妄想別館 弐号棟


着替えの時に その1


キンコンカンコン!
授業終了のチャイムが鳴る。
次はプールの授業だ。
ワイワイペチャクチャと女子達は更衣室に向かって出ていく。
男子はしかし、なぜか自分の教室で着替えることになっている。
更衣室の一区画のつもりであろうか。
教室の後ろには衝立のようなものが用意してアるのだが、
誰もこんな所は使わず、教室のど真ん中で服を脱ぎ始めている。

さてさて!
どこのクラスにも変な奴が一人や二人はいるものだ。
学級委員の凛太郎は海パンをはき終えると、
「これから10数えます」などと妙なことを始めた。
手足を大きく開いて大の字の格好になり、
「1、2、3」と数を数え始めた。
「どうしたんだよ」
「なにやってんだこいつ」
凛太郎の周りにみんなが集まってくる。

みんなが凛太郎を見ている時、
教室の後ろの扉をノックして声が聞こえる。
「ちょっといい」
声の主は女子の学級委員の薫だ。
扉のそばにいた伸之助が戸を開けて、
「なに?」と聞く。
「水着を忘れちゃってさ。中に入ってとってもいい。誰かまだ着替えてる?」
伸之助は教室内をざっと見回して、
「大丈夫だろ。入れば」
薫は「じゃあ、おじゃましまーす。水着とらせてねぇ」と言って入ってくる。
彼女は着替え始めてから、水着がないのに気づいた。
水泳帽やバスタオルは水着用のバックに入れて持って出たが、肝心の水着は別の袋に入れたままだったのだ。
当然教室まで取りに行かねばならないが、
(一回脱いだ下着をまた着けてまた脱ぐのはめんどいな)
というわけで、セーラ服のみ着ているが、その下はスッポンポンだ。
うわばきも履いておらず、裸足でペタペタと入ってきた。
一応大丈夫とは言うものの、男子が着替えてる最中である。
下を向いてできるだけ周りを見なイようにしていたが、
あまりのワイワイさに、おもわず顔をそっちの方に向けてしまった。
「・・・6、7、・・・」
(何をやってんだろ?)
凛太郎の大の字が目に入ったが、衝立の所へと急ぐ。
壁に掛けてあった袋を持ち上げて、中をのぞき、
「あったあった」

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