あれから。


部活が終わって、「着替えてくるから待ってろよぃ!!!」と言って部室の方へ走り去っていった丸井先輩を見届け、部活の後片付けをしてマネージャー専用の更衣室でササッと着替えて「もういるだろうなー」と思って急いで正門まで来た。のに。



「わっりぃ!遅くなった!!」



私がついた20分後に正門に来た先輩は今まで何をしていたのか非常に気になります。ええ。

ま、先輩らしいですし構いませんけど。


立海から歩いて10分で駅に着いてちょうど来ていた東京行きの電車に乗り込んで、目的地を目指す。その間にまずおやつがわりにケーキバイキングに行ってケーキたらふく(丸井先輩が)食べて、買い物しようということを決めた。話してたのは殆ど丸井先輩で、私はずっと相槌打ってました。だって先輩次から次に話題出してくるからツッコむ暇もないんですよ。女子ですかアンタ。って言いたいぐらい。



「でよ!赤也の奴三強に喧嘩売ったんだぜぃ。俺らから見たらあいつ馬鹿じゃねーのって感じでよぃ」

『へぇ…』



今は切原くんが立海テニス部に入部してきた頃の話だ。丸井先輩ホントにいろんな情報をくれます。
しっかし切原くん、先輩に対してなかなか生意気だなとか思ってたけどそれ以上だったよ…
先輩に喧嘩売るとか何者。女子だったらリンチ確定だよ?私はそんなことしないけどね!



「あ、そーいや柳がお前のデータ欲しがってたぜぃ」

『そんな情報いらないです…』

「まー参謀だし仕方ねぇだろぃ?」


たまにいらない情報までくれるけど。


『柳先輩って最初からあんな感じだったんですか?』

「データマンってこと?そーだったな、最初はアイツ気味悪くてよぃ…会って何日かしか経ってないのに俺の好きなもの知ってるし」

『いや丸井先輩の好きな物ってわかり易くないですか』



ケーキ、もとい甘いものじゃん。



「はっ!?俺わかりにくいだろぃ!!!」

『いや丸井先輩の好きなものだったら多分誰でも当てられますよ』

「嘘だろぃ!?怖っ」



いやだから、ちがくて。

思わずため息をついてしまいそうになった時、停車駅についた電車のドアが開いて人がなだれ込んできた。座るのを控えて二人一緒にドアの近くに立っていた私と丸井先輩、特にドアの目の前に立っていた私は人並みに押された(丸井先輩はちょうど人並みが来ないとこに立ってたから無事だったみたいだけど )。



まぁ、だからってさ、こんな、

フラグみたいなこと、起こらなくていいんですけど。

「……っと、大丈夫かよぃ?」



今の状況を説明しよう!

私、なだれ込んできた人に飲み込まれそうになる。



横から腕を引っ張られる



足がついていかなくて前のめりになる



誰かにダーイブ。←今ココ!



まぁ、誰かっていったら一人しかいないわけで、その、


『!?………!?!?』

「あっぶーねよなぁ。降りようとしてる人まで押しのけてたぜぃあいつら」

『(うえええええ!?チョッまっえっ!?何このフラグ的な何か!!!)』



丸井先輩に抱き締められてるわけで。


『…………………………』

「相模?おーい、大丈夫かよぃ?」

『……あ、はいっ。…すみませんありがとうございます』



とりあえず落ち着こう。丸井先輩のことだ、なんか慣れてそうだしこんなことで照れるとか私らしくないなうん。落ち着こう。



「気にすんなよぃ。大丈夫だったかー?」

『あ、はい。ありがとうございました……えっと、離してもらえますか?』

「んー?あ、悪ぃ悪ぃ……ってゆーかお前、甘い匂いすんな」

『!!!!』





私の背中に回した腕を解かないまま、スン、と髪の匂いを嗅いだ丸井先輩。

ここが電車の中でなかったらまだいいんだろうけど、とにかくさっき人がなだれ込んできたばかりだ。人の視線が……!!!痛い痛い!!!!!!!!


「なんか腹減ってきたぜぃ」

『―ま、丸井先輩。もうすぐ着きますんで、その、』

「ん?あー悪ぃ悪ぃ」



パッ、と何でもないかのように腕を解いた丸井先輩は、既にケーキのことで頭がいっぱいらしく、頬が緩んでる。本ッ当好きなんですね…


とりあえず私のトキメキ返して欲しいです。



(…あ、次だ)
((……なんかいい匂いだった))
((丸井先輩嬉しそうだなぁ))