妄想別館 弐号棟


スーパーガールのお酒 その5


しかし世の中、そうは甘くなかった。
音を聞きつけた見張りが、
(手下)「あ、生き返りやがった」
騒ぎになり大勢がドヤドヤと入ってくる。
(B)「しまった」
ブルーは先頭の男を蹴り倒した。
足場を確保するように移動して、数人と対峙するが、見ると、
(B)「あ!イエロー!グリーン!」
数人が、起き上がれないイエローとグリーンに向かって行く。
助けに行こうとするが、5人ばかりがブルーの前に立ちふさがる。
ほとんど動けないイエローは2人に押さえつけられて、別の1人に腹を殴られている。
(Y)「うわぁ!」
彼女はノーガードのままもろにパンチを数発受けてしまった。
スーパーガールの状態では珍しいが、ガックリと首をたらして動かなくなった。
(B)「まずい!」
あのまま、またプラ船に放り込まれたら、こんどこそ厳重にマスクを隠されて、彼女は元に戻ることはできないだろう。
「キャー」と、言う声が。
振り向くとグリーンも5人くらいに殴りつけられている。
まさに『ボコボコに』と、いえる状態だ。
床に倒れて動かない。
しかしすぐに両手を引っ張られて起こされて、また殴られている。
ブルーのみが戦っているような状態だが、相手は多勢で押さえつけられてしまった。
なんとか1人を投げ飛ばした拍子によろめいた。
男たちはこの隙を逃さずに、しゃもじの棒を突き入れてきた。
(B)「あ、しまった!」
かわし切れずに、突きを入れられて、プラ船の中に落とされてしまった。
男たちはヤレヤレと笑っている。

彼女はプラ船の中で四つん這いになりながら首をあげた。
手首足首、ひじひざはすでに溶け始めている。
しかし、この状態で立ち上がればバランスを崩して体ごと転んでしまうだろう。
「こんな連中に負けてたまるか!」
と、思うものの、自分も含めて状況は圧倒的に不利だ。
イエローは完全に気を失っているのだろう。
だらしなく広げた手足を持ち上げられて、プラ船に運ばれていく。
グリーンは意識はあるようだが、膝立ちのまま押さえつけられている。
2人の男がそれぞれの腕を引っ張り、別のもう1人に髪の毛をつかまれ、顔を殴られている。
しかし、ブルーもピンチである。
(B)「うゎぁ!」
男たちに棒切れで殴りつけられて、プラ船の中に押し沈められた。
あわれ、彼女はすぐに完全に溶けてしまった・・・のだが・・・
(B:あれ、意識はある)
プラ船の中で体を失い、液体になりながらも、何か思った。そのとたん、
(手下)「なんだ?」
倉庫の奥の方にあった、大きな水桶が揺れ始め『バシャバシャ』と、音も鳴りだした。
桶から水が噴き上り、あふれ出た大量の砕けた水しぶきが、すぐに集まってボールのような塊となった。
まっすぐに、驚いている男たちの顔面目掛けて飛んで行った。
『バシャーン』と、すごい音がして、男の顔から水がはじけ飛んでいる。
ギャアと悲鳴が上がり、たちまち3人が倒れた。
桶から水の塊が、次々と飛び出し男たちを倒していく。
赤はだは「何か防ぐものを、盾で防ぐんだ」と、叫んでいる。
液体のブルーは、ハッとして、体に力を入れるようにすると・・・体が起き上がり、
プラ船の中に、水でできた人間のようになって立っている。
(手下)「ば、化け物だあ」
棒切れで殴ってきたが、水をたたくがごとく、崩れた体はすぐに再生する。
意識を集中して『スーパーガールブルー』をイメージすると、透明な水に色が付きだした。
そしていつものブルーの体に戻った。
(B:まだ戦える)
超能力を使った覚えはないし、ほとんど疲れた様子もない。
まわりに飛んでいる水の塊りを、手で指図するようにすると、自在に操ることができるようだ。
両手を振り回すとその方向に塊は飛んでいく。空中で留めることもできる。
飛んでくる水の塊りが、前からだけではなく、横からも後ろからも飛んでくるようになると、
男たちは防ぐことができない。
水とはいえダメージは大きいのであろう。もろに命中すると動けなくなる。
男たちはスーパーガールを襲うどころではなく、防戦一方となった。
そしてブルーは1人で水の能力を使い・・・ついに全員を倒したのである。
ブルーはプラ船から出ると、ヨロヨロしながらイエローとグリーンのところまで行った。
彼女たちの前で、崩れるように倒れてしまったが、
(B)「大丈夫?」
グリーンは「うん」と言ったが、イエローは気を失っている。
(B)「動ける?」
(G)「もう少し時間が欲しいな」

(B)「ほら見て見て」
数日後、碧はしゃれた飲み屋、
問題のない由緒正しき飲み屋に、美穂と夏美を呼び出した。
完全な個室で、スーパーガールブルーに変身して、なにか見せびらかしている。
美穂は笑いながら、
「あたしたちも忙しいんだけど」
(B)「そんなつれないこと言うなぃ」
ブルーはガントレットを付けた手を見せているが、水になったり戻したりを繰り返している。
(夏美)「しかし面白いな」
(B)「もっとできるよ」
スーッと全身が透明になって、まるで水でできた人間の形になった。
しかしちゃんと動いている。
水の人間が部屋の中を歩き回っている。
事情を知らない者がみたら腰を抜かしそうな情景だ。
(美穂)「すごいな。それ」
ブルーは腰に手を当てて立っている。
(夏美)「水が形を整えているって、やっぱり不思議だよ」
夏美が指でつくと、ズボッと突き抜ける。
「くすぐったいよ」と、水の人間は言っている。
(夏美)「やっぱりただの水だよね。不思議だな」
あきれたことに、バシャッと全身を崩すと畳の上で水たまりになった。
そのままズリズリと動いている。
(美穂)「液体人間じゃないの。少し気持ち悪いな」
それを聞いて、元のブルーの姿に戻っている。
ブルーはニコニコしながら、
「すばらしい能力だと言ってくれよ」
美穂も夏美も笑いながら「それじゃ訂正してあげるよ」と、言っている。

碧もスーパーガールブルーとしての超能力を開眼したようである。
しかし彼女の水を操る能力、実際にはこれだけではない。
彼女の能力はもっともっとすごいのであった。
それはまた後日の話で。

                                     スーパーガールのお酒 完

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