初出勤
First Attendance
学園では、壮絶な争いが続いた。
いつ頃からだろうか、水面下でなされていた駆け引きは姿を現し始め、生徒たちは不安と危険に揺れ動く。
ある者は友を失い、ある者は血の繋りを失い、またある者は心に在り続けた者を失い。皆がどうしようもなく悲しみにくれ、しかしそうしている暇もなく、前を向くしかなかった。
そうして一人の少女とその仲間によって諸悪の根源は絶たれ、小さくなって消えゆくのみとなった。
その少女佐倉蜜柑……の、仲間の一人に、当時13歳の少女がいた。
同じ特別能力系の生徒であり、中等部1年にして幹部生を務めていた、どことなく誰かに似た姿。自分の持てる力をすべて注いだ彼女は5年の月日が経ち、佐倉蜜柑が準アリスとして学園に戻ったのを見届けると学園を卒業し出ていった。
行く先は、警視庁。
今日からその少女、志貴ひよりの新しい日々が始まるのであり、今日は初出勤の日であった。
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