スーパーガールのお酒 その4
(碧)「遅いなあ。どうしたんだろ」
と思いながら待っていると、再び店員がやってきた。
(店員)「あの。恐れ入りますが先ほどのお2人が来てほしいと」
(碧)「2人はどうしたんですか」
(店員)「来ていただければわかると」
碧は少し怪しいとは思いつつも、
(碧)「わかりました」
すぐに変身できるようにベネチアンマスクを持って、店員の後をついて行く。
入口を入ったら変な場所だった。
(碧:なんだろここ?酒蔵?ん?あ、やっぱりだ)
いきなり突き飛ばしにきた。
用心していた碧は、プラ船の横に転がるようにしてうまくかわした。
立ち上り「なにをするんですか」と、叫んだ。
男たちは笑っている。
碧はもう一度「あなたたちなんですか。私は警察ですよ」
しかし男たちは全く動じない。
それがどうしたと、言わんばかりだ。
さらには彼らの方が用意周到であった。
かわされる場合を最初から想定していたのであろう。
酒桶をかき回す長いしゃもじを持った男が3人、前に出てきて碧を押さえ込みにかかる。
プラ船だらけで思っていた以上に足場が悪い。
動きにくいに加えて、囲まれると逃げ場がなくなった。
すぐに『ドン』と、突かれてプラ船の中に落ちてしまった。
(碧)「うわっ」
彼女はすぐに立ち上がったが、すでにプラ船のまわりを男たちが囲っていて外には出られない。
碧はすぐにスーパーガールブルーに変身した。
しかし「あれ?」
変身したが、ひざがガクッとなり『バシャ』と、プラ船の中にあっさり崩れ落ちてしまった。
目を疑った!
両方のひざ下がとろけて無くなっている。
(B)「え、酔ってるのかな、あたし・・・」
しかし「あ、手首もないじゃないのよぉ」
両手とも、ひじから先がすでに溶けてなくなっている。
ここで、赤はだが出てきた。
(赤はだ)「あんたやっぱり警察だったんだ」
美穂と夏美にした説明を繰り返すが、ブルーは聞いているうちに、
(碧)「それじゃ、美穂と夏美は・・・」
(赤はだ)「その通り。おいしいお酒になって、お前のことを待ってるよ」
しかしこの説明は時間稼ぎの意味もあったのだろう。
ブルーが状況を理解してプラ船の外に逃げようとした時には、太ももから下はなくなっていた。
太ももどころか、ブルーの女の大事な部分が今溶けている最中だ。
もたもたと・・・驚いているうちに、お腹もほとんどなくなってしまった。
(B)「えーーー!こんなことって・・・」
そこに店員の男が入ってきて、まるで場違いなように、
(店員)「お客さんから特級酒の注文ですが」
赤はだは少し興を削がれたようだ。
面倒くさそうに「ああ、いいぞ」と、返事をする。
別の男に指図をして、
(赤はだ)「おい、美穂と夏美の酒はお客さんに出して飲ませてしまえ」
碧は思った。
(B:まさかこんな飲み屋の中に密造酒の工場があるとはなぁ。
だけど人間を原料にしているなんてことはないだろうな)
しかし問いただすことはできなかった。
なぜならば、バランスを崩して顔から液体の中にころげてしまったから。
(B:うう、無念だぁ…)
すぐに完全に溶けてお酒になってしまった。
しかし碧の場合は美穂や夏美と様子が違った。
「あれ、おかしいぞ」
ベネチアンマスクがない。
「いっしょに溶けてしまったのかな」
「こいつはニセモノだったんじゃないのか」
いろいろと言っているが、
(赤はだ)「まあいいだろう。早く酒にしてしまえ」
男たちが作業を始める。
(赤はだ)「ところで名前はなんというのかな。湯村碧か」
やがて一升ビンに詰められた『湯 村 碧』ができあがった。
店長は満足そうにビンを撫でながら見ている。
碧の一升ビンも棚の上に置かれた。
一言付け加えると、
一瞬の不意打ちと驚きの連続で、超能力のことはすっかり忘れていた碧であった。
夜遅くなった。
店も閉まってあたりはシーンとしている。
美穂と夏美のビンは三分の一くらいに減ってしまっている。
彼女たちは、お客に飲まれてしまったのだろう。
作業台の上には黄色と緑のベネチアンマスクが無造作に置いてある。
そして本編の話はここからである。
静寂の中、やがて驚くようなことが起きた。
棚の中にあった碧の一升ビンがガタゴトと揺れ出した。
やがて、棚から落ちて、バシャーンと割れた。
碧のお酒は一面に飛び散ってしまった。
しかし床にはしみこまずに、しだいに集まってきて水たまりのようになった。
一か所に集まった水たまり、いや液だまりが、徐々にではあるがゆっくりと移動していく。
手ごろな場所まで来ると、液のたまりから頭、首、肩と浮き上がり、あるいは指、手、腕と生えてきて、
やがて人の形になって、ゆっくりと立ち上がった。
シューと光ると、それはスーパーガールブルーに。
彼女は立ち上がったが、しかしすぐにしゃがみこんでしまった。
「あー疲れた」と、一言。
(B:力が入らないな・・・)
そして「これって、青いベンチアンマスクの能力なのかな」と言った。
しゃがみこんでいたが、しばらく休むと元気になり、
ブルーは、黄色のマスクと緑のマスクを手に取って、
(B)「ほらあんたたちも生き返ってよ」
『変身』と叫んだ。
一瞬の閃光のあと、イエローとグリーンが倒れている。
(B)「ちょっと、大丈夫かい」
(G)「ええ、助かったよ」
(Y)「まさかこんなことになるなんてね」
(B)「油断してたわけじゃないけど、まいったなあ」
ブルーは少し休んだおかげで元気だが、2人はしびれていて動くことができない。
スーパーガールごと溶かしてしまうのだから、あの薬液は相当強力だったのだろう。
幸いあたりには誰もいない。
(B)「一休みしたら捕まえに行こう」
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