何も考えずに読むのがオススメです
戦闘より治癒に特化した術式の夢主

「そう怯えるな。取って喰ったりしない」
「……」
「一言も喋らんな。借りてきた猫とはこのことか?」
「………」
「まあ、騒ぎにはするなよ。小僧と変わらざるを得んからな」
「…………ハイ」

いやいやいや、何これ?
目の前にいるのは虎杖、ではなく、あの呪いの王。それだと分かった瞬間に、訳は分からないが取り敢えず「あ、死んだな」と全米が思ったと思うが、俺は生きている。スタンディングオペーションしてくれ。

あまりに顔が近いので目を逸らしたら目の下の目と目があった気がして、思わず目を閉じた。ねえ俺いま目って何回言った?

五条先生が通りがかるのを待ちたいがここは俺の部屋なのでそもそも通りがかりようがない。たまたま伏黒が部屋に訪ねてくる期待も薄い。詰んでる。

「時間が惜しいのでな。担当直入に言う」
「ハイ…(もうちょい長生きしたかったな……)」
「今のオマエの術式も反転術式も、ただのかすり傷にしか使えん」
「ハイ…(最後の晩餐何になんだろ……もしかして昼食った唐揚げ定食?)」
「だが術式自体は興味深い。磨けば光る。俺が呪力操作を教えてやる」
「ハイ…(えーまじか……最後って分かってたらチキン南蛮定食にしたのに……)」
「俺が名を呼んだら、俺の生得領域に来い」
「ハイ…(そこにプリンもつけたのに……)」
「くくっ、W成立Wだな。──だがこのまま小僧と変わるのもつまらんな」
「は……、っ、……、!?!?!?」

ちゅ、と何かが唇に触れて、はっと我に帰る。いや元々我なんですけどちょっと思考が宇宙にいってたから。

ともかく我に帰ったけど、ぬるりと口に忍び込んできた何かのせいで、一瞬で混乱に突き落とされる。いや、何が起きてる?いつのまにか頭が固定されているようで、目の前にいるやつの肩を押してもびくともしない。当たり前だ。そもそもの肉体ですら虎杖だ。あいつの馬鹿力と身体能力はよく知ってる。俺は腕相撲でプライドをかなぐり捨てて両手でやらせてもらったが虎杖の指一本に負けた。ていうか普通にやったらなんなら釘崎にも負けそう。俺はそれぐらいのクソ雑魚なので、いま俺の力で引き剥がせないのは仕方ないかもしれないが、舌がぴちゃりと音をたててぬるぬると絡められていることとか、スウェットのズボン後ろに手突っ込まれてから直に尻を揉まれてることとか、それは仕方なくなくない???……日本語合ってる?

「また会おう、みょうじなまえ」

最後にぺろりと俺の唇を舐めて舌なめずりした呪いの王は、がくん、と脱力し、次の瞬間にはクラスメイトに替わっていた。

「………」
「……おかえり、虎杖」
「……いや、なん、え、は?」
「ごめん俺もよく分かってない」
「ごめん、ほんとごめん、宿儺に何された!?」
「気にすんなよ。俺も気にしないし。ファーストキスだったけど」
「キ……!?」

宿儺のせいで同級生をそういう目で見てしまう虎杖悠仁。

宿儺はこの後ときどき夢主を生得領域に呼んでちゃんと呪力のこと教えてちゃっかりスケベなことしてから帰す。
その感覚が悠仁と繋がってて、夢主見てムラムラしてしまう悠仁……
悠仁宿儺△おいしい