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First Attendance





起きて、朝食を食べ、身支度を整える。毎日繰り返しているけれど、今日からはちょっと違う。

着ていた制服はもうクローゼットへ仕舞われ、私が今着ているのは兄のお下がりを直した半袖ロングパーカーに黒の二の腕まであるグローブ。
これは兄がZ時代と高校長に立ち向かっていた時代に着ていたもので、動きやすいのでお強請りをしたら思ったよりすんなりとくれたのだ。

刑事はスーツだろう、と言われたけれど、スーツでは動きにくい。私の特別措置はアリスを活用することが条件だからとこれも兄に強請り、ため息をひとつ吐いた兄は国へ申請し許可を取り付けてくれたのだった。


私はもう学園外に部屋を借りているので、いちいち端っこの門まで行って開けてもらう手間が無いのはとても楽で、ついゆっくりとしそうになってしまう。

しかし私はこれから初出勤である。

初日から遅刻する訳にも行かないので、顔を洗って柔らかいタオルで拭くと長く伸ばした髪をポニーテールにする。そこから編んでいけば、学生時代にはロープと称された長い三つ編みが完成した。

鏡で全身をチェックすると、新調した携帯電話(やっとスマホになった)とお財布(セントラルで買った。手のひらサイズになる)を腰のポーチに入れて、家を出る。


はた、と気付いてポーチを見て、一度玄関に戻った。忘れていた定期券を取り外側のポケットに仕舞うと、今度こそ、と私は家を出た。



瞬間移動はできるけれど、出来るだけ平時は使いたくない。この能力には寿命があるから。私は『犯罪の件数がおかしいからなんかお願い☆』と雑に家の場所を決められた治安の悪い町、米花町を歩きながら駅へと向かった。





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