やっとのことで(そう思ってるのは私だけだろうが)全員が合流でき、ゲーセンの中へ入っていった。

切原君は待ち切れなかったのだろう、1番に飛び出していった。先程からそわそわしていたし、相当楽しみだったんだと思う。


切原は丸井を連れて格闘ゲーム系のコーナーへ行った。となれば必然的にジャッカルがついていくことになり、赤也を見張るといって真田もついていった。
ふらふらとスロット系のゲームコーナーに向かった仁王には柳生がついていったらしい。



そこで、残ったのは。



『(やっぱこの人達かァァァァ…!!)』



言わなくてもわかるだろう、幸村と柳である。

最近二人と、特に柳とは接触が多い。
本人はそこまで気にしてはいないのだが、流石に今回ばかりは赤也に着いていって欲しかった。



「あーあ、もう行っちゃった。早いね」

「赤也はだいぶそわそわしていたからな。」

「部活の時より集合早かったしね。普段からこんぐらいあればいいのに」

「そうだな。で、相模はどのゲームをするんだ?」

『……………あ、えーと…』



急に話を振ってくるもんだから驚いた。
やめてくださいよ心臓に悪い…てかどっか行ってほしいんですが。



『音ゲー、です』

「ほう、音楽ゲームか。太鼓の達人とかか?』

『あー、それも確かに好きですけど…』

「違うのか?」




どんだけ知りたいんですか…




『…似たようなやつです。じゃあ私、それしに行くんで』

「わかった。ならば俺も行こう」

「おもしろそうだね。俺も行く」



いやどっか行って下さいよ。



「mai×2?」

『はい。踊ってる人がいて、それに合わせてボタンや画面押して点を競ったりするゲームです。他の音ゲーと大差ありませんよ』

「俺にもできる?」

『ダンスを覚える必要はないので…。レベル変えられますし、簡単だと』



てか神の子である幸村先輩にできないものなんてあるんですか。




「へぇー面白いね。蓮二、やる?」

「いや、遠慮しておこう。データを取るのに忙しい」

『(書き込んでるの私のデータとか言わないでください)』

「相模の?」

「当然だ」



今すぐ燃やして欲しいです。



「俺も様子見といくかな。相模やっていいよ」

『………はーい』



mai×2専用のカードを読み込んで、お金を入れる。
''このカードでゲームを始めますか?''はい。
''チュートリアルは''しない。
''選曲をしてください''ボタンでスクロール、「マトリョシカ」を選択。ついでにレベルも選択する。


「ふむ、相模はそっちに精通しているのか」

「そっちってどっち?」

「平たくいえばネット界隈だな」

「ふぅん」



後ろで何か会話が聞こえるが知らん。今は爆発しそうなテンションを抑えるのに必死なのだ。




聞きなれた音楽が流れ出し、画面には大好きなダンサーさんの映像が流れる。

普段なら奇声をあげて喜ぶところだが、今は部活の先輩の前。心臓はバックバックなっているが荒ぶるわけにはいかない。



『(ふおおおおおマジイケメン!ダンスかっけぇ好き!)』

「へぇ、すごいね」

「思っていたよりやるな」




RANK A+(プラス)

音で言われた言葉に満足。自分が好きなダンサーさんが踊っているのだけは何故かやたらうまくできる。
心の中だけフィーバーになりながら2曲目、3曲目と続けた。




『満足です!』

「よかったね」

「相模は音ゲーをするとテンションが上がる、と…」



また何か書き込まれているようだが、気にしない。とりあえず第一目的はクリアだ。満足。



『(次はガチで踊るのやりたいけど…)』



それこそ見られたくない。
完全に趣味の範疇だし、顔を見られながら踊るのは好きじゃない。ましてや部員には…。



『………先輩はゲームしないんですか?』

「俺?そうだね………UFOキャッチャーでもしようかなぁ」

「俺は赤也たちの様子でも見てこよう。弦一郎がいるから大丈夫だと思うが」

「真田いたら心配ないだろ。柳、アレ取って」

「………仕方ないな」



よし、ならOKだ。



『なら私はちょっと別のところに行きますね』

「え?相模どっか行くの?」

『え、………………ハイ』

「そっか。柳、行くよ」

「ちょっと待て。……よし、いいぞ」

「わーさすがだね柳。妹も喜ぶよ」

『』


何故に?




いやいや着いてこなくていいんですって。お2人でUFOキャッチャーしてくれてて構いませんから構わないのに何で着いてくるんですかァァァア!!!




「だいぶ奥まで行くんだね」

「広いんだな」



結局2人は着いてきた。




『………………………(だって普通に踊るやつだし)』


大きく動くこともあるし、人の目を気にしてかそのゲームはだいぶ店の奥の方にある。ガラが悪いのがチラホラいるが、尻尾は特別気にしていない。


目的のゲームの前に着き、ピタッと止まった。



『………これです』

「なんか広くない?」

『……そりゃまあ』




踊るゲームですから。


心の中で呟いて、ダボダボのパーカーを脱ぎ一応綺麗にたたんでカバンと一緒に邪魔にならない場所に置く。


お金を入れて、自分の体を認知させたら選曲。
このゲームは最近でてきたばかりなので選べる曲は少ない。
基本自分が踊れるやつしか選択しないから、だけど。





久々に思いっきり踊ったせいか、体が熱い。




パチパチパチパチ


真後ろで拍手が聞こえた。…………………すっかり忘れて、た。



「相模、凄いね。ダンス習ってたの?」

「上手いな。とても驚いた」

『……………ありがとうございます。習ってませんよ』




褒められた。あの三強のうちの2人に。
ダンスがうまい、とは小さい頃から言われてきたが、今私の前にいるようなすごい人達に言われたことはなかった。

だから、とても嬉しかった。



「習ってなくてあそこまで踊れるの?すごいね…。ほかに踊れる曲あるの?」

『あのゲームにはあまりないですけど、一応あります』

「興味深いな。踊ってくれないか?」

『え…………わ、かりました』





踊った。

いつの間にかテニス部のみんなが大集合してて、終わってすぐにお褒めの言葉を頂いた。

あの真田先輩にも褒められた。
まさかそんな。びっくりしたけど嬉しかった。



**



「そろそろ解散しようか」

「そうだな。あたりも暗い」



気づかないうちに陽が暮れかけてて辺りは薄暗くなってた。
にしても今日は体力を使った。マネ業より使った気がする。これじゃあ休みの意味がない。



「気を付けて帰ってね。今日遊びすぎたからって明日の遅刻、サボりは厳禁だよ?」

「はい」

「うむ」

「もちろんだ」

「あぁ」

『了解です』





「俺が心配してるのはそこ3人なんだけど?返事は?」

「「はい!(ッス!)」」

「………………プリッ」



仁王先輩は返事がいい加減すぎると思う。



「相模、夜道に1人は危ねーだろ。送ってくぜ?」

『ご心配ありがとうございます。けど、大丈夫です。自転車ですし』

「いや、でも……………」

『心配無用です。飛ばして帰りますから。では桑原先輩さようなら』

「あっおい!…ホントに早ぇなアイツ………」

「どーしたよぃジャッカル」

「や、相模が帰り道1人だと危ねーと思ったから送っていこうと思ったんだけど飛ばして帰るっつって帰って」

「マジか!?あいつヘンなとこよそよそしいよなー」

「相模もう帰ったの?」

「おー幸村くん。らしいぜぃ」

「送っていこうと思ったのに。ま、帰ったんならいいか。みんな帰るよー」


『(桑原先輩逃げるチャンスをありがとうございます!!優しい心遣いも有難うございます!!)』


こうして、相模尻尾の休日は終わりを告げた。

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最後夢主ちゃんが逃げるように帰ったのは、部員さんに送ってもらうのを避けるためです。
理由はただ単に見られたくないからです。てか家を知られたくない…みたいな。