総当たり戦は明日からって言ってたのに、何やってんだろあの2人。


「今俺のことなんて言った?ワカメって言ったよなァ!?」

「聞こえてるなら聞くな。俺はどうせ当たるならワカメじゃなくて強い奴がいいと言ったんだ」

「アァ!?」


切原くんも切原くんなんだけど、氷帝の子もなかなか…なんというか…強い子で…(いろんな意味で)。

わざわざ総当たり戦の前日に絡んでくるあたり、なにか私の知らない因縁でもあるのか、ただただワカメが腹立たしかったからなのか…
そのへん私には判断つかないんですけども。


「そういうことを俺を倒してから言え、よ!」

「何言ってんだ結果は見えてるって言ってるんだよ。バカなのか?」

「テメェ…」


わぁ切原くんキレそう。というか私から見えるところで喧嘩しないでほしい。幸村先輩に見つかったら何言われるか考えてないのかな?


パコーンパコーンと音だけ聞けば爽やかで大好きな光景なのに、今思うのは見つかったらどうしようということだけだ。
氷帝の子も見つかれば跡部先輩に怒られるだろう。基礎練って言ってたから。

昼休憩前にドリンクを用意しておこうと来たら既にこの状況だったので、止めようがないといえばそうなんだけど怖いものは怖いよね。いつ練習から離脱したのかも気になるところだけど、聞いたら怖い答えしか返ってこなさそうなので聞かない。まず止める気もないんだけど。

見てないフリして手元だけ忙しくしていると、後ろから「日吉ー!」と誰かを呼ぶ声が聞こえた。聞き覚えのある声に顔を上げる。


「いた!お前こんな所で何してんだよ、まだ休憩にも入ってねぇのに」

「コイツに絡まれました」

「嘘つくなよテメェ!絡んできたのはそっちだろ!」

「あーもうやめろ!だいたい今日は俺達打ち合いは禁止だろ!何ちゃっかり…」

「…挑発に乗ったまでです」

「それがダメだって言ってんだろ!」


あー見つかった。まぁあの人ならそんなに怒られないだろう。と思った、とき。


「なにコソコソ見てんの?」

『うわっ』

「そんな驚かなくてもいーだろ!」

「おい、なにしてんだ岳人…尻尾?」

『こ、こんにちは…宍戸先輩向日先輩…』


バレてしまった。


「尻尾!?見てたのか…!幸村センパイには内緒にしてくれ頼む!」

『いや…私よりも氷帝の方にお願いした方がいいと思うけど』

「!すみませんでした!幸村センパイには言わないでください!」

「お、オウ…」


切原くんの勢いに押されてる宍戸先輩がなかなか面白かった。向日先輩もにやにやしてた。


「てか尻尾めっちゃ他人行儀。いつの間に俺たち仲悪くなったの?」

『いやっ…今練習中じゃないですか…』

「今誰もいないし別にいいだろ。ほら、名前」

『いますし』


先輩達が来てから何一つ理解出来てない日吉くんと、驚いてるウチのエースが。後者ちょっと面倒臭いんですよ、知らないだろうけど。


「ほら、尻尾」

「呼んでみそ」

『〜〜〜っ、り、亮ちゃん、がっくん、…コート、戻ってくださいよ…』

「「おお」」

『…慈郎先輩には内緒ですからね…』


なんか普通に恥ずかしいんだけどなにこれ?
2人とも「なんで敬語なんだよ」と言いながら満足そうに笑ってた。切原くんはずっとこちらを見てぽかんとしてる。

他校の生徒と仲良くやってたら、そりゃあ驚くよなぁ…と思ったけどとりあえずおいといて。
放置されてる日吉くんは可哀想だし、いい加減氷帝戻れという意味を込めて、コートの整備はやっときますから、と伝えた。
悪ぃな、と言葉を残して去っていく氷帝さん。あれ片方は申し訳ないとか露ほども思ってねーなと思った。さて、と切原君を見ると、まだ固まっていた。コート整備手伝ってよ、の一言で我に返ったらしい切原君は恐る恐ると言った感じで聞いてくる。


「…あの人たちと、どういう関係?」


切原くんがマジな顔だったので、私もマジの顔をして返しておいた。


『えー…幼馴染みだよ』