女子高生のスリル その1
「行ってきまーす。うゎー急がないと、遅刻遅刻!」
真理子はうら若き17歳の高校生。
パタパタと走っていく姿は、どう見ても普通の女の子だ。
しかし彼女の別の顔、それは特殊な能力を持ったスーパーガールRなのだ。
青いベネチアンマスクをつけて、「へんし〜ん!」と叫ぶと、特殊機能をもったコスチュームが装着されて超能力を発揮できるようになるのだ。
その能力はすごく、彼女は今まで悪者に負けたこともないし、ピンチになっても特殊能力でなんとかなっている。
そのため「正義の味方って、結構退屈ぅ」といつも感じている。
昨日はチンピラをやっつけた。
一昨日は痴漢を捕まえた。
その前は、えーと・・・
「小物ばっかりだな。雑魚雑魚」
力が余り過ぎているのか、ぼやき気味だ。
「もっと、崖っぷちギリギリのスリルって味わえないものかしら」
ある日のこと。
学校の帰りに、スマホをいじりながらブラブラ歩いていると、
「ん?なにこれ?」
彼女のスマホに入れてある特殊情報のアプリが反応している。
怪情報あり!
画面をググっていくと、奇妙なメッセージが出てきた。
『改良型ソリッドMの売買が可能。入手希望の企業や団体は下記の施設までご連絡を』
「ミスターNがまた動き出したのね。ん?下記の施設って・・・」
隣の町ではないか。
たちまちホクホク顔になり、
「よーし。直行だ!」
真理子は単身乗り込んで行って、すでに九割方、悪人をやっつけたところである。
(SR)「さあ、もうあんたたち3人しか残ってないよ。抵抗するのはやめなさいよ」
(男C)「ちきしょうスーパーガールRめ」
悪態を吐きつつ立ち上がろうとはするものの、もはや悪人たちに勝ち目はない。
(SR)「それじゃ逮捕するね。さてと」
すでに捕まえた他の手下たちは、一部屋に閉じ込めて鍵をかけてあり、逃げられる心配はない。
スーパーガールRは警察に連絡しようとして、腕を組んで首を傾げた。
(SR)「ソリッドMとかいう薬剤、あるんでしょ。ここに」
喉を絞められていた男が、ゲホゲホせき込みながら、
「ああ、あるよ」と答える。
彼女は現物を見てみたくなった。
(SR)「そこに案内しなさいよ」
(男B)「ハッハッハ、あんたが素顔を見せてくれたら案内するよ」
彼は冗談のつもりで言ったのだが、
(SR)「え、そんなのダメに決まってるでしょ。マスクを取って普段の状態に戻ったら超能力が使えなくなっちゃう。でもぉ・・・」
(SR:待てよ、その方が危険やスリルを味わえるかも)
(SR)「いいよ。わかった」
スーパーガールRはニヤリと笑ってマスクをとってしまった。
3人は驚いた!
まさか自分から正体を明かすなんて思わなかったよ。
(真理子)「どう、これが私の本当の顔よ」
(男B)「スーパーガールの素顔って・・・えっ?本当に?」
(真理子)「名前は本間真理子。高校生よ。よろしくね」
マスクを取ると私服姿の高校生に戻ってしまった。
真理子は男たちを追い立てるように歩き出した。
各々に電子手錠をかけてあるので逃走はできまい。
それに何かあればすぐにスーパーガールRに変身すればいいし。
(真理子)「あぁ、汗でベトベトよ。まったくあんたたちが抵抗するから悪いのよ」
(男C)「えㇸㇸ、すみませんねぇ」
(真理子)「なんか体中が気持ち悪いな」
(男A)「あのぉ真理子さん、それじゃ、シャワーを浴びて行ったらどうですか」
真理子はキョトンとして、立ち止まってしまった。
(真理子)「何考えてんの?」
(男C)「体から変な臭いがしますぜ」
(真理子)「ええっ、本当に?」
体をクンクン嗅いでみたが、
(真理子)「そ、そんなに臭うかな。いやだな」
男たちはニヤニヤしながら目配せしている。
(真理子)「シャワーなんてあるの」
(男C)「そこ」
指さす先に『Shower Room』の文字がかかった部屋がある。
(男B)「警察が来るまで十分時間はあるでしょ。ね、その方がいいですよ」
(真理子)「それじゃ、そうしようかな」
一応、ギロリと彼らをにらみつけて、
(真理子)「でもあんたたち、変なこと考えるんじゃないわよ」
(男C)「わかってますよ。おとなしくしていますから」
(真理子)「覗くんじゃないよ」
(男A)「わかってますってば」
真理子は男たちの手錠の反対側を柱のフックにかけてから、脱衣室に入っていった」
さて、真理子は脱衣所に入るとメモ用紙を取り出した。
そして『マスクを持って変身と叫ぶ』と書いた。
ペロッと舌を出して「たぶんこれで良し」
なにか考えがあるようだ。
メモをマスクの下に置き、服を脱いで、シャワーを浴び始めた。
(真理子)「ああ、気持ちがいいな」
フンフンと鼻歌も聞こえる。
(男C)「まさかスーパーガールRがこんなにうかつな奴とは思わなかったな」
(男B)「まあ高校生だもんな。でもチャンスだろ」
(男A)「そうだな。よしやるぜ」
どうやってはずしたのか、1人が手錠から手を抜いた。
抜き足で、そっと脱衣室と反対の扉を開いた。
そこは機械がいくつも並んでいる部屋になっていた。
飛びつくようにして一台の操作盤のスイッチを入れると、
(真理子)「キャーァァァ!!!」
浴室の中から悲鳴が上がった。
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