妄想別館 弐号棟


妖怪八尺様 その1


八尺様とは『ある村に封印されていた、身長が八尺(240p)もある正体不明の怪異』となっている。

事の起こりは、この山に来たことから始まった。
俺はドライブデートとしゃれこみ、恋人の美咲と郊外の山まで車でやって来たんだ。
ああ、申し遅れたが、俺の名前は「長池晴樹」という。
まあそれでだ、山並みを走っているうちに、ちょっとした山歩きができそうな場所を見つけた。
そこで遊んでいこうと思ったのが過ちの元であった。

車を停めて、頂上までは1時間もかからずに登り終え、一休みして下山しようとした時だ。
待っていたようなタイミンぐで、にわかに雲行きが怪しくなってきた。
(あれ、まずいな!)
大急ぎで下山を始めたが、5分もしないうちに、それこそ『バケツの水をひっくり返した』という形容がピッタリの状況になってしまった。
車のある場所まではまだまだ遠い。
とりあえず、どこか雨宿りができそうなところはないか。
山の中で、そんなに都合良くいくはずはないだろうって?
ところがだ、
(美咲)「あ、あれ見てよ」
彼女の指さしているところに、古びてはいるが大きな屋敷のような建物があるではないか。
(美咲)「あんなのあったっけ」
(春樹)「いやぁ、登ってくるときにはなかったよな」
しかし悠長にしゃべっているような場合ではない。
軒下で雨宿りくらいはさせてくれるだろう。
俺たちは大急ぎで、その建物に向かって走っていった。

扉のチャイムを鳴らすと中から「どなたですか」と声がした。
扉が開くと、きれいな、いや美しいといった方がいいか、女性が立っていた。
目立ちのパッチリした、うりざね顔の美人である。
(こんなところに、なんか場違いだな)
彼女、着ている服もかなリ特徴的だった。
山中にしては、あまりふさわしくなさそうな、絹のような白銀色のワンピースを着ており、それにまた、すごく上品な帽子を被っている。
俺があっけに取られているうちに、美咲が、
(美咲)「あ、あの雨に降られてしまって、それで・・・」
女性はニッコリと笑いながら、
(女性)「急な雨ですものね。どうぞ、雨が上がるまで遠慮せずに休んで行ってください。
今、お茶を淹(い)れますわ」
女性は俺たちをホールまで招き入れてから、調理場の方に出て行った。

俺が女性にボーッとしているのを見て、美咲は少し嫉妬したのか。
少々きつい口調で「あんた、何を見とれてんのよ」
(春樹)「い、いやそんなことはないよ。でもずいぶんきれいな人だなぁって、お前もそう思うだろ」
美咲は「まあね」と言いながら、あたりをキョロキョロと見回している、
建物内はピカピカで外見とは裏腹に、まるで新築のようであった。
飾ってある置物も高価そうなものばかりだ。
さっきの女性の服と言い、この室内の様子といい、なーんか不自然だ。
(美咲)「それよりさ、濡れた服を何とかしなくちゃ」
(春樹)「あ、そうだね、でも、着替えなんてないし」
と、言っているうちに女性がお茶を運んできてくれた。
体が冷えていたので、暖かそうなお茶はありがたい。
美咲も機嫌が直ったみたいで、おいしそうにお茶を飲んでいる。
(女性)「あ、わたしの名前は、歌子と言います。あなた方は」
なんか少し変だな。苗字じゃなくて、名前を名乗るなんて。
でも、まあ、
(春樹)「あ、俺は長池春樹。こっちは・・・」
(美咲)「私は島本美咲です」
(歌子)「春樹君に美咲さんね。着替えがないのね。それじゃ寒いでしょう。さあ、向こうの部屋の方が暖かいから、まずはそちらへどうぞ」
歌子と名乗った女性は、奥の方の部屋に俺たちを案内してくれた。
(美咲)「さあ、どうぞ中へ」
歌子は扉を開けて、俺たちを中に招き入れた。
そこは、だだっ広い部屋で2m以上ある大きな額縁が何枚も掛けられていた。
豪華な額縁で縁取られた絵、それらは、みな人物画であった。
十数枚はあるだろう。男のもあれば女のもある。
奇異なのは、それらは全て裸体画であることだ。
しかも手足をいっぱいに開いて正面を向いている。
(美咲)「ねえ、あれ絵じゃなくて写真じゃない」
なるほど、よく見ると写真のようだ。
ということは、ほぼ実物大に印刷された写真ということになるだろう。
美咲は、俺の袖を引いて「いやらしい」とつぶやいている。
確かに卑猥の度が過ぎているようにも思う。
性器の細部までくっきり写っており、形状や色まではっきりわかるし。
しかし歌子は「フフ、どう、すばらしいでしょ」と横から言った。
美咲は顔を顰(しか)めていたが、苦笑いをしながら、
(美咲)「でもでも、あまりに露骨に丸見えだと・・・」
(歌子)「そこが良いところよ」
(美咲)「?」
(歌子)「人それぞれ、大事なところが全部違うでしょ。それらを私はできるだけたくさん集めてみたいと思っているの」
俺と美咲は顔を見合わせた。
(春樹と美咲:この人、頭がアレかな?)
(歌子)「ホホ、ところで、あなたたちのは、どんなものかしらね」
(美咲)「え?」
(歌子)「美咲さんのお〇ぱいやおマ〇コまんはどんな形なのかって」
「い、いやらしいな」と美咲は大声で叫んでしまった。
美しい女性が、こんな卑猥な言葉を口に出すとは思わなかったな。
しかもほとんど見ず知らずの俺たちに向かってだ。
(歌子)「ここに飾ってある、写真のとは違う形をしているんでしょうね」
美咲は少しムッとして「そんなの当り前じゃないですか」と、言った。
歌子は動ぜず、クククとうすら笑いを浮かべながら、
(歌子)「それじゃ実際に、あなたのおマ〇コも見せてもらおうかな」
(美咲)「え?え?何を言ってるんですか」

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