報仇雪恨の巻 その8
ミスターNたちは逮捕連行されていった。
ここは、つい先ほどまで彼らがいた執務室。
今いるのは、碧とスーパーガールたち。
そして3人の前にあるのは・・・
(碧)「あ、あぁぁ、真理子・・・」
大きな直方体レジンが置かれてある。
その中には閉じ込められたスーパーガールRが立っている。
5年前に、
真理子の魂が砕け散った時から、
青いベネチアンマスクをつけて腰に手を当てた姿のまま、ずっとたたずんでいたのだ。
美しい涼しげな眼をしながら。
心なしか碧との再会を喜んでいるようにも感じる。
グリーンはレジンの表面にしばらく両手を触れていたが、
ため息をつきながら、
(G)「やっぱり魂は抜けてるよ」
(碧)「それって・・・」
(G)「お気の毒だけど、ここにあるのは・・・遺体ってこと」
碧はレジンに抱きつくようにして泣き出した。
しばらくして、
(Y)「それじゃいくよ」
イエローが手をかざすと赤い光がバチとはじけてレジンにあたり、
『ピシッ』と、いう音とともにバラバラと砕けた。
割れたレジンの中から出てきたスーパーガールRの体もガクリと崩れ落ちた。
(碧)「真理子!」
碧がスーパーガールRを抱き抱えて寝かそうとするが、あたりに一瞬閃光が。
スーパーガールRは変身前の真理子の姿に戻っていた。
同時に、青いベネチアンマスクもはずれてはポロリと床に落ちた。
もしかしたら・・・
碧は一縷(いちる)の望みを託し「変身」の呪文を何回も唱えてみたが、
真理子が生き返ることはなかった。
悪人たちは逮捕された。
碧は例によって大手柄である。
スーパーガールの協力があったとはいえ、悪人の首領級を3人も、逮捕したのであるから。
上層部からの賞賛もすごかったが、いつものように、あまり面白そうな顔をしていなかった。
部屋を出る時、上司に、
(碧)「今後は新しいスーパーガールたちとの協力は不可欠であると思います」
くどいほど、言っておいた。
署長室を出ると「フゥ」とため息をついた。
真理子の葬式も済んだ。
数日後、真理子の墓の前である。
美穂と夏美も来ている。
碧は真理子の青いベネチアンマスクを布に包んで持ってきた。
(美穂)「どうするの、それ」
(碧)「いっしょにお墓に入れてあげようかと思って」
(美穂)「そっか」
もう効力のない、ただのきれいなベネチアンマスクである。
碧は「あたし、警察をやめようかと思ってるの」
「え」
2人は驚いた。
(夏美)「ど、どうしてよ」
(美穂)「あなたかなり優秀な警察官だし、もったいないじゃないのよ」
(碧)「いや、そもそも向いてないよこの仕事。もとからやりたかったわけじゃないし」
今までの経緯を話した。
真理子のかたき討ちのためにここまで頑張ってきたが。
(碧)「本懐はとげたし」
(夏美)「そっか、しょうがないよね」
(美穂)「あたしたちも本音は、警察内に秘密に情報や連絡が取れる人が欲しかったんだけどな」
(碧)「・・・」
2人は顔を見合わせてニッコリする。
(碧)「ごめんね。お役に立てそうもなくて」
碧はマスクを見ながら、
(碧)「はぁ、これで真理子が生き返ればなぁ・・・『変身』か・・・」
何気なく言った。
すると、マスクが光りだして・・・
「あっ!」
美穂も夏美も驚いた。
目の前に、碧が変身したスーパーガール、青いベネチアンマスクをしたスーパーガールが立っている。
(B)「これはいったい?」
一番驚いたのは碧だ。
(B)「どうなってんのよ、これは」
たぶん想像の通りだろう。
(夏美)「そろそろ帰ろうよ」
(碧)「うん、でもあたしもう少し真理子と話をしていきたい」
碧は笑いながらそして少し涙ぐみながら、お墓の方を向いている。
(美穂)「そっか、それじゃあたしたちは先に帰る。お元気でね」
2人が歩き出すと、
(碧)「あの・・・」
2人が振り返ると、
(碧)「さっきの件、少し考え直してみるよ」
美穂と夏美はうれしそうにうなずいて去っていった。
碧はお墓の前で、いつまでも立っていた。
やっと一言、
「あんたもその方がいいと思ってんでしょ。ね、真理子」
報仇雪恨の巻 完
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