「治、俺今日委員会あるからご飯一緒に食えない。」

「なぬっ!?
俺のおかずはどうなるんや!!」

「ふざけんな元から俺のだから。」


ギャーギャー騒ぐ治を置いて図書室に行けば、北さんって人はすでに準備をしていた。


「遅れてすみません。」

「問題あらへんよ。
そこにある返却本戻してきてもらってええ??」


そう言われて返却本を片していく。
量もそこまでなく順調に片してカウンターに戻れば、北さんは何かをノートに書いていた。


「勉強ですか?」

「いや、部活のことで少しな。
試したい陣形があってな。」


チラリとノートを除けば、そこに書かれていたのはバレーのポジション。


「(この人もバレー部かよ)」


俺はバレーから離れられない運命でもあるのかと柄にもなく思ってしまう。
基本図書室のカウンター業務は、利用客がくるまで自由にして良い。
何気なく先輩が持ってきたであろう雑誌の一つでも読もうかと手にとれば、月刊バリボーの文字。


「(笑えねぇよ…。)」


パラパラとめくれば、超高校級プレイヤー特集!!と書かれたページを見つけた。
名だたる高校球児であろう彼らの写真に、こんな奴らがいるのかと他人事のように読み進めれば、見知った顔が出てきた。


「(佐久早…に、古森。)」


2人で写った写真は、それはもうおかしかった。
古森は人懐こいような笑みを浮かべているのに対し、佐久早はマスクに全く感情が読めない目で写っている。
知人のそんな姿に思わず笑ってしまう。


「知り合いなんか?」

「え、ああごめんなさい煩かったですか?」

「そないなことないけど、なんや楽しそうやったから気になってな。」

「知り合い、というか
俺に何年か居たんですけどその時に少し。」


有名人でしたから。
そう返せば確かにバレーでは有名人やなと返される。


「バレー部やったん?」

「一応。
でもこのページに載ってる人知らない人だらけだ。」


またパラパラめくればちっちゃく写ってる治くんを見つけた。


「おお、治くんだ。」


現高校バレー最強ツインズ!!
治くんはともかく宮くんはドヤ顔うざいな。


「そういや同じクラスやったな。
仲良いん?」

「毎日弁当のおかずを狙われる間柄です。」

「あいつ…。
すまんなぁ、俺が言っとくわ。」

「まじすか。ありがとうございます。」


次の日、治と学校で顔を合わせた瞬間、「世理!!お前何北さんに告げ口してんのや!!!!」と怒鳴られた。