忘れないで

1人でのお仕事の時間は少し嫌いだ

そのお仕事じゃなくて、その状況が嫌い

「今日は1人?」

「お前って需要あんの?」

「ないでしょ、こんな奴」

「嵐の姫とか言ってさぁ」

「ねぇ、渡辺芽依サン?」

どこで情報を仕入れてるのかわからないけど、1人のときはいつもこうなる

……ごめんなさい、忙しいので

「忙しいふりしてるよ」

「馬鹿じゃん?」

御影「芽依、車の用意できたぞ」

はい

「ちょっと待ちなさいよ!」

御影「おい、お前ら」

いーから

御影「いや、でも、」

いいの!

「強がっちゃってさ…、むかつくんだよ!」

御影「行くぞ」

すみません、失礼します

「ちっ…」




ただいま…

おかえりー

いつものようにソファーでゲームをしている和也

大丈夫?

何が?

顔色悪い

そんなことないよ

上着をかけにいく足が重い

ほら、フラフラしてるし

大丈夫だって

少し疲れてるだけ、と言うけれど
和也に隠せるわけなくて

ここ座んなさい

自分の隣をたたいて私を呼ぶ

何があったの?

"何かあったの?"ではなく"何があったの?"と問うあたり、流石和也だ

芽依

この人に勝てたことは一度もない

…私には需要がないんだって

は?

私見てるとむかつくんだって

誰に言われた?

女の子。…多分嵐のファン

…いつから?

今日がはじめてだよ

嘘。1回くらいだったら隠せるだろ、お前

隠せなくなるなんて相当だ

何で黙ってた

言えるわけないじゃん…

何で

皆が頑張って、それでついてくれたファンの子たちだもん

私のせいでその人たちを失うなんて許されない

私が全部受け止めれば、その人たちはまだ嵐のファンでいてくれる

お前っ!

大丈夫!…それが一般論だもん。私が受け止めないと、

それで体調崩してたら元も子もねーだろ!!

っ…

こんなに怒った和也を見るのは久々だ

全部自分で何とかしようとしなくていいから。芽依の問題は嵐の問題でもあるんだよ?

そんなことない

あるの。芽依だって嵐のメンバーなんだから

違う?と聞く和也に私は首を横に振る

少なくとも俺には言ってほしかった

ごめんなさい…

いーよ、もう。次から俺のこと頼ってくれれば

うん、

辛かったね、と優しく包むように抱き締めてくれる和也に涙が出そうになる

泣いていいよ



忘れないで

(アナタを必要としている人が)

(少なくとも5人はいるということを)