「……………帰りたくないC」

『なんちゅーわがままですか。明日は学校来いって、部長さんに言われてるんでしょう?』

「跡部は許してくれるから大丈夫」

『そんな問題じゃないです。』

「ヤダヤダ〜…なら尻尾も連れて帰るC」

『なんでですか…てか目的は丸井先輩でしょ。会いたいんならまた週末来ればいいじゃないですか』

「……!尻尾、丸井くんのこと名前で呼ばないの?」

『え、あぁ…や、あれ冗談ですよ。多分。それに先輩ですし簡単に呼べませんて』

「(俺には本気に見えたけど…)そっかぁ〜!あれ?でもそれ俺は先輩に見られてないってコト!?」

『や、慈郎先輩は幼馴染ですし…嫌なら芥川先輩で「ヤダヤダ!!!!」…あ、はい』

「……じゃあ、またねー!!」

『はい、また。』



慈郎先輩が泊まっていった次の日、まだ空が白んでいる頃、慈郎先輩は姿が見えなくなるまで大きく手を振りながら帰っていった。

いやぁ相変わらずな慈郎先輩には正直疲れました。家に着いた途端肩にのしかかってくるし夕御飯の時は“あーん”を強要してくるし(しましたけど)風呂に入ろうとしたら後ろからついてくるし(全量で阻止しました)扇風機で髪乾かしてたら膝に頭乗っけてくるし(所詮膝枕)課題やってたら腰に巻き付いてきて邪魔してくるし(終わりませんでした)寝ようとしてベッドに潜り込んだら案の定となりに転がってくるし(蹴り落としました←)でもめげずに転がり込んだらしく朝起きたら腰に腕、足に足が巻き付いてました息苦しかったです。

そんなこんなで、疲れ取れなかったですよ。えぇ。


あぁ、今思えば例の羊Tシャツ、慈郎先輩が着て寝てましたね。もう間違えないとは思いますが持って帰ってもらいました。



そんな今日。



「おはよー」

『おはよ。英語の予習やった?』

「やってるよー。」

『ごめん、見せてくんない?』

「あは、いいよ」


珍しいね?と言いながらノートを渡してくれた友人に、幼馴染が泊まり来ててね、と伝え前の席を借り、座る。友人はあぁ、と相槌をした。

「氷帝の?あの…ボレーの人だっけ。よく寝てる」

『そうそう。流石だねぇ』

「かっこいいじゃん」

『…そう?』

「相模ー!」


よく分かんない。そう言うと友人はやれやれ、とでも言いたげにため息をついた。なんだよ、と思った時、聞きなれた大声が教室に響いた。ちょ、うるさ。


「やだ、切原くんじゃん!」

「相模!!!国語ある!?」

『あぁ、うん…はい』

「サンキュー!!!マジ助かった!」

『また忘れたの?…これで真田先輩に怒られないで済むね』


思わず笑ってしまった。


「うっ…副ぶちょーに言うなよっ」

『言わないよ。あ、早く行かないと授業始まるよ?』

「やべっじゃーな!」

『後でね。………なに、』


振り返ると友人がニヤニヤしていた。


「いやー青春だなーと思いましてね。普通男女で教科書の貸し借りとかしないよ」

『クラス隣だし部活同じだし無くはないでしょ。』

「そして相手は切原くん。漫画みたいじゃん」

『漫画の方が教科書の貸し借りってない気がするけどね』

「えーそうかなー?」

『はいはいうっさい。早く席座りなよ』

「ちぇーっ」


ちぇーじゃないでしょ。案外こーゆーのあるもんじゃないのか?私がおかしいのか?わからん。ただ一つ心配なのは、切原君が昼休みまでに教科書を返しに来てくれるか、とゆーことだけ。

案の定返しに来ませんでしたけどね。にゃろう。




**

「ブンちゃん今日調子いいのー。」

「へへっわかるかよぃ?」

「いつもより動いとるせいでお腹のぜい肉が揺れとるぜよ」

「黙れ」

「まぁいいじゃない。それで昨日食べたケーキで摂取したカロリーが落ちれば万々歳だろ」

「…幸村君それどこで」

「ふふ…。赤也が昨日丸井先輩ケーキバイキング羨ましいって言っててね。」

「あんのワカメェ!!!」

『(あぁ、騒がしいと思ったら先輩たちもう来てるのか…)』


授業が終わってHRが終わって、すぐに教室を出て部室へ向かう。いつもは結構静かなんだけど、今日は先輩たちが来ててざわざわしてた。にしても丸井先輩仁王先輩と幸村先輩か…珍しい組み合わせだな。




『(早く帰りてぇ)』



正直いつも思ってることだけど、今日は二乗増しくらいに思う。コンコン、部室のドアをノックしてあくび。あーつれぇねむてえ。



「あ、相模いいところに」

『?あ、幸村先輩こんにちは。何ですか?』


川口先輩とお話していると、幸村先輩がやってきた。


「これ今日のメニューね。前のやつじゃ物足りなくなっちゃったから、多少追加してある。チェックしといて」

「えー!!?また増えたのかよ幸村ぁ!」

「なに川口問題あるの?」

「いやないけど。さ、最近増えたばっかじゃんか」

「あれはランニングを20周増やしただけだろ。」

「ええ…」

「ま、そういう訳だからよろしくね。」

『は、はい…』




私の方を向いてにっこり笑った幸村先輩は、再度川口先輩の方を向いた。

…………うん、私は何も見てない。
幸村先輩の背後からなんか黒い霧みたいなのが出てるとか、知らない。



(うわ何この量…前の3倍くらいある気がするんだけど)
(尻尾まだ来ねーのかな…)
(ブンちゃん今日1日変じゃのう)