広がるミルクティー

何飲もうかなー

やっぱりお茶かなー

まだ買ってなかったの?

あ、にの

自販機のラインナップに迷っているとにのが来た

迷ってる感じ?

先に買っていいよ

そう?と言ってにのは缶コーヒーを買った

うん、今日はミルクティーにしよう

そう思って自販機の前に立つ

ちょい待って



にのは財布からお金を出してミルクティーのボタンを押した

はい

え?

これじゃなかった?

いや、合ってるけど

ほらね、流石俺

これ奢りね、と渡される

え、何で?

いいから。その代わり、ちょっと話してから戻ろ?

うん、?

自分の飲み物を自分で買うのも珍しいにのが奢ってくれるなんて…

何かあったのかな?

そう思ったけど特に変わったこともなく

楽屋と同じような、最近あったちょっと面白かった話でクスクスと笑い合う

……

突然の沈黙

急に2人きりだということに意識がいった

どうしよう、顔が熱い

真面目な話になるんだけどさ、

そう言って最後の一口を飲み干すにの

空いた缶を捨てに立った

―――カラン…

缶と缶がぶつかる音

振り向きざまに合った視線が何故か逸らせない
んふふっ、何か緊張するね

その言葉でやっと目を逸らした

わからないけど今すぐ立ち去りたい

俺ね、好きな人いるの

嗚呼、そうか

終わったんだ

いや、はじまってもなかった

そう、なんだ…

力の抜けきった足を必死に動かし立ち上がる

悲しいのか悔しいのか、はたまた違う感情なのか

それすらもわからなく、自嘲だけが溢れる

頑張って

その言葉と共に歩き出す

ちょっ、待ってよ

終わってないんだけど、と私の右手を掴む

今の私にこれ以上話を聞くなんてできないよ

っ!?

唐突に掴んでいた手を引いて抱き寄せられる

ごめん、芽依ちゃん。今だけは許して

何で?どうして?

思わせぶりなことしないでよ

もう好きでいさせないでよ

好きなんです

………ぇ、

俺の好きな人、芽依ちゃんなんです

耳元で響く声がベクトルを変え、涙腺を刺激する

ふっ、ぅ…っ

え、芽依ちゃん!?泣いてる?

っばか、

は!?お前、俺の一世一代の告白をっ

好きなの!私もにのが好きなの!

あ、え、嘘でしょ…?

本当だよぉ、ぐすっ、ぅー

次から次へと涙が流れていく

な、泣くなよ

もう、と男にしては小さく丸いその手が頬を拭う
俺と付き合ってくれませんか?

、はいっ

はぁ、よかった…

フラれる覚悟だったんだけど、と笑う

っく、っ、

それ飲んで落ち着きなよ。せっかく買ってあげたんだから

ぅん、

甘さが涙の塩気を中和していくようだった



広がるミルクティー

大丈夫?

(こくん)

やっぱり芽依ちゃん可愛い