催眠術リレー その1
俺の名は、本田啓一、某高等学校の3年生。
以下の話は、俺も巻き込まれた、エロっぽい事件の一部始終についてである。
教室に入ると、横の方でワイワイガヤガヤとやっている。
クラスの佐藤洋平が、田中幹夫に「そーら眠くなる眠くなる」と催眠術をかけているようだ。
田中は目はつぶってはいるが、時々笑いかけては真面目な顔に戻っている。
まわりでは、10人くらいの男子女子が成り行きを見守っている。
(佐藤)「どうだ眠くなったろ」
(田中)「グーグー、ほら眠ってるよ」
人だかりが、アハハと笑い出す。
実はここ最近、ネット上に催眠術動画が流行りだし、見よう見まねでまねるやつが出始めたのだ。
もちろん素人がやっても、うまくいくはずがない、と思うのだが。
田中は突然目を開けて「もう授業が始まるからやーめたっと」と、自分の席に行ってしまった。
集まっていた連中もそれぞれ散って席に戻ってしまった。
残された佐藤は「チェッ、失敗か」と、バツが悪そうな顔をしている。
というような光景が、あちこちで見られるようになったわけだが・・・さてさて、以下からが物語の本編だ。
心してお読みいただきたい。
今日も授業が終わった。
帰ろうとすると、担任の 塩崎祐子 先生に呼び止められた。
「本田君、ちょっと職員室に寄ってくれない」
『ハイ』と返事はしたが、ハテなんだろう。
塩崎祐子は英語の担当である。
若くて美人で、いつもセンスのいい服を着て颯爽(さっそう)と歩いている。
男子生徒も女子生徒も含めて、皆のアこがれの的だ。
「どうぞ座って」
椅子に座って「何でしょうか」と、尋ねると、
「悪いけど、明日できるだけ早く学校に来てほしいの。無理かな?」
無理ということはないが、
「何時頃ですか」
「とにかくできるだけはやく。できれば始電で」
「・・・・・」
何の用件か聞いたのだが、
「理由は明日の朝になればわかるわ」
と言って答えようとしない。
まあね、俺も祐子先生は好きだしな。
先生の屈託なく笑ってる顔をみたら、なにかは知らないが協力したくもなってくる。
ま、明日は早起きして登校するか。
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