妄想別館 弐号棟


倉庫街の捕物 その1


(夏美)「あの倉庫なの」
(碧)「そうだよ」
ズラリと倉庫が立ち並んでいる湾岸地区の一画。
覚せい剤の密輸と臓器売買のタレコミ情報があり、2人は張り込んでいるところだ。
倉庫のほとんどは本物だが、数棟が悪人のアジトになっているという。
闇組織、名称はクロユリ団。
表向きはキャットフードの会社。
ただしこれは非常に胡散臭く、詳細な状況は不明である。
(夏美)「どう見ても普通の倉庫だよね」
外観はありふれた倉庫だが、中は怪しげな研究施設になっているらしい。
なお、美穂は今回の捕物には参加していない。
今日は大学の講義(彼女は先生である!)があるということで欠席だ。
(碧)「昼間に仕事を持ってると大変だよ」
碧は出張る事や張り込む事が『昼間の仕事』なので、全く差し支えなく平然としている。
他人事のように言っていると夏美が、
(夏美)「あたしも授業を休んで来てるんですけどね!」

碧と夏美が身を伏せて見張っていると、両手にバケツを持った男が出てきた。
(夏美)「なにをするんだろう?」
(碧)「さあ?」
組織の悪事となにか関係があるのだろうか・・・いや違うようだ。
外に置いてある、大きなタライにバケツの中身を入れている。
するとネコたちがどこからともなく集まってきた。
(碧)「なんだ、ネコのエサやりか」
どうやらキャットフードをあげているようだ。
(夏美)「ずいぶん多いね」
数十匹、いやもっといるだろう。
ネコは一生懸命に、もらったエサを食べている。
しばらく見ていたが・・・ネコを見ていても仕方がない。
(夏美)「そろそろ行こうか」
碧は「うん」
2人はそっと倉庫に近づいて行った。

建物内の司令部署ともいえるところに、スラックス姿の女が入ってくる。
この組織のボスである。名をイーリスという。
優秀な科学者である。
しかし科学者の肩書だけでは儲からないのだろう。
それで悪人に転職か?
監視用のモニターを見ていた手下が気がついた。
(手下F)「女が2人倉庫に近づいてきますよ」
(Iris)「フン、目障りな犬どもめ。始末してやる。例の部屋に誘い込め」
クククと笑いながら、
(Iris) 「こいつを使ってやる」
彼女が用意したのは、縦横高さがそれぞれ10センチほどの箱のようなものだった。
ただし、これは爆弾だ!
どのようなシロモノであるかは後ほどわかる。

建物内に忍び込んだ碧と夏美。
うなずくとスーパーガールブルー、スーパーガールグリーンに変身した。
(B)「あんた、建物の中じゃ不利でしょ」
植物がなにかないと、グリーンの超能力は使えない。
(B)「あたしが前に出るから、後ろから援護して」
グリーンは「うん」と、うなずいた。
通路を進んでいくと、警報が鳴りだし手下が飛び出してきた。
(G)「よーし、出てきたな」
(B)「無駄ヨ。あんたたち、抵抗はやめなさい」
男たちは問答無用でかかってきた。
仕方がない。いざ戦闘開始である。
ブルーは回し蹴りで1人を吹っ飛ばし、さらに数人を殴り倒す。
グリーンも相手を投げ飛ばしたり殴ったり。
(G)「やっぱり建物の中ってやりにくいな」
彼女は超能力が使えないので、力勝負になってしまう。
しかし、何のかんの言いながら、グリーンもすでに4、5人は倒しているだろう。
とりあえず、先鋒の人数は全部倒した。
(B)「やれやれ、こいつらは放っておくか」
(G)「そうだね、先に進もう」
再び走り出した。

レディ・イーリスはメインモニターを見ながら、
「ふーん。さすがだね」と、言っている。
手下たちだって、まったくの素人ってわけではない。
少しは武術の心得がある者がいるはずだが、
10分もしないうちに全員のされてしまっている。
(Iris)「それにしても、少し情けないな。ま、でも、想定内だね。ここまでは」

研究施設の前は広いロビーになっていた。
ここで再び戦闘となった。
なかなか凝ったレイアウトである。
地下室なのに噴水がある造りになっている。
しかし噴水があるのは、ブルーにとっては非常に都合がよい。
思わず顔をほころばせつつ、
ブルーが「あたしがやるよ」
グリーンが「あいよ、まかせた」と、言って、ブルーの後ろに下がる。
ブルーが両手を挙げて左右に振ると、噴水から次々と水の玉がちぎれだし、男たちに向かって飛んで行く。
手をユラユラ振って、自分の思うまま、自由自在に水の玉を飛ばし動かし操っている。
バシャ、バシャと男たちの、顔、体に命中させると、
「ギャア」「うわぁ」
威力はすごくて、男たちは悲鳴を上げて動けなくなる。
(G)「それ、当たると痛いそうだね」
ブルーは「ぶつける速度や玉の大きさによるよ」と、言っている。
(G)「あ、また来た」

(手下K)「ボス、準備できました」
(Iris)「そうかよし、逃げるように見せかけて撤収しろ。
スーパーガールたちを防爆室に誘い込め。
いいか、いかにもさりげなくやるんだぞ」
(手下K)「わかりました」
そうとは知らないブルーとグリーン、建物の奥へ奥へと進んで行く。

(B)「もうしつこいな」
長い足のハイキックが決まる。
続いてかかってくる数人も拳で倒した。
グリーンの方も覆いかぶさってくる男を「それっ」とばかりに投げとばしている。
2人は次々に出てくる手下どもを、なんなく倒していくが、
(G)「な―んかさ、ずいぶんあっけなくない?手ごたえがなさすぎるよ」
(B)「やっぱり、あんたもそう思う」
本気でかかってきていないみたいだ。半分逃げ腰のようにも思える。
(G)「あたしたちをどこかに誘い込んでいるって感じ。こいつらはおとりだよ、きっと。
絶対に罠があるってば」
などということは、わかりきった事なのだが・・・2人は先に進まざるを得ないのだ。

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