない」
「そう?…ならいいけど」
優しい和也はそっとしておいてくれる
でもその優しさが今の私には苦しいよ
最近の芽依はなんか変だ
よく隠れて泣いている
それに…
潤くんと凄く仲が良い
俺よりも潤くんといる時間の方が長いんじゃないかってくらい
ほら、今も潤くんと一緒にいる
俺も同じ空間にいるのに、芽依は何でそっちにいるの?
「和也、隣座ってもいい?」
「潤くんのところにいけば?」
あぁ、もう我慢できないかもしれない
「俺といるより潤くんといる方が笑ってるじゃん。無理して俺と一緒にいなくてもいいから」
「おい、和」
「潤くんも潤くんだよ。俺たちのこと応援するって言いながら芽依のことたぶらかしてさ」
「違うの、和也。潤くんは何も悪くないの」
「へぇ、潤くんの味方するんだ?」
「そういうのじゃなくて、」
「潤くんはカッコよくて優しくて、俺にないもの全部持ってるもんね」
「何言ってるの…?」
「俺より潤くんの方が好きなんだろって言ってんだよ!」
声を荒げた俺に怯えてうつむく芽依
やっぱり、ほら
「じゃあ潤くんと付き合えよ。俺なんかと別れてさ」
「…和也だって、」
「あ?」
「和也だって私なんかより綺麗な女優さんの方が好きなくせにっ!」
そう言って泣き出した芽依に俺は何を言い返せばいいのかわからなかった
「芽依さ、和が女優さんと仲良くしてるのが嫌だったんだって」
は?
「仕事上の付き合いだってことも、和の人格がそうなのもわかってるのに許せない自分が嫌だって」
何だよ、それ
「それを俺に相談しにきてたんだよ。こんな嫌な女だって知られたら嫌われちゃうって」
俺なら嫌な女だなんて思わないし、むしろ嫉妬してくれるなんて嬉しいけどね、と笑う潤くん
「潤くん、ごめん、俺、」
「いいから。謝るべきなのは俺じゃないでしょ?」
イイ男すぎますよ、潤くん
「…芽依、」
「ごめんなさい。幻滅したでしょ?私、こんな嫌な女だから。フッてくれていいから」
「フるわけないでしょ?俺は芽依のこと大好きなんだから」
おいで、と腕を広げてもためらう芽依を自分から抱き締めた
「ごめん、芽依。泣いてるの気付いてたのに」
「んーん、私が悪いの」
「前から思ってたんだけど、アナタ遠慮しすぎ」
年下だからとか後輩だからとか、そんなの関係ないでしょ?
俺と同じ目線に立ちなさいよ
「いっぱいわがまま言っていいんだよ?」
「でも、」
「迷惑じゃないから、ね?」
「…うん」
最初で最後の
(「世話の焼ける奴らだな」)
(「本当に申し訳ない」)
(「ありがとう、潤くん」)