ある男の告白 その4
翌日は大騒ぎになりました。
普段の彼女の勤務状況からは、無断欠勤なんて考えられません。
それに、総務課の部屋には彼女の鞄も残っていました。
状況からは『建物内にまだいる』可能性の方が高いわけです。
他の社員も協力してデパート内を調べました。
もちろんお客様には知られないようにして。
しかし、彼女はどこに行ったわかりませんでした。
意外とデパートは商品展示のためレイアウトを大きくとっており、あまり遺体(?)などを隠せるような構造にはなっていないのです。
隠そうとすればすグに露見するでしょう。
探してみて・・・いなければいないのです!
彼女は部屋を出たままプッツリと消えてしまったのです。
とうとう警察も来て調べ始めました。
社員の通用口の防犯のカメラも確認していたようでしたが・・・
もちろんと言っていいのかな・・・彼女が帰宅した姿は写っていません。
防犯カメラも売り場の裏や廊下までは設置されてないわけですし、
その後の搬入口の防犯カメラにも、それらしいもの(例えば遺体を隠して)を運び出した不審者や物品もないということで・・・
いや、状況を知っている私からすると、こんなことを書くのはバカバカしいのです。
だって彼女がどうなったか知っているのですから。
いや失礼しました。続けます。
もちろん、あのマネキン部屋も調べられました。
刑事さんは一体づつコツコツと丁寧に、手、顔と指でたたいて調べられていたようでしたが、それでも気が付きませんでした。
それはそうでしょう。
カチカチのマネキンが実はKさんだったなんて。
それと、私の思惑通り、服をめくってまで調べられなかったのも幸いでした。
継ぎ目のないマネキンをみたら「?」と思われたでしょうから。
もちろんわたしも事情聴取を受けましたが、これといって怪しいところもなく(実際は大ありでしたが)、あまり細かいことは聞かれませんでした。
なによりも遺体が出たわけでもないので殺人とは決められず、警察もあまり積極的ではなかったように思いました。
そして、一週間たち、二週間たち、デパートの騒ぎはおさまっていきました。
私はというと、毎日、巡回時に、あのマネキン部屋に寄リ、彼女を見てみましたが、変化はまったくありません。
死んでいるのなら、やはり腐敗が起きるはずですが、その気配すらありません。
巡回の都度、手をなぜてみましたが、なんの変化も起きなかったのです。
そして、そろそろ一か月くらいが過ぎて、不要マネキンの回収の日が来ました。
業者がやってきて、地下の駐車場に降ろす時、こっそりと何気なく私も手伝い、
「このマネキンどうしてもほしいんだよ、内緒で・・・」
お金をわたして、彼女のマネキンだけ買い取り、自分の車に乗せたのでした。
とうとう私は、彼女を自分の物にすることができたのです。
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