プロローグ その2
さて、この一部始終を別室のモニターで見ていた男が「またあの女たちか」とつぶやいた。
この男がミスターNと呼ばれている、マネキン商会の棟梁である。
手広くあくどいことをしており、闇の世界の元締めのような存在でもある。
しかし最近は、警察とこの2人に邪魔をされてばかりいる。
今も怒り心頭だ。
「ちくしょうめ!いつかあいつらをギタギタにしてやる」
この工場も、スーパーガールたちにかぎつけられて、ご覧のあり様である。
「ここも相当金をかけたんだがな。放棄するしかないか。よし引き上げるぞ」
スーパーガールたちが話をしている。
(SR)「あのさ、今回も全然手ごたえがなかったね」
(S)「何をバカなこと言ってんの。被害者が出てるのよ」
(SR)「そうだけどさあ。相手弱すぎ」
少し不満気だが、正直なところの感想だろう。
スーパーガールに変身していると、いろいろな超能力も使えるし、拳銃で撃たれても大丈夫だし。
(S)「不謹慎なことは言わないの。もっと自重しなさい」
(SR)「はーい」
ということで、この2人は母娘なのである。
その日の午後。
ところ変わって、ここは〇▽警察署の署長室である。
署長が、今朝方の事件について秘書から状況報告を受けている。
涼し気な目をしてフンフンと話を聞いている女性が署長であり、名を本間美代子という。
時々秘書に、するどい質問をしたり、適切な処置を指示している。
ベテラン刑事や職員も一目置くという切れ者らしい。
ま、30代で署長になれるということは、相当優秀なのだろう。
加えて容姿もすばらしく、グラマーかつスレンダーな美人である。
颯爽と歩く姿に、署内の警官や職員はボーッと見とれているそうな。
それどころか、裸を見てみたいと思っている、不埒な輩も多数いるようである。
彼女はそんな雰囲気をなんとなく感じながらも、
「そんなことできるわけないじゃん。それにあたしはそんなに安くはないよ」
報告が続く。
(秘書)「事件はスーパーガールがすでに片付けてくれていました」
(署長)「また助けてもらったんだ。まぁしょうがないよね。それで被害者たちはどうだったの」
(秘書)「マネキンになりかけていた3人はすグに、薬剤を洗浄して保護しました。命に別状はありません」
(署長)「残りの人は」
(秘書)「そのう・・・」
倉庫内の別のところで見つかった2人は、助からなかったようだ。
相当量の薬剤を浴びて固められてしまった上に、首、肩、腰、右足を切断されて、完全なマネキン仕様になってしまっていたということだ。
(署長)「何という残酷なことを」
(秘書)「署長、犠牲者は増えるばかりです。もっと大掛かりな捜査を考えないと」
(署長)「わかってますって。しかし頭が痛いことだなぁ」
夜になり、美代子が帰宅して一息入れていると、
「ただいま」と娘が帰ってきた。
(美代子)「おかえりなさい。遅かったね」
(真理子)「女の子にちょっかいを出そうとした、チンピラをやっつけてきたの」
娘の名は真理子。高校生だ。
(真理子)「それでさ、どうだったの。今朝の人質だった人たち」
(美代子)「3人は助かったけど、他に2人いて、そっちは・・・」
首を振る。
(美代子)「それに手掛かりはまったくなしよ」
(真理子)「頭に来るね。女の敵」
(美代子)「そうだね。ずる賢いやつだよ。あたしたちの前には決して顔を出さないものね」
(真理子)「手掛かりはまったくなしか。でも、早く捕まえないとね。また犠牲者が出るよ」
ということで、ご推察のとおり、この母娘がスーパーガールなのである。
女子高生のスリルに続く・・・
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