妄想別館 弐号棟


スーパーガールのお酒 その1


(B)「待ちなさいってば!」
ブルーとグリーンは、強盗犯人たちを追いかけている。
が・・・
彼らは逃げ足が速く、なかなか距離が縮まらない。
(G)「よーし、足止めしてやる」
グリーンは立ち止まり、公園の森の方を向いて大きく手を振りだした。
木が揺れ出し、葉っぱがバサバサと落ち始める。
舞い散りながら落ちてくる葉は、男たちに向かって飛んでいき、
まるで雨のように降り注いでいる。
「なんだこれは、うわ」
「ブハ、は、葉っぱがぁ!」
男たちは大量の葉っぱに絡まれて暴れていたが、とうとう動けなくなった。
ブルーが、そしてグリーンも追いついて、上から押さえつける。
(B)「よーし、逮捕するぞ」
お縄となった。
やがてパトカーとともに警官たちがやってきた。
ブルーが警官に一言二言言葉を交わして、犯人たちを引き渡しておしまいだ。
何の変哲もない・・・犯人逮捕の情景である。
彼女たちにとっての・・・

警官たちが去っていくのを見ながら、ブルーとグリーンが話をしている。
グリーンが使った足止めの術は『木の葉返し』の応用だ。
葉っぱを集めてぶつけたのだが、手ごわい敵にはもう少し高度な方法も使える。
ブルーこと碧(あおい)はうらやましそうに「いいなぁ」と、ボソリ一言。
(G)「え、何がですか」
(B)「あたしの青いマスクでもなにか技が使えないのかなって」
イエローは光線や電気、グリーンは植物。
(G)「碧さんは超能力が使えるじゃないですか」
(B)「うーん、そうなんだけどさぁ・・・」
ブルーに変身している状態で超能力を使うと、すごくくたびれてしまうそうだ。
使えば使うほど眠くなる。倒れそうになる。
(B)「エネルギーを猛烈に消費するみたいなの」
ブルーはフゥとため息をつく。
(B)「あたしのマスクにはそういう能力がないのかな」
(G)「そんなことないですよ」
グリーンは「そんなに焦らずに、じっくりやっていきましょうよ」
と、言っている。
スーパーガールブルーが相手と戦う場合、
生身で持っている超能力をのぞけば、今のところ体術だけだ。
しかし、体術だけと言っても彼女は警官であり、格闘術や逮捕術を心得ている。
ズブの素人のように、まったく弱いわけではない。
武術があまり得意でない夏美からすれば、
「それも結構すごい武器だと思うけどな」
でもブルーは、イエローやグリーンの能力を見ているうちに、自分も何かほしくなってきた。

公園の池の前。
ベンチに座りながら2人は缶コーヒーを飲んでいる。
「あのですね・・・」と、夏美が話し出す。
ベネチアンマスクには特殊な能力が備わっているはずだという。
(碧)「特殊能力か。真理子の時には、そんな話、聞いたことなかったけどなぁ」
どんなことができるのだろうか。
碧は考えていたが、
(碧)「やっぱり、ただ考えていたってダメだわ。とにかく実践あるのみよ」
いろいろとやってみるしかない。
『変身』と唱えて、碧はブルーになった。
イエローのマネをして足を開き、手を前で組んで・・・えいっ!
手から光線が出るわけでもない。
グリーンのマネをして、右手を挙げて天を指さし・・・えいっ!
落ち葉の竜巻が起きるでもない。
(G)「そもそも、あたしたちと同じ能力っていうことはないでしょ」
(B)「そうだろうね。それじゃ」
と少し考えて、
(B)「いでよ炎!」
手の先から火が吹き出たかというと・・・出ない。
(B)「やっぱりだめか。他にどんなのがありそうだと思う」
グリーンは「うーん。碧さんにどんな能力があるのか、あたしにはわかりませんわ。
でも色が青いから、水に関係のある能力なんかどうですかね」
(B)「水ねえ・・・」
池の水を見てみる。
(B)「動け動け。あ、動いた」
水面があきらかに波だった。いやこれはだめだ。
必死になっていると、どうしても超能力を使ってしまう。
(B)「たったこれだけやるのにも、結構疲れてしまうのだよ。ブルーに変身している時は」
ここで突然、緊急の連絡が入った。
(夏美)「あ、事件ですね」
夏美はグリーンに変身して「ブルー行きましょう」
ブルーも「よし行こう」と、うなずいて、走り出した。
2人が去った後には・・・
池の水はまだ波立っている。おさまる様子はなく、どんどん波高が高くなる。
『バチャンバチャン』と、音を立てて、とうとう1メートルほどの高さになった。
誰も見ていなかったが、すさまじい光景だ。
波頭の先端はちぎり飛ばされ、大小のしぶきになって舞っているのだが・・・
不思議なことに、ブルーの後を追って行くように飛んでいく。
しかしやがて穏やかな水面に戻っていった。

そんなこんなで数日後。
今回は美穂と碧が組んでパトロールをしている。
そこに事件の通報があり、変身して駆けつけてみると・・・
相手はチンピラの集団のようだ。
たいして強そうではないが、20人はいるであろう。
イエローは最初は素手で応戦していたが、だんだん面倒くさくなってきた。
「少し多すぎるな」と、言って、光のムチを振り出した。
ブルーが素手で1人2人と殴り倒しているうちに、
イエローは一薙ぎ(ひとなぎ)で数人を束で、一度に倒していく。
(B)「はあ、やっぱりいいなあ。効率的だし」
戦うのをやめて見ていると、
(Y)「ちょっとなにしてるのよ。手伝ってよ」
(B)「あ、ごめん」

(B)「そら、これで全員だ。逮捕だよ」
スーパーガールたちは、
まだ逃げようともがいている男たちを平手打ちにして、警官に引き渡した。
(B)「それじゃ、あとよろしくお願いしますね」

警官たちが行ってしまうと、2人はビルの陰まで行って、『変身解除』と唱える。
(碧)「それじゃ、あたしは署に戻るから」
(美穂)「うん、それじゃまた後で」
去っていく美穂を見送りながら、
(碧)「今日は歓迎会か・・・」
3人で飲み会、碧の歓迎会をささやかに執り行うことになっているのだ。
しかし、そこで事件が起きるとは・・・考えてもみなかった。

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