倉庫街の捕物 その2
男たちが一斉に逃げ始めた。
(B)「あ、待ちなさいよ。ちょっと!」
グリーンが追いかけようとしたが、
天井から壁が『バシャ―ン』と!
(G)「うゎっ、危ないなぁ」
(B)「後ろもだよ」
通路の前後は壁で塞がれて、閉じ込められてしまった。
(G)「開けなさいよ!」
グリーンがバンバンたたいてみるが、ビクともしない。
(B)「ちょっと下がってて」
ブルーは足を開いて構えると、組んだ両手を前に突き出した。
たちまち指先からジェット水流のようなものが噴き出し始めた。
塞いでいる壁に当たり、『バシャバシャ』と、ものすごい勢いで水しぶきをあげている。
これがブルーの水鉄砲と呼ばれている術である。
(G)「やっぱりすごいな。どうしてあんなに水が出てくるんだろう」
水圧はどんどん強力になっていって、
金属でできた壁が『メキメキ』と、へこみだし、やがてガコンと外れて吹き飛んだ。
イエローもグリーンもこのような破壊力を持った能力はない。
物を破壊する威力としては3人の中では最強である。
グリーンは「お見事!」と、言った。
(B)「さあ行くよ」
モニターを見ていたイーリスが「なんだあれは!」
(手下F)「あの壁は特殊合金なんですが・・・」
(Iris)「なかなか侮れんな。あの威力は」
あわよくば閉じ込めた通路の中で押しつぶしてやろうと考えていたのだが・・・
(Iris)「やっぱり普通の罠じゃダメか。まあいいさ」
壁の外へ出ると手下は消えてしまった。
(G)「あれぇ」
(B)「どこへ行った」
油断無く、そろりそろりと進んで行くが、やはり誰もいない。
(G)「いなくなっちゃったね。誰も出てこない」
だいぶ建物の奥まで来たようだ。大きな広い部屋のようなところに出た。
(B)「ここはなんだろう?」
小さめの体育館といったつくりだが、窓は一つもなく、四方の壁がすべて灰色に塗られている。
(G)「変な部屋だね」
『ガシャン』と、入口の扉がひとりでに閉まってしまった。
「あっ!」
閉じ込められてしまったようだが、2人は慌てた様子もない。
ブルーの能力を使えばすぐに出られるだろう。
それよりも・・・
室内は伽藍洞(がらんどう)であるが、中央にテーブルが一つだけあり、
なにか目に付く青い物が上に置いてある。
2人が近寄って見てみると、
(B)「何だろ?青い箱だよ」
2人はまさか、これが高性能の特殊爆弾とは思わない。
突然、天井のスピーカーから、
(Iris)「ようこそいらっしゃい、スーパーガールさん」
「あっ」、2人はギクリとした。
(Iris)「わたしはイーリスと言いますの。組織の首領とでも言いますかね」
ブルーがスピーカーに向かって叫ぶ。
(B)「出てきなさいよ。密輸の疑いで逮捕するわ」
(Iris)「それはそれは、でも残念ね。あなたたちはここで終わりだもの」
(B)「は、何言ってんの、あんた」
突然、箱が白い煙を吹きだした。
(G)「え、やだ、毒ガス?」
いやどうも違う。
(Iris)「それ、バ ク ダ ン」
「え!」
2人は少し後ずさりをするが・・・
(G)「ブルー、マズイヨ」
(B)「そ、そのようだね。グリーンあたしの後ろに早く!」
グリーンはブルーの後ろにすばやく隠れる。
ブルーは足を開き、両手を横に張るように構えた。
すると一瞬で・・・彼女の前に水の壁ができた。
「このバリアなら爆発の衝撃もかなり防げるはず」と、ブルーは考えたのだ。
たしかにこのバリア、通常の爆発を防げるほど強力な防御力を持っていたのだが・・・
しかし今回はブルーの誤算であった。
そして・・・爆弾は爆発した!
しかし通常の爆弾のような状況にはならなかった。
すさまじい爆発音は・・・なかった。
部屋が破壊された様子も・・・まったくない。
部屋の中はシーンとしている。
爆発した瞬間・・・
『ボスッ』という、段ボール箱がつぶれるような音がして、
真っ白な霧のようなものが一瞬で部屋中を包みこんだ。
しかし2人はもう意識がなかった。
なぜならば・・・
霧が引いた後・・・室内は真っ白な霜や氷柱(つらら)でおおわれていた。
そして、ブルーとグリーンの2人は・・・
カチンカチンに凍りついていた。
ブルーは氷の壁(これは水のバリアが凍ってしまった物である)を前にして、
バリアを張った時の恰好で、
グリーンはブルーの後ろで天井を見あげたまま。
爆発した箱のような物、クロユリ団が開発した、瞬間凍結爆弾!
一瞬でまわりの物をほぼ絶対零度近くまで下げてしまう代物だった。
通常の爆発に伴う爆風や破片などなら、この水のバリアで十分防げたはずなのだが・・・
しかし、バリアごと凍ってしまうとは思ってもみなかった。
残念でした。
余談・・・通常の爆発であれば・・・
グリーンはともかく、ブルーはバラバラになっても、マスクの能力で即座に再生できる。
しかし、体ごと凍ってしまってはどうしようもない。
分厚い防寒服を着た手下どもがドカドカと入ってきた。
(手下C)「あっはぁ。みてみろよ」
2人は全身真っ白なマネキン人形のようになってしまった。
煙のような、ものすごい冷気を体中から噴き出している。
(手下A)「これはすごいや。ガッチンガッチンだぜ」
2人は一瞬で絶対零度の超冷気にさらされて完全に凍結している。
1人が力まかせにブルーの腕を動かそうとするが、
「はぁ、ダメだ」ビクともしない。
ガチガチに凍り付いて石のようになっている。
グリーンの胸や腰を撫でまわしていた別の男たちも興味を示す。
「どれどれ」と、グリーンの首を動かしてみようとするが、
(手下Ⅾ)「全然動かねえ。完全な石像だぜ。こいつらはもう」
ポーズをとって真っ白になっている彼女たちは、確かに石像のようにも見える。
グリーンを見ていた1人が、
(手下C)「お前は俺のことを殴っただろ。おい、なんとか言ってみろよ」
彼女のほっぺたをピッケルの先でガシガシと引っ掻いている。
(手下C)「ざまあみろ。動かないと顔に傷がついちゃうぞ」
別の男たちもハンマーで「ほらほらどうした。動いて見ろよ」と、顔を叩いている。
男の所業にグリーンの顔が砕けないことを祈るばかりである。
(手下A)「せっかくの水のバリアもこれじゃ役に立たないな」
バリアは氷の板になってしまっている。
ハンマーで叩くと『バリン』と、あっけなく割れてしまった。
男たちは、ブルーのまわりを取り囲む。
(手下B)「いいポーズじゃないかよ」
ブルーはバリアを張った格好、
手を横に張り、ひざをやや落として、足を開いて構えたまま凍っている。
ちょうどいい具合に開いている股間に、バールを『ザスン』と突き当てた。
もろにアソコに当たったが、石のように固まっているのでささらない。
『バシッ』と、音がしてバールは簡単に弾かれる。
(手下A)「おお固ぇ。ブルーさんの大事な所もガッチンガッチンだぞ」
(手下B)「使い物にならないだろ。こんなふうになっちまったら。ハハハ」
スピーカーから怒鳴り声が聞こえてきた。
(Iris)「お前たち、遊んでいる場合か!」
男たちはあわてて飛び下がった。
(Iris)「おい、ベネチアンマスクの扱いに気をつけろ」
それから、
(Iris)「ベネチアンマスクとコスチュームは両方とも回収しろ。
ブルーは少し調べたいことがある。実験室の方へ運び込め。
ああ、グリーンの方は不要だ。始末しろ。
運びやすいように、解体してしまってもかまわないぞ」
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