挑戦 人間円筒 その3
雨は本降りとなり『バチバチ』と音を立てて降ってきた。
雨粒が顔をたたいているが、気にしている余裕はない。
フラフラ〜
薫は足を軽く開いて両手でバランスをとっている状態である。
フラフラ〜
(よし!)
落ちない程度に安定した。
あとは両手を挙げてバンザイをするだけだが、その前に姿勢を正さねばならない。
かなり前かがみで、丸まったような格好になっているのだ。
背筋を伸ばそうとしたときだ。
(あっ、少し漏れちゃった!!!)
薫はあわてて手で股を隠した
(誠二郎)「おい、はやくバンザイしろよ」
(薫)「わ、わかってるよ」
(今、体を伸ばしたら・・・ちょっとまずいかも)
いやだいぶまずいだろう。
恐る恐る首を下に向けてみると、
やはり・・・
少しではあるが、ブルマの一番大事な部分が濡れているのがわかる。
(や、やっばー!)
薫は焦った。
(中学3年にもなって『おもらし』なんて!しかも大勢見ている前でだよ。恥ずかしくて死んじゃうよ)
しかし観衆の注目を浴びている状態では、隠したくても隠せる状況ではなくなっている。
股の所に手を持っていって隠スようなしぐさをしたら、かえって注視されてしまうだろう。
観客席からは拍手が起きている。
(うわぁーもうしょうがない)
薫は恐る恐る両手を広げようとした。
この時、誠二郎の円筒の誰かが、足の位置を直そうとしてよろけてしまった。
「あっ!」誠二郎が叫ぶ。
「うゎっ!」薫も叫んだ。
土台が少しつぶれ、薫もバランスを失いかけた。
(薫)「ちょっと、ちょっとぉ!しっかりしてよ」
(誠二郎)「みんながんばれ!こらえろ!」
誠二郎が怒鳴る。
(誠二郎)「おっとっとぉ・・・フウ」
なんとかつぶれずに踏みとどまった。
(誠二郎)「よかった。踏みとどまったぞ」
しかし土台の円筒はヨロヨロと動いてしまい、最初に向いていた方向から、だいぶそれてしまった。
薫の体の正面は観客席とは違う方向、真横を向いてしまっている。
(薫)「え!え!ちょっと、よくないよぉ!」
(誠二郎)「え?なんだよ」
(薫)「向きがずれちゃったよ。あたしの体が観客席に向くように土台の向きを直してよ」
(誠二郎)「え、あ、そうか、わかった」
2組の土台の円筒は大急ぎで向きを変えた。
すぐに観客席に対して正面の位置に向き直ったが、それぞれの円筒は左右に少し離れてしまった。
(薫)「足、開きすぎだよ。少しもどして」
(誠二郎)「わかった。おい少しもどすぞ」
それぞれの円筒は、ユサユサと近寄っていったが、今度は誠二郎じゃない方の円筒の誰かががつまづいた。
よろけて、グラグラと。
(薫)「あ、あ、あ!ちょっとぉ!ていねいにやってよ」
今度は円筒どうしが近づきすぎて、薫は気を付けの姿勢になっている。
誠二郎は首を薫の方に向けて「おい薫、これじゃ近すぎないか」
(薫)「近すぎるね。もう少し離れてよ」
(誠二郎)「やっぱり。めんどくさいな。早くしないと時間もないんだぞ」
『それっ』とばかりに円筒は再び左右に離れた。
(薫)「な、何すんのよ、足が、足がぁ!」
薫が悲鳴を上げる。
土台の円筒が相当離れたため、薫の両足は左右に目いっぱい開くことになってしまった。
客席からは『開いて閉じて』は一連のパフォーマンスだろうと、大きな拍手が起きている。
(薫)「あ、あ、あー!、ちょっと!、あ、足が、股が裂けちゃう!落っこっちゃうよぉ!」
薫は手をバタつかせ、上半身をユラユラと動かして、かろうじて体勢を安定させた。
(誠二郎)「もう土台は動かせないよ。ほらもう少しだ。我慢しろよ」
足を思いっきり開かされたことにより、またしても『チョロ』という感覚があった。
おまけに円筒から落ちないように、両手や腰をグラグラさせているのも、すこぶる具合が悪い。
(うわぁい!マズイよぅ)
再び首を下に向けると、先ほどより大きく丸く濡れている。
ブルマから某液体が染み出てくるのも見えた。
もはや止めることができない。
(あ、あ、あ、いやだ恰好悪いぃ。神様ぁ!)
薫は半べそになった。
雨が『ざおぉっ』と降り出してきた。
ついに、薫は覚悟を決めて両手も伸ばし、胸も反らした。
きれいな形の、目いっぱいの大の字の姿勢になった・・・が、
もはや下半身の方は言うことをきいてくれなかったのだ。
薫は今、観衆の面前で、バンザイの恰好でオシッコをしている状態である。
懸命に我慢、いやこの段階では止めようとしたがもう止まらない。
顔は正面の観客席を見ているが、股間からドクドクと噴き出ているのがわかる。
(ああ、あたしがオシッコをしているところをみんなが見ている)
正面の観客全員が、薫の股間の一点に集中しているように思えてくる。
(あ、あ、いや、違うの、あ、いやぁ)
目線を避けるように首を上に向けた。
そのとたん周りの景色が回転しているような感覚におちいり、グラグラッと。
(誠二郎)「おいったら!動いたら危ないよ」
(薫)「やだやだやだっ!」
(誠二郎)「おい、動くんじゃ・・・あっ」
薫は後ろ向きに反り気味になり、
(薫)「あああ!もうだめだぁ」
足が土台の肩から外れてしまった。
ホイッスルが鳴った。
ダンス終了の合図だ。
幸いなことに、薫が落ちる前に成功したと判断されたようだ。
しかし
(薫)「うわーん」
薫は地面にしゃがみ込んで泣いている。
足を閉じ手は何げなく、大事な所に置いているように見えるが、
その下では『シャー』とまだ少し吹き出しているのであった。
雨がさらに激しく降ってきて地面にも小さな水たまりができだした。
観客は避難を始めている。
ジャストタイミングで大雨が降ってきてくれたものだ。
薫が泣いているのは、円筒から落ちてしまったためだろうとみんなは思っている。
みんなから同情も受けたし、誠二郎たちにも慰められてた。
しかし本当の真相は誰も知らない。
薫をのぞいては。
挑戦 人間円筒 完
- 3 -
*前次#
物語の部屋 目次へ