新学期から数日が経ち、色々わかった。
とにかくこの隣の席の宮はモテる。
HR前や休み時間は女子がたくさん彼のもとにやってくる。それはもうこのクラスに留まらず、他クラスからもやってくる。
休み時間、トイレに行って戻ると席が占領されてることもしばしば。

早く席替えしたい。

他にも彼は食べることが好きらしい。
昼休みはよくおにぎりを美味しそうに頬張っている。
それはもうリスのようにもぎゅっもぎゅっと頬張る。
そのため、昼休みになると女子から高確率で食べ物をもらっている。
今日はポッキーをもらっていた。

そして何故か俺はそんな宮とご飯を食べるようになった。


「なんでこうなった。」

「人の顔見てなにいうとんねん。」

「今日も宮くんはイケメンですね。」

「心が全くこもってへん。」

「まあ男の顔なんて興味ない。」


本当に何故こうなったのかがわからない。
いや、原因は目の前の宮にある。だが理由がわからない。

そもそも初め、俺は裕也の所でご飯を食べようとしていた。
それを隣の宮がいきなり俺の肩に手を当て、一緒に食べへん?なんて言ってきたのだ。
それに俺はあまりの勢いに思わず頷いてしまった。


「宮くんさぁ、なんで毎回俺とご飯食べんの?」

「なんや、俺と食べるんは嫌なんか。」

「そうじゃないけど…。
お互い何も接点ないのに、人気者の宮くんがなんでかなと。」

「昼ごはんくらい落ち着いて食べたいねん。
休み時間のたび、どいつもこいつも毎回絡んできて鬱陶しい…。」

「うわぁ…。」


ようは俺は程のいい風除けと。
そして今すごい暴言が聞こえた気がする。
鬱陶しい言いながらも貰えるものは貰っとくんかい。


「それに#い#は美味しいおかずくれるしな。」

「おいこら勝手に人おかず取るな。」

「育ち盛りやねん。」

「ふざけんな。」


確かにこうして俺らが喋ってる時は余り女子も近寄ってこない。


「世理は顔怖いからいい牽制になっとるで。」

「え、俺の顔怖いの?」

「怖いっちゅーか、近づきづらい。」

「傷ついた。
宮くんはまあ優しそうなイケメン顔ですね。」  

「だから心がこもって無いねん。
後その宮くんやなくて、治って呼び。」

「なんで?」

「…お前知らんの?」

「その稲荷崎の常識のように言うのやめてくれる?」

「自分で言うのもあれやけど、俺有名やで?」

「黙れ顔だけのイケメン。」


なんでもこの宮くん、じゃない治くんは双子らしい。それも一卵性。
宮くんだと紛らわしいそうで。


「片割れってどんなやつ?」

「くそったれ。」