ある男の告白 その5
そのころになると、もう罪の意識や後悔の念などというのは、まったくなくなっていました。
ただただ彼女がほしい、それだけでした。
そして、その思いがようやくかなったのです。
彼女を家に連れてきて、最初にやったのは、もちろんスプレーの塗料を落してきれいにすることでした。
風呂場に運びこんで、シャワーをかけながら体をスポンジで丁寧にこすっていくと、
塗料はみるみる洗い流されて、素肌の彼女が現れました。
バスタオルで体を拭いてあげた時のこと!
瑞々しい若い裸体が、生き返ったように輝いておりました。
尖がったおっぱい。
長い割れ目。
若い体がピチピチになっていました。
正面を見据えてニッコリ笑っています。その表情は最高。
Kさんのオブジェは、私の家でよみがえったのです。
それ以来、私は彼女の体を布で磨くのが日課となりました。
髪の毛も固まっているので、簡単に拭くことができます。
なにより、彼女の乳首や割れ目の筋に沿って拭いてあげるのが快感でした。
硬いので、思い切り引っ張ったり、こすったりして拭いても壊れませンし。
毎日ピカピカになって。
そのうちに化粧品などを買ってくるようになりました。
唇にルージュを塗って、眉毛やまつげを整えて(実際には動かないのですが)、色を濃くしてあげたら、清楚な彼女がグッと色っぽくなりました。
またある時は、ちょっとケバイ真っ赤な金箔入りのルージュや超長めのつけまつげなどをつけて、
乳首もドギツいショッキングピンクの色で塗り、どこかの劇場の女のようにしてあげました。
おお、清楚だった彼女が男を悩殺するような女に変貌!
「K、おまえは、今日は風俗嬢になるんだよ。はいわかりましたご主人様」
などと、1人でバカみたいなことを言いながら悦に浸っていたのです。
情けなくて詳しくは書けませんが、だんだんエスカレートし、終いには秘所に媚薬や刺激性の揮発剤を塗ったり、体をしゃぶるようになめまわした時期もありました。
まるで人形をいたぶるかのように、彼女の体で楽しんでいたのでした。
と、まあ、このようなことを20余年も続けてきたわけです。
カチンカチンなのが『玉に瑕』ですが、まあそれは仕方がないでしょう。
この間、自分勝手ではありますが、わたしは幸せでした。
そう、あの事が起こるまでは。
それは悪夢でした。
いつものように彼女を拭いているとき、ふと変な妄想が起きたのです
あまりにいやらしいつまらない妄想でした
カチカチンの彼女、この秘所の奥はどうなっているのか?
バカな私は、彼女の片足を私の片足で押し付け、全身の力を込めて、思い切り開いてみようとしたのです。
『壊れるわけがない』いつの間にか固定観念のようになっていたんでしょうね。このことは。しかし・・・
それは信じられないほど、あっけなく折れてしまったのです。太ももの所から・・・
その瞬間『パーン』という音がして、彼女の体は粉々に。
そう、割れた車のフロントガラスのように、一瞬体中にひびが入り、次の瞬間には、さまざまな色のついたかけらになって、砕けてしまったのです。
時間の止まっている物体を動かそうとすると、無限の力がかかるのでしょうか?
小石ほどの、何千、いや何万というかけらになってしまった彼女。
おかしな言い方ですが、破片は色とりどりで非常にカラフルでした。
それらが部屋中に散らばって、とてもきれいだったのを覚えています。
私は呆然として、何時間もそれらを見ていました。
何という愚かなことを・・・
さて、
それからの続きはもちろんあります。
しかし、私の人生は、もう燃えがらのようなものでした。
その後の私の心情を述べても、あとは愚痴のようなものだけです。
それに言いたかったことはほとんど述べさせていただきました。
あとは、もうどうでもよい事柄なのです。
いえ、やっとここまで、お話ししましたが、もう限界です。
疲れました。
つたないお話を最後まで聞いていただいて、ありがとうございました。
2人の看護師が病棟で話をしている。
(A)「706号室の患者さんとうとう、亡くなりましたね」
(B)「706号?ああ、少し痴ほうの入ってた患者さんね」
(A)「そう、ほら病室に小石の破片をバケツに3杯も置いていた」
(B)「誰にも触らせなかったんでしょ。あの破片なんだったの?」
(A)「さあてね。誰も引き取り手がないんでしょ。どうするの」
(B)「高価そうなものでもなさそうだし。庭の隅にでもまいてしまいましょうか」
ある男の告白 完
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