小太郎
「小太郎〜!!!!!」
「ワン!」
執事室の部屋を開けるとすぐに衝撃が足に伝わった。
「寂しかった…。まさか依頼主が犬アレルギーとは…。」
この足元の柴犬、小太郎はヨルイのペットにして相棒である。
今回の長期任務にももちろん連れて行くつもりだったが、なんと依頼主が犬アレルギーで屋敷に入れるのを拒否してきたのだ。
「ワン!ワン!」
小太郎は忙しなく回ったり、飛んだら、舐めてきたりと興奮してて暫く落ち着きそうもない。
「おかえりなさいませヨルイ様」
奥からゴトーがやってきて、それに気づいた小太郎は、俺をほっぽいてゴトーの足元に行ってしまう。…寂しい。
しかし、すぐにまた俺の方に戻ってきた。
「ただいまゴトー。小太郎のこと面倒見てくれてありがと。」
「とんでもございません。小太郎様には我々執事もとても癒されました。」
「それは良かったよ。
そういえばゴトー、キルについてなんだけどさ。最近様子どう?」
「恐れながら少々元気がないように見受けられます。ツボネ先生はヨルイ様の家出する前と似ていると仰っておりました。」
「げえ、ツボネ、オヤジ達と同じ意見なの…。
…てことは、友達がまだ欲しいのかなぁ。」
キルは過去に執事見習いに友達になるように頼んだりしていたはずだ。
そしてツボネやオヤジ達の感が正しいなら…。
「(恐らくゼノ爺、オヤジ、イルミと俺がいない日を狙って家出するな。)」
個人的にはキルの人生だから好きにすればいいと思っている。応援だってしてもいい。
しかしだ、キルは大事なゾルディック家の跡取り息子、俺と違い下手に家出をさせたり友達を作って何かあっては困るのだ。
かといってあの生意気小僧がいつまでも大人しく家にいるはずがない。
「…あ、監督者付きなら家出したって大丈夫じゃん?そして友達だって強ければ作っていい、んじゃ??」
「ヨルイ様、監督者付きは家出とは言いません。ただのお出かけです。
友達の方ですが、そうそうキルア様と同じ強さの同年代の方は見つからないかと。
後こちら、頼まれていたものでございます。」
渡されたのはハンター試験の申し込み書のコピーと会場までの地図。
「…俺いいこと思いついたかも!
ゴトー、キルアの分もこれ申し込んどいて!」
そう言いながらゴトーに礼を言い、早速行動にでるヨルイ。
「キルア坊ちゃんのですか…?旦那様に許可は…。」
「まだだけどなんとか説得するよ。
ダメなら俺もまた家出しよ。」
執事の前で堂々と家出宣言。
そしたら暫くずっと一緒だぞっと相棒にデレデレと話しかけるヨルイを見て、ゴトーは思った。
「(キルア様、どうかヨルイ様にだけは似ないで下さい。)」
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