「まさか丸井君に会えるなんてビックリだC」

「こっちのセリフだぜぃ。まさかジロ君と相模が幼馴染みなんて思わなかったしなぁ」




そういえばこの2人同じボレー選手だったの忘れてた…
思わず遠い目をして溜め息をつく。
忘れてなかったら丸井先輩と一緒に来たりしなかったのに、なんて思った。



「丸井君今度また試合しよー!!!」

『(…というか、慈郎先輩が丸井先輩のファンだったの忘れてたや)』

「おー、もちろんだぜぃ」

「あの天才的妙技ちょーかっこよかったCー!!!」

「あったりまえだろぃ!!俺は天才的だからなっ」

『慈郎先輩、そろそろいいですか』

「んもーっ尻尾はテンション低いCー!!!」

『元々なんで。ほら、早くしないと時間なくなりますよ』



二人が仲いいのは別に構いません。気にもしませんけど…なんのために来たんだか。
とりあえず丸井先輩と慈郎先輩を引き離して、慈郎先輩を引き摺るよう(な気持ちで)連れていきます。




「いつもはもっとニコニコしてるC」

『別に笑ってなくてもいいじゃないですか。ていうか今日荷物それだけですか?』

「うん!!!前尻尾んちに泊まった時荷物置かせてもらったからー!!!」

『…もしかしてあの羊のTシャツ、慈郎先輩の、』

「そうだよー!!!可愛いでしょーっ…、あっもしかして尻尾あれ着たの!?マジマジ着たの!?」

『…すみません。寝間着がわりに』

「今夜俺着るね!!!」

「『待て待て待て待て』」

『………………何で丸井先輩が反応してるんですか』

「いや色々ツッコミどころありすぎだろぃ。普段もっとニコニコしてんの?泊まり?羊のTシャツ?どーゆーことだよぃ相模!!!!」

『私ですか!?』

「丸井君何焦ってんの〜?」

「べっつに…焦ってねーけど」

「A〜?でもでも、ホントのことだC」

『まぁ言葉の通りですね』

「『幼馴染だ(です)し』」

「………幼馴染でも普通男のTシャツ着るかよい」

『それは偶然ですって!!!!』

「どーだか」

「もーいいでしょー?尻尾、早く行こー」

『わ。慈郎先輩引っ張んないでください』

「早く行かないとお菓子なくなっちゃう」

「それを早く言ってくれよぃジロ君!!!」


誰のせいだと思ってんだか。
てゆーか丸井先輩、ほんと単純ですよね…





「ちょー美味しかったC!!!!」

「なー!!!!マジうまかったぜぃ♪」

『慈郎先輩も丸井先輩も食べ過ぎですよ…』

「尻尾は食べ無さすぎだC」

『至って普通なんで』

「やー今日ほんと相模に付いてきてよかったぜぃ。」

「俺も丸井くんに会えたしよかったー!」

『(私は疲れました)』

「あ、俺この辺だわ。じゃなージロ君相模!!」

「丸井君バイバーイ!!!」

『お疲れ様でした。』

「んー…さて、尻尾、俺達も行こっか。」

『はーい』




「………………あ。」

『………あれ?丸井先輩』


少し歩いた後、ふと振り返ると丸井先輩がこっちに向かって走ってきてた。しかも結構必死な顔で。
慈郎先輩に用があるのかな?なんて思って、いつの間にか猫と戯れてた慈郎先輩を呼ぼうと、して、



「尻尾!!!!!!」



え、なんて思う前に腕を引かれて、丸井先輩と向き合わされる。
街灯の光に当たって、赤い髪が鈍く光っていた。



『……丸井先輩?』

「ブン太」



???



『どうし「ブン太」』

『……………ブン太先輩?』



あれだけ連呼されれば、先輩の意図はなんとなく掴める。


あまり名前呼びとか得意ではないけれど、相手は先輩だし(先輩だからこそ名前呼びは無理だと思ったけど)、ましてや丸井先輩だし。
まぁ、後でめんどくさいことになるよりここでスッキリしとこう、なんて思った結果だ。

丸井先輩は私が名前を呼んでから固まったままで、心なしか頬が少し赤い。
髪も赤いからこれじゃ全身まっかっかになっちゃうなー、なんて少し失礼なことを考えて、もう一度、

『ブン太先輩』


そう、ハッキリと言った。




すると丸井先輩は、いつもの明るい笑顔を見せて、「これからもシクヨロ!尻尾♪」
と言って、来た道を戻っていった。


あ、笑顔可愛かった。



(丸井君も、かぁ…)
(なんだろこれ…さっきまでモヤモヤしてたけど)
(……良く考えたら今日のってデートに見えなくないよね。うわ明日怖い学校怖い)