「隣のクラス!!!!」


あの後お互いにクラス割りを確認して移動すれば、やはり友人、裕也は別のクラスだった。
飛びついてわんわん泣き真似をしてうるさい。


「隣のクラスなんだからいいだろ別に。」

「世理がおらんと寂しいねん。」

「キモ。」

「冷たい!!」


早く荷物おきに教室に入りたいのに、中々離してくれない。


「ねえねえ!
治くんこのクラスらしいで!」

「ほんま!?
待って私メイク直してくるわ!」

「まってあれ世理くんやない!?」


早くも女子はグループを組んで楽しそうに会話している。
しかしどの女子も心なしかそわそわしているように見える。
そして俺を指差した、気がする。


「なんで俺指差された?」

「黙れイケメン。」

「いきなりの暴言。」


そのままグダグタ喋り、予鈴が鳴ったところで流石にお互いそれぞれの教室に入ろうとしたところ、ここから少し離れたところにある階段の方から女子から悲鳴が上がった。
そしてその声はだんだん近づいてくる。


「え??何??怖いんだけど。」

「お前知らんの?」

「何が?」

「強豪バレー部のレギュラーにしてイケメンの宮治ののこと。」


そう言われて近づいてきた彼を見れば、整った顔がそこにあった。
確かに女子が騒ぐだけの顔だとは思う。
ツーブロかっこいいな。
周りの女子の雰囲気に感化され、つい芸能人がいたみたいにじっと見過ぎたのか本人と目が合う。
思わず反射で目を逸らす。


「やっぱり知らないな。」

「まじか、稲荷崎の常識やぞ」

「なんだよそのどうでもいい常識。」


そうして本鈴が鳴り、今度こそ教室に入り席に着けばなんと左隣はあのイケメンだった。
イケメンの前の席の女子は、イケメンくんに積極的に挨拶をしている。
アピールすごいなと思いながら前を向けば、右隣の男子に久しぶりと挨拶された。
誰だこいつと思いながら適当に返せば、なんでも隣のクラスだったらしい。やっぱり知らない。
早く会話を切り上げたい、早く先生来てくれ。