妄想別館 弐号棟


怪物見学ツアー その1


好奇心旺盛な果奈は、インターネットの闇サイトを巡っているうちに、面白そうなものを見つけた。
(果奈)「『雪山で雪男を探してみませんか』、なんだこれ?」
料金は格安なのだが、
(果奈)「え、無事に戻ってこれるかは、保証の限りではない。どういうこと」

翌日のお昼休み、友達の香織とその話をしている。
(果奈)「で、一緒に行こうよ」
(香織)「『雪男を見に行こうツアー』?、旅費滞在費も含めて2万円!何これ安すぎない?」
(果奈)「おまけに装備品は一切合切無料で貸してくれるそうよ」
(香織)「無料で。はー」
料金が安すぎるのが少し変だとは思うが、それはまア置いておいて、
(香織)「それは結構だけどさ、帰ってこれるかわからないって、どういうこと?」
(果奈)「広告の釣りだよ釣り。その方がお客が興味を持って集まるってことだよ」
「ふーん」と香織もまんざらではない。
2人は参加することにした。

某国まで飛行機に乗り、空港に着いてホテルに一泊。
次の日の早朝、待ち合わせ場所に行くと、すでに案内人が待っていた。
(案内人)「ようこそいらっしゃいました」
このツアーでは、車で登山口まで連れて行ってくれることになっている。
2人が乗り込むと車はすぐに走り出した。

旅行会社が用意してくれた装備は、完璧なものだった。
暴風にも耐えられるような丈夫なテント、軽量型の簡易暖炉、1週間分の携帯食料(一泊なのに)、防寒着等。
これだけの装備があれば、ここの山では吹雪にあっても大丈夫のようだ。
しかし案内人は自信ありげに「吹雪にはなりませんよ」
天気予報でも「ここ一週間は吹雪いたりしない」と言ってイたようであるし。
GPS付きの特別なスマホも貸してくれた。
(案内人)「まったくの素人の方々でも無理をしなければ遭難は起こりませんよ」
と言っている。

(案内人)「あとは、山に登って雪男を見つけてくるだけです」
(香織)「襲われたりしませんか」
(案内人)「それは運しだい。でも襲われたら特別仕様の光線銃があるでしょ。それを使ってください」
(果奈)「これか」
装備品の中に最新式の小型のレーザー光線銃が入っていた。
雪男が出たときに、女性でも簡単に使えるように開発されたものだと。
(香織)「ちょっと使ってみたい気もするね」

登山口に着くと
(案内人)「この山は、岩山のような危ない箇所はまったくありません。
    まあ一応冬山なので、無理はしないように。
    かならず日が暮れる前にテントを張って休んでください。
    雪男の情報は『秘密』としておきますね」
(果奈)「あ、はぁ」
(案内人)「ではお気をつけて。また明日の昼頃に迎えに来ますから。雪男と会えるといいですね」
と、帰ってしまった。
(香織)「なんで案内人が来ないの」
(果奈)「2人だけで楽しめるような配慮だよ。それにやっぱり雪男っているのかな。凶暴なのかな」
(香織)「さあ、わからない。でもこの光線銃があれば大丈夫と言っていたから」
残された2人は山に登りだした。

果奈と香織が雪の山道を登っていく。
いや『山道を歩いて行く』と言った方がいいくらい、なだらかな道だ。
(果奈)「もう少ししたら一休みしよう」
なだらかな道並だが、周りは樹林のようになっていて遠くの視界はあまりよくない。
天気は快晴で風もない。寒くもなく心地よいくらいだ。

突然、樹林が終わり、目の前が開けて一面が真っ白い雪原に変わった。
2人が、なおも進んで行くと、
(香織)「あん、何あれ」
変なものが現れた。
奇妙なものが雪の中から突き出ている。
2mくらいの高さで真っ白い太い柱のようだ。
近づくいてよく見てみると、
白いのは、ただ単に白い毛が生えているからだと・・・わかった。
(香織)「なんなのこれ」
(果奈)「わからない」
2人はおっかなびっくり、しかしドキドキしながら銃を取り出した。
近寄ってみると、
「?」
ピクピク動いているではないか。


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