『おはようございます、真田先輩』

「おはよう。早いな、相模」

『…先輩には負けますよ』



○月×日、午前6時。

合宿当日です。



「早いな二人とも。おはよう。」

『おはようございます柳先輩』

「おはよう。5分前集合は鉄則だろう」

「お前は5分前どころか30分前には集合場所にいるじゃないか」

「真田はじじぃだからね。無駄に早起きなんだよ」

「精市」


最初からいたかのように話に入ってきた幸村先輩。
さらっと毒を吐いて、柳先輩と私の間に入る。


『おはようございます』

「おはよ。相模も早いね。もっとゆっくり来てもいいのに」

『先輩より遅く来るわけには…』

「流石だな。赤也に見習わせたいものだ」

「その赤也は間に合うかな?」

「赤也が寝坊する可能性は89%だ」

「ほぼ確実じゃない」

『(信頼されてないなー…)』



安定っちゃ安定だけど、こうなると少しだけ切原くんが可哀想になってきた。あ、元々?


「…あ、柳生が来たみたいだね」

「おはようございます。みなさん早いですね」

「おはよう。」

『おはようございます』



柳生先輩が来るとそのあとぞろぞろと丸井先輩、桑原先輩(はセットで)、準レギュの方々、仁王先輩、準レギュの川口先輩が来た。

集合は6時半。時間まであと、5分。



「ブン太が早いなんて珍しいな」

「たまには俺だって早く来れるよぃ」

「嘘付け。ジャッカルに迎えきてもらったんじゃろ」

「うっせーな!間に合ってんだからなんでもいいだろー!」





「ジャッカル君朝からお疲れ様でしたね…」

「はは…いや、慣れたもんだ」

「なぁ幸村、結局今日はどこが来るんだ?」

「それが跡部から連絡が来なくてね。昨日イタ電してやったんだけど出なかったし」

「そ、そうか…」



ガヤガヤしている部員を背に、尻尾は学校から持っていくものを部室から出していた。

これ部員が出してくれてもいいはずなんだけど…と内心思っていると、途中で気付いてくれた2年の準レギュラーが手伝ってくれた。なんかごめん。



「10秒前ーーーーー…」


9ーーーー……8ーーーー………7ーーーー………




「おはようございまァァァっす!!!!」



幸村先輩の呪いのような10秒前コールが始まったかと思うと、ダッシュで飛び込んできた切原くん。

おぉ、間に合った。



「うーん…残念だなぁ…」

『(聞きたくないけど何がだろう)』

「なにがだ?」

『(聞いちゃうんだ)』

「いろいろねー」

「おはようございます部長!セーフッスかね!?」

「残念だけどセーフだよ」

「えっあっ、ざんねっ?あ、セーフなんスね!よかったぁあ〜…」


切原くんは安心したようにその場にへたりこんだ。
残念って言われて少し慌ててたな。やっぱ寝坊かな。


「まぁ遅刻じゃないしいいか。けどお礼は言っときなよ。他の2年は相模の手伝いしてたんだから」

「はいッス!」

『(教育だわ)』


幸村先輩て将来いいお父さんになるよね。
多分怒らせるとすごく怖いけど。すごく。


「さて、集まったことだしバスに乗ろうか。荷物は下。2年は荷物入れ手伝ってから乗ってね」

「「「「はい」」」」



私も2年だし、荷物入れを手伝おうとしたら「いいよ相模、やるから」と言われ、じゃあ学校から持っていく物は入れなきゃと持ち上げると「あ、やるやる、貸して」と言われ、手持ち無沙汰になりました。

まぁ自分の荷物もあるわけだし、とみんなの作業が終わるのを待っていると、切原くんがこちらに来て「荷物貸して」と言われた。



『いや、これくらい自分でするよ』

「いーから貸せって。どーせ手伝わなきゃいけねーし、俺より早く来て準備してたんだ、よな…ごめん、サンキューな」

『え、なんで謝るの…私だって2年だし、やらなきゃ』


え?お礼って部員にじゃないの?
私??なんで?


「いーからほら、先バス乗っとけよ」

『え、でも』

「いいんだよ相模、赤也に任せて。乗っておいで」

『あ、はい…ごめん切原くん、ありがと』

「赤也な!お前ほんとゴージョーだな!」

『うん』

「うんて」




強情ぐらい漢字で言えよ、今カタカナ見えたぞ。と思いつつ切原くんに荷物を預けてバスに乗りこんだ私は、酔わないよう前の方の席に座った。先輩方は大抵後ろの広い席に座る。幸村先輩と真田先輩は点呼のため、一番前の席に座る。
私は前から3番目の窓側に座った。酔い止めは飲んだけど、風ないと酔うもん。


荷物入れが終わってぞろぞろと部員が乗り込んで来て、幸村先輩が点呼するように指示した。私の隣空席だ、ラッキ。
2年の土屋くん(初登場)の「全員いますー」の声を聞いて、幸村先輩は「了解」と頷くと、バスの運転手に「出発お願いします。」と言った。




合宿の、始まりだ。


(長かったなー…)